なぜ睡眠不足がデブの原因になるのか?
「睡眠不足はデブのもと!」などとよく言われます。実際、「パレオダイエットをやっても痩せないんです!」という方の話をよく聞くと、1日に4時間ぐらいしか寝てないなんてケースも多かったりとか。
そんなわけで、ここでは睡眠と肥満の関係について、少しだけくわしい話など。
たった1日の睡眠不足でも食欲は激しくアップする
寝不足がデブにつながる原因には、大きく2つありまして、1つめはホルモンバランスの乱れからくる食欲アップの問題であります。
これに関しては2008年の実験(1)が有名でして、被験者たちに、1日4時間しか寝ない生活を5日間ほど続けてもらったところ、普段よりも摂取カロリーが20%も増えたというんですな。
これは、睡眠が足りないと、インスリン・コルチゾール・レプチンといったホルモンのバランスが崩れちゃうのが原因。いずれも食欲や代謝をコントロールする作用がありまして、肥満体型な人の多くは、これらのホルモンが効かなくなってるケースが多いんですね。
また、この現象は、たった1日の寝不足でも起きるってデータ(2)もあるのが怖いところ。一晩の睡眠時間が4時間を下回っただけで、被験者のインスリン抵抗性がアップし(=糖尿病の危険性が増えた)、コルチゾールも増えて、結果として激しい空腹に苦しむようになっちゃうみたい。いやー、おそろしい。
睡眠不足は麻薬中毒と同じ状態を引き起こす
もう1つ、寝不足と肥満の関係で大きいのがドーパミンの問題。
ご存じのように、ドーパミンは、やる気や快楽をコントロールする脳内物質で、食欲にも大きく関わっております。おいしい食べ物を口にすると、ドーパミンがブワッと分泌されて、脳を満足させてくれるわけですね。
ところが、2014年の実験(3)で、睡眠不足により脳の構造が変わって、ドーパミンの効きが悪くなっちゃうことがわかったんですな。つまり、寝不足がつづくと、人間の脳はいくら食べても満足しないように変わってしまうという。これは、麻薬中毒の人の脳と、ほぼ同じ状態であります。
これまで、食べ過ぎが起きる仕組みとしては、
- おいしいものをたくさん食べる
- 脳が満足しにくくなる
- 食事中毒!
って考え方がメインだったんですが、実際のところは、
- 寝不足がつづく
- 脳が満足しにくくなる
- おいしいものが食べたくなる
- 食事中毒!
って可能性もかなり大きいわけですね。
まとめ
そんなわけで、寝不足で肥満が起きる理由を見てみました。要するに、食欲に関わるホルモンや神経伝達物質のバランスが崩れまくる結果、ドラッグ中毒の脳と同じ状態になってしまうんですな。
もちろん、適切な睡眠時間は人によって大きく違うんで、いちがいには言えないんですが、基本的には1日7時間以上は寝たほうが、ムダに空腹に苦しまずにすむかと思いますねぇ。