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誠実性で仕事のパフォーマンスは上がる。では具体的にどれぐらい効果があるのか?を調べた大規模リサーチのお話

 

誠実性って大事よねー」ってのは、このブログでもよく書いている話。誠実性ってのは「きっちりと物事をこなし、手際よく行動し、適切に物事を行おうとする」タイプの性格特性で、周囲から「あの人はちゃんとしてるねー」と言われるような人たちですね。

 

 

この特性が大事なのは直感的にもわかりやすい話で、ものごとをコツコツとやれる人は、仕事でも勉強でも成果を上げやすいでしょうからねぇ。過去の研究を見てると、誠実性に比べると、外向性やメンタルの安定性とかはそこまで仕事の成果に結びつかない傾向がありまして(完全にないわけじゃないけど)、なかなか面白いもんです。

 

 

で、新しいデータ(R)もそのへんの話をガッツリ調べた内容になっていて、「果たして誠実性はどこまで仕事の成果に欠かせないのか?」をテーマにした内容になっております。

 

 

具体的には、過去の約100年におよぶ先行研究から92件のメタ分析をまとめたもので、誠実性の高さと仕事の成果に関するいろんな要素との関係をチェックしてくれてます。たとえば、

 

  • 仕事で先延ばしをしないかどうか
  • リーダーシップは発揮できるかどうか
  • 仕事のモチベーションは高いかどうか
  • 仕事での幸福感は高いかどうか
  • 燃え尽き症候群になったりしないか

 

みたいなことですね。こういった要素を44つほど抜き出して、それぞれに誠実性がどう影響を与えるのかを調べたんだそうな。過去にないレベルの量をあつかっていて、まことによろしいのではないかと。

 

 

ねんのため、この研究でいう「誠実性」の定義を紹介しておきますと、

 

誠実性とは、勤勉で、きちんとした性格で、他人に対する責任感が強く、自己をよく管理し、しっかり規則を守る傾向における個人の性向を指す。

 

みたいになります。ざっくり言えばセルフコントロール能力が高い人って感じですかね。

 

 

で、全体を見てまず大きな結果から申し上げますと、

 

分析の結果、誠実性は全変数の98%において、望ましい影響を持つことがわかった。

 

ということで、やはり仕事における大半のケースで誠実性は意味を持つっぽいらしい。

 

 

ただし、当たり前ながらそれぞれの数字は大きく違っていて、ざっくりした傾向を見てみると、

 

  1. ゴールに向かって進むモチベーション
  2. より変化がわかりやすい環境への好み
  3. 仲間への責任や目標の分かち合い
  4. 仕事へのコミットメント
  5. 仕事への忍耐強さ
  6. ムダなことを避けて自分を律する能力
  7. 全体的なパフォーマンスの上昇

 

といった内容と誠実性の結びつきが確認されていて、とてもよろしいのではないかと思います。

 

 

また、ここではさらに「ただし誠実性の重要性は職種によって変わるよ!」という目新しい知見も得られてまして、

 

  • 誠実性の高さは「複雑性が大きい職業」のパフォーマンスを予測する力は低い

 

って傾向が見られたそうな。「複雑性が大きい職業」ってのは何かと頭を使うような仕事のことで、この文献に具体例は出てないものの、高度なスキルを必要とする専門職などだと思われます。

 

 

一方で、「複雑性がそこそこの職業」については予測度が高い傾向がありまして、

 

  • カスタマーサービス
  • ヘルスケア
  • 軍人
  • セールス

 

といった職業ではρが.25とか.33ぐらいの数値になってます(複雑な職業は.13とか)。まぁさすがにあまりに高度なスキルが求められる仕事だと、さすがにコツコツやるだけじゃどうにもならない要素も多いんでしょうねぇ。

 

 

研究チームいわく、

 

私たちは、職業選択やキャリアプランの場面において自身の誠実性レベルを考慮することで、メリットを得られるだろう。また社会的にも、誠実性の開発に的を絞った介入やプログラムへの投資はより多くの利益を生むかもしれない。

 

ってことでして、「いかに誠実性を上げていくか?」ってポイントを強調されておりました。どうぞよしなにー。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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