雑学を速く読みまくるだけで自信がつく!気分が良くなる!良いアイデアが出る!みたいなデータの話
「文章を速く読みまくるだけで自信がつく!気分が良くなる!良いアイデアが出る!」みたいなデータ(R)がおもしろかったんでメモ。
これはプリンストン大学の調査でして、被験者を集めて2つのグループに分けてます。
- 雑学をできるだけハイスピードで読む
- 雑学を普通のスピードで読む
ってことで、実際に使われた”雑学”ってのはこんな感じだったみたい。
- 海は地球の表面の71%を覆っている。
- アルカリ電池は一般的に普通の電池よりも長く使える。
- オオカバマダラはゆっくり飛ぶが、その代わりに何百マイルもの距離を飛ぶ姿が目撃されている。
- オリンピックは4年ごとに開催される。
- アテネから船で半日のところに、ミコノス島がある。
- サトウキビとテンサイは112カ国で栽培されている。
- ロッキー山脈にある山の多くは、高さが14,000フィート以上ある。
- アパラチア高地は、アラバマ州北部からカナダのセントローレンス川にかけて広がる、古びた山々と高原だ。
- 地球と太陽との最大距離は94,452,000マイルである。
- ナイル川は世界最長の川です。
珍しいトリビアからほぼ常識みたいな知識までさまざまですが、とにかくこれらの文章を読むスピードでメンタルに違いが出るんじゃないか?と研究者は考えたわけであります。
なんでこんな実験を思いついたかと言えば、過去の研究で「思考のスピードによって人間の行動は変わる!」みたいな結果が出てたからです。ざっくり言うと、先行研究でも同じように被験者に「雑学を読んでね!」と頼んだんですが、すると高速で文字を追ったグループのみリスクを取る傾向が高まり、高額な賭けにも手を出す確率が高まったらしいんですな。不思議なもんですねえ。
で、今回の実験では、全体に雑学を読んでもらったあと、みんなに以下のような質問をしたそうな。
- いま、あなたはどれくらい幸せですか?
- いま、あなたはどのくらい元気ですか?
- いま、あなたは自分にどのくらい自信がありますか?
さらに、ついでに全グループに創造性を測るテストを指示したところ、ハイスピードで雑学を読んだグループにはこんな違いが現れました。
- より自分は幸福だと報告するようになった
- エネルギーにも満ちた感覚が増大した
- より創造性がアップした
- 前より尊大な態度になった
ってことで、高速で文章を読んだグループは、妙に自信がアップして少し偉そうになり、さらには良いアイデアを出せる確率が上がったんだそうな。おもしろいっすねぇ。
なんで雑学を高速で読んだだけでこんな現象が起きるのかはよくわからんのですが、研究チームは以下のように推測しておられます。
私たちの”期待感”が、いまの気分に影響を与えているのかもしれない。これまでの研究では、「思考の速さ」を「気分の良さ」と結びつけて考えている人が多かった。このようなイメージがあるおかげで、私たちが素早く考えてだすと「いま自分は幸せに違いない」と本能的に脳が考え始めるのかもしれない。
さらに、素早く思考することで、喜びや報酬の感覚に関わる脳のドーパミン系が活性化する可能性もある。思考が速くなると、すぐに行動を起こさねばならない気分になり、エネルギーが増加するのだろう。
たとえば、登山道を走っているときにヘラジカを見つけたら、危険に備えて素早く考えて行動しなければならないはずだ。そのとき、普通のペースで考えていたら思いもつかなかったような創造的な解決策が生まれてくる可能性は高くなる。
とのことで、ざっとまとめると、
- もともと人間は幸福だと思考が速くなる傾向があるので、逆に高速に考えただけでも幸福度が上がるのかも?
- スピーディな思考は脳のテンションを上げてくれるので、そのぶんだけ意外なアイデアを生みやすいのかも?
みたいになりましょう。まぁこのへんのメカニズムはまだ謎ですけど、とりあえずちょっと落ち込むようなことがあったら、雑学本なんかをハイスピードで読んでみるといいかもしれません。