このブログを検索




リーダーにふさわしい人、ふさわしくない人の性格の違いとは?

 


リーダーにふさわしい人の性格はこれだ!みたいなデータ(R)がおもしろかったので、簡単にメモっておきましょう。

 

 

これは1984年からドイツで始まった社会調査のデータを使ったもので、研究の期間中にリーダーの地位に就いた2,683人と、そうでない30,980人を比較しております。全体(33,663人)のうち約50%が女性で、リーダーの女性率は36%、非リーダーでは約51%だったそうな。

 

 

この調査では、おもにみんなの性格特性をいろいろ調べてまして、ざっと見てみますと、

 

  • 知覚されたコントロール状態(「私は自分の人生に起こることをほとんどコントロールできている!」と思えるかどうか)
  • 自尊心(「私は自分に対して肯定的な態度を持っている!」と思えるかどうか)
  • リスクへの態度(リスクを取ることを厭わないか、それともリスクを取ることを避けようとするか)
  • 他者への信頼度(人を信頼できると思っているかどうか)
  • 他者を許す傾向(他人への恨みを根に持たないかどうか)
  • 互恵性(私は過去に親切にしてくれた人にお返しをするかどうか)

 

みたいになってます。とにかくいろんな角度から大量の性格特性を調べて、人の上に立つ人とそうでない人の違いを調べてみたわけですね。

 

 

それでは、おおまかな結果を見てみましょうー。

 

  • リーダーになった人は、高い地位を得る前から外向的で、開放性が高く、情緒が安定していて、誠実性が高く、リスクをとることをいとわず、より大きなコントロール感を感じており、より他人を信頼する傾向があった。

 

  • また、誰かに任命されるのではなく、集団内で自然発生的にリーダーになった人も人格が変化し、より外向的で、開放的で、リスクを取ることをいとわず、より人生をコントロールできる感覚が上がった。

 

  • ただし、いったんリーダーに任命されてしばらく過ぎると、多くの人は外向的でなくなり、リスクを取らなくなり、誠実性にも低下が見られた。

 

ということで、たいていのリーダーは元から外向的でリスク志向も強いものの、役職に就いたあとは、外向性、リスク許容度、誠実性は低下するらしい(コントロール感と開放性は維持される)。

 

 

では、まずはなんでリーダーは一般人よりも外向的で、経験に対してオープンなのかと言いますと、

 

  • 開放的で外向的な人は、他人に指示を出することを楽しみ、その指示を成功させる可能性が高いため、そもそも管理職に向いているから。
  • リーダーになりたい人は、リーダーシップに適した環境、役割や責任(小規模プロジェクトのリーダー、ネットワークづくり)などを自ら選ぶため、そのような環境の変化が、自信、外向性、開放性の向上につながるから。

 

といったあたりが指摘されておりました。こうして見ると、もともとリーダーの素質がない人(私のような性格の人)も、人を指導する立場になると、生まれ持った性格もそれなりに変わるんでしょうな。やはり環境が人を育てると申しますか。

 

 

さらに、なんでいったんリーダーになった人の外向性が減り、リスク志向が低下しちゃうのかと言いますと、

 

  • 仕事の要求が高まった結果、リーダーは社交のための使うエネルギーと時間が減り、より内向的になるから。
  • リーダーになった人は、自分の役割を守ることに重点を置くように変化し、リスク志向が低下するから。
  • リーダーは、しばしば異なるプロジェクトを柔軟に切り替え、他人に仕事を任せ、品質を妥協する必要があるため、結果として誠実性が低下するから。

 

のような原因が挙げられておりました。いずれにしても、環境によって性格に変化が出るのは間違いないようでして、おもしろいもんすね。

 

 

ってことで、ここから教訓を得るとするならば、

 

  • 「この人はリーダーの素質があるか?」ってのを見抜きたい人は、外向性と経験への開放性の高さに注目するとよさそう。
  • リーダーになりたい人は、外向性と開放性をアップさせるための介入をしたほうがいいかも

 

って感じになるでしょうね。外向性と開放性をアップさせるための介入については、「ダメな性格を変えたい!というあなたに送る246の行動チャレンジリスト」をご参照いただくとよろしいのではないかと思う次第です。

 


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

INSTAGRAM