「指圧で睡眠が改善するかも!」というメタ分析のお話
「指圧で睡眠が改善するかも!」というメタ分析(R)が出ておりました。手はじめに言っておくと、指圧と睡眠の研究はまだまだ数が少ないし、今回のデータでも不確実な部分が多いため、「眠れないときは指圧だ!」とは言えないレベルなんですけど、
- 少なくとも指圧で睡眠が悪化する可能性は低い
- 指圧は手軽で金もかからないので、睡眠に悩んでいる人は試してみるといいよー。
ぐらいの結論は出せるんじゃないでしょうか。もし効果がなかったとしても、自分で指圧をするだけなら、金もかからないですからね。
ってことで、この研究では、睡眠の改善法を調べた過去の調査を調べて36のデータをピックアップ。リラクゼーション法、運動、指圧、認知行動療法といったいろんな方法が、どれだけ睡眠の改善に効くのかを調べたんだそうな。
といっても、リラクゼーションや運動の効果は周知でしょうから、ここでは「指圧」にしぼって結果をまとめておきます。
- 指圧しない人と比べて、指圧をした人は、睡眠の質が「もしかしたら上がるかも?」ぐらいのあいまいな効果が確認された。
- また、指圧をすると、おそらく眠りに入るスピード(中程度の確実性)と、睡眠時間が改善されるかもしれない(非常に低い確実性)。
- 指圧で睡眠障害や抑うつ症状が改善するかどうかはよくわからない。
- 指圧はおそらく疲労を減少させる……ような気がする。
ってことで、いずれも「よくわからんけどね!」って注意書きつきですが、指圧で睡眠が改善する可能性はあるんじゃないでしょうか。
ちなみに、ここでチェックした研究の他にも、
- 2010年に行われた実験(R)では、睡眠に問題のある25人に5週間の指圧治療を行ったところ、睡眠の質が改善したほか、その効果は治療をやめても2週間続いた。
- 不眠症の閉経後女性45人を対象とした2011年の研究(R)でも、4週間の治療で睡眠の質が改善する効果が見られた。
ってな結果が出てたりします。もちろん、いずれも小規模で限定的な研究なので、具体的な結論を出すには十分な質の高いデータがまだまだ足りないながら、マッサージのリラクゼーション効果は間違いなく、指圧でも似たようなメリットが得られた結果として、睡眠が改善する可能性はあるんじゃないかと。
では、具体的にどんな指圧をすればいいのかと言いますと、以下のような手法を試してみるといかもしれません。
1. 神門
神門は、手首にあるツボ。この部分に小さな空洞があるのを感じながら、円を描くように、または上下に優しく指圧しましょう。左手のツボを優しく数秒間押さえたら、次に右側を押さえる作業を繰り返し、2〜3分ぐらい続けましょう。
2. 内関
内関も手首にあるツボのひとつ。だいたい手首の付け根から指3本分下に存在しております。ここを押すときは、親指で2本の腱の間を下向きにしっかりと圧迫しましょう。そのうえで、筋肉がほぐれたと感じるまで、円を描くように、または上下に動かすようにマッサージします。
3. 風池
風池は首の後ろにあるツボです。首の筋肉が頭蓋骨にくっつくあたりにありまして、このエリアを親指でしっかりと圧をかけ、円を描くように、または上下に動かしながら、この部分を4~5秒間マッサージしましょう。1回の指圧時間は2〜3分です。
4. 三陰交
三陰交は足の内側、くるぶしのすぐ上にあるツボです。このあたりを深く圧迫しつつ、円を描くように、または上下に動かすように4~5秒間マッサージしましょう。一説には、生理痛にも効果があると言われてますが、そこらへんは謎。
5. 湧泉
足の裏にあるツボです。つま先を内側に丸めたときに、足の真ん中より少し上にできる小さなくぼみのあたりですんね。ここを押すときは、仰向けに寝て膝を曲げ、両手で足の裏のくぼみにしっかりと圧をかけ、円を描くように、または上下に動かしながら2〜3分間マッサージしましょう。