米軍が行っている「タフな心を鍛える3つのメンタルトレーニング」
「オプティミストはなぜ成功するか」で有名なマーティン・セリグマン博士が、米軍用に「精神力を鍛えるトレーニングプログラム」を考案したと聞いて、さっそく読んでみました。
参考:http://www.ppc.sas.upenn.edu/mrtinarmyjan2011.pdf
セリグマン博士といえば、言わずと知れた「ポジティブ心理学の父」。というわけで、彼が考案したプログラムは、“心の柔軟性”を鍛えるのが第一の目標になっております。心が折れちゃうのはどうしようもないから、折れた心を元に戻すことにエネルギーを注いだほうがいいってことみたいですね。
で、セリグマン博士が組み立てたプログラムの要点は、以下の3つであります。
1・とにかく悪いことでもいいように解釈する
このプログラムでは、まず訓練下士官へ楽観的な思考法を教えこむみたい。どんな悪いことが起きても、とにかく「これは一時的で、ささいなことで、すぐに事態は変わる」と考えるのが重要。そのために使われるのが、論理療法ではおなじみの「ABC理論」。
- A(Activating event)=出来事を把握する
- B(Belief)=その出来事に対する自分の信念や固定観念を把握する
- C(Consequence)=その出来事は、自分の固定観念が導いた結果だと理解する
ってなステップをふむらしい。とにかく自分の解釈に意識を向けるのが大事ってわけでして、このあたりは、基本的な心理療法のテクニックを使ってるんですねぇ。
2・最悪の思考に抵抗する
よく「つねに最悪の事態を想定するのがプロだ!」なんて言いますが、実際は、最悪のケースは想像しないほうがいいらしい。セリグマン博士が挙げている例では、「妻に送った手紙が返ってこないのは、すでに離婚されたせいだ!」とか思っちゃうのが“軍隊あるある”なんだそうな。大変ですなぁ。
で、プログラムに参加した軍人は、徹底的に「最悪の想像」に抵抗することを教えこまれるらしい。具体的には、
- その想像はどれぐらい正しいのか?
- 現実的にあり得る事態はどのようなものか?
に意識を向けさせるそうな。これも認知療法の基礎ですね。
3・感謝と寛容の態度を学ぶ
ポジティブ心理学では、よく「感謝の大事さ」が強調されるんですが、それは軍人の世界でも同じことみたい。プログラム参加者は、身の回りに起きた“ちょっといいこと”に感謝するトレーニングを課せられるんだそうな。軍隊のトレーニングとは思えない話ですけども、実際に、感謝の心が大きい兵士ほどミスが少ない傾向があるらしい。
まとめ
そんなわけで、米軍が行っている「タフな心を鍛える3つのメンタルトレーニング」でした。ポジティブ心理学がベースになっているせいもありますが、結局は軍人でも一般人でも精神を鍛える方法はほぼ同じ。認知療法や論理療法を使って、自分の誤った思い込みを正していくのが重要みたいですなぁ。
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