頭がよければフェイクニュースにダマされにくくなるのか?問題
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フェイクニュースを信じたら考えを変えるのは超ムズい!ってのが科学の結論だったりするわけで、どうもいったん偽の情報を信じ込んじゃったら、そこからひっくり返すのは難しいみたいなんですよね。
私たちがフェイクニュースを信じてしまう原因はいろいろありますが、なかでもよく言われるのが「真実の錯誤効果」ってやつです。簡単に言えば「人間は何度も聞いたことを本当だと思いやすい」って現象のことで、いわゆる「嘘も100回言えば真実になる」って俗説の正しさを証明するような話ですね。
なぜこういった現象が起きるかというと、シンプルに「楽だから」です。基本的に脳は手抜きをしたがる器官なので、「この情報はよく聞くから正しいと考えておこう」と思う性質があるんですよ。なにせ脳の基本特性なので、「真実の錯誤効果」の立ち向かうのは結構大変。
でもって新しい論文(R)も「真実の錯誤効果」に関する内容で、ざっくり「頭がよければフェイクニュースにダマされにくくなるのか?」って問題をあつかってます。
これはゲント大学の実験で、7つの研究をとおして「知性と真実の錯誤効果」の関係を調べたものです。それぞれの実験は199〜992人の参加者を対象にしていて、かなり頑張っております。
それぞれ実験のデザインは違うんだけど根っこの発想は同じでして、
- みんなに「偽の情報」を読んでもらう
- その偽情報をどれぐらい信じているかを尋ねる
- その偽情報を過去にどれぐらい見かけたかを尋ねる
- 全員に認知テストをして頭の良さを調べる
みたいな感じ。実験で使われた偽情報の種類はさまざまで、「木の年輪で東西南北がわかる」みたいな身の回りの嘘雑学から、トランプ大統領の偽の演説動画みたいな直球のフェイクニュースまでいろんなパターンを用意したそうな。
そこでどんな結果が確認されたかと言いますと、
- やっぱりみんな「以前に触れたことがある情報」ほど信じ込みやすかった
- どんだけ頭が良かろうが、何度も目にした情報を真実だと思う傾向があった
だったそうな。「真実の錯誤効果」は知性とは関係なく万人に起きる現象なんだ、と。
ここでいう「頭の良さ」ってのはおもにに3つのポイントで構成されてまして、
- 認知機能(どれだけ頭が効率よく情報を処理できるか)
- 認知的閉鎖欲求(確固たる答えを欲する気持ちがどれだけあるか)
- 認知スタイル(直感で考えるタイプか、それとも分析的に考えるタイプか)
みたいになってます。どんだけ頭の回転が速かろうが、分析的な能力が高かろうが、フェイクニュースを信じちゃう可能性は他の人とあんま変わらないみたいっすな。
研究チームいわく、
ヒトにとって情報の「くり返し」は、真実を示すサインとして働く。それだけ一般的な情報だと考えられるし、そのぶんだけ多くの文脈で正当性が確認されたものだと捉えられるからだ。
とのこと。こうなると、いよいよフェイクニュースを克服するのは困難な気がしてくるわけですけど、とりあえず「真実の錯誤効果」の存在を知っておくだけでも解毒剤にはなるんじゃないかと思う次第です。いやー、自分も気をつけないと……。