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結局、電子レンジは体にいいのか悪いのか問題

Microwaves 

電子レンジに関するご質問をいただきました。

 

いつも楽しく読まさせていただいてます。質問なんですが、電子レンジについてはどのような意見をお持ちでしょうか?安全面も気になりますが、温めた食品の栄養がどう変わるかも気になります。ご意見をお聞かせいただけたら幸いです。

 

とのこと。確かに、一部のサイトなどでは「電子レンジは悪!」みたいな主張も見られまして、判断に困ってしまうところです。

 

 

よく見かける反対論としては、以下2つが代表的でしょうか。

 

  • 電磁波が漏れてガンや不妊の原因に!
  • 電子レンジで温めると栄養素が減る!

 

では、いつのようにデータを見てみましょうー。



加熱中の電子レンジに顔をつけても電磁波の問題は出ない 

まずは電子レンジから漏れる電磁波について。確かに強烈な電磁波を浴び続ければガンができたりはするんですけども、日本の場合は、電子レンジ本体から5センチ離れたエリアに5 mW/cm2以上のマイクロ波を出さないように規制されております。これはアメリカの基準とほぼおんなじ(1)。

 

 

で、過去に行われた実験(2,3)を見ますと、いずれも「5 mW/cm2以下の電磁波ならなんの問題もないよ!」って結論ですし、さらには電子レンジから50センチほど離れるだけで電磁波の量は100分の1にまで減るんだそうな。

 

 

しかも、2013年に行われた調査(4)では、大半の電子レンジは基準値よりもさらに下の電磁波しか出しておらず、平均で3.64mW/cm2ぐらいだったとか。一般的な携帯機器の電磁波が10 – 40 μW/cm2ぐらいなんで、ポケットに入れたスマホと1〜2メートル離れた電子レンジはだいたい同じ量の電磁波を出してるイメージでしょうか。

 

 

つまり、加熱中の電子レンジに顔面をくっつけ続けても、健康的な問題はほとんどゼロ。電子レンジの中に頭をつっこんで加熱すれば、ようやくガンの危険は出てくるかもですが、その前に血液が沸騰しそう。

 

 

電子レンジで栄養が減るかどうかは調理法による

続いて電子レンジと栄養素の関係について。ネットで検索すると、

 

  1. 電子レンジ調理は栄養が減る!
  2. いや、逆に電子レンジは栄養が増える!

 

って真逆の主張があるんですが、実際のデータを見てみますと「調理法による」としか言えないのが悩ましいところです(5,6,7)。たとえば、鍋で煮た野菜と電子レンジで蒸した野菜をくらべたら、当然ながら電子レンジのほうが水溶性ビタミンは残りやすいですからねぇ。

 
 

というか、そもどもどんな調理法でも栄養レベルは下がるもんでして、

 

  1. 温度が高いほど栄養は減る
  2. 調理時間が長いほど栄養は減る

 

って基本パターンは電子レンジでも変わらないんですね。その点で電子レンジが上か下かを考えてもしかたないように思われます。

 

 

ちなみに、このへんでおもしろいのが1995年のマウス実験(8)でして、

 

  • 電子レンジで調理した肉と野菜
  • ふつうに加熱調理した肉と野菜

 

 の2バージョンを用意して、13週間にわたって与え続けたんですね。電子レンジ調理に関しては何度も再加熱してみたんだそうですが、結局のところ両者にはなんの差も出なかったそうな。まぁ当然の結果といいますか。

 

 

まとめ

そんなわけで、以上の話をまとめますと、

 

  • 電子レンジに頭を突っ込まない限りは電磁波の問題はない
  • 電子レンジも普通の調理法と同じように栄養は減る

 

といったところ。心配せずにガンガン使ってくださいませ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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