世界は言葉でできている | ジョージ・オーウェル「一九八四年[新訳版]」
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ジョージ・オーウェル「一九八四年[新訳版]」を読みました。
こんな古典的傑作をいま読んだのは、米アマゾンが選んだ「一生のうちに読むべき100冊」に影響されたから。「人生のあらゆる段階を網羅するのを目指して」選ばれたリストらしいんですが、
- 読んだふりをしていた名作
- 読んだけど完全に中身を忘れた名作
- 存在すら知らなかった名作
の3種類がほどよく混ざっていて、「これは読まねば!」と思った次第です。
ちなみに、今回手に取った「一九八四年[新訳版]」は、1番の「読んだふりをしていた名作」。あああ、お恥ずかしい…。と思ってたら、訳者あとがきに「英国の『読んだふり本』第一位に輝いた」と書いてあってほっとしました(笑)。
で、「一九八四年[新訳版]」は非常によかったです。さすがに反ユートピアな世界観のインパクトこそ薄いものの、後半の「われわれの文明の基礎は憎悪だ!」ってな演説はド迫力だし、互いを裏切った男女がたどりつく悲壮なラストも格別。
なにより「世界を支配するのは『言葉』だ!」って考え方が貫かれていて、わざわざ「ニュースピーク」なんて新しい言葉まで作っちゃう徹底ぶりがすごすぎる。ここらへんは、コードを牛耳ったものが世界を統制できちゃう現代の状況にも対応していまして、なるほど、確かにいまでも読む価値があるなぁ、と。というか、ネット空間は自由に設計が効くぶんだけ、ヘタすりゃオーウェルが執筆した時代よりも現代性があるなぁ、と。
まぁ、それ以外にも、「リベリオン」とか「マトリックス」とか「未来世紀ブラジル」とか、数多くの作品に影響を与えた基礎教養的な一冊として読むだけでも十分に価値はアリ。たいへん勉強になりました。
あと、余談ですが、Muse「Resistance(1984)」のPVって「一九八四年」のストーリーにほぼ忠実だったんですね。知らなかった。