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【質問】お酒に強くなる方法はありますか?

 


 

こんなご質問をいただきました。

 

お酒が飲めない体質で、すぐに赤くなります。もっと飲めるようになる方法はありますか?

 

とのことで、アルコールに強くなるにはどうすればいいのかというお尋ねでございます。

 

まぁ個人的には、「飲めないなら無理して強くなる必要もないのでは?」としか思わないのですが、いちおうお答えを書いてみましょう。

 

で、最初の注意点として、あなたがアルコール不耐性の場合は、ぜひ「酒に強くなろう!」とか思わないでくださいませ。アルコール不耐性ってのはアルコールに含まれる毒素を分解するための酵素が体内にない状態で、生まれつきこういう体質を持った人がいるんですよ。

 

アルコール不耐性を持つ人は、酒を飲んだあとで以下のような状態になりがちであります。

 

  • 顔の赤みや紅潮(いわゆるアルコールフラッシュ)
  • 皮膚のかゆみ、その他、じんましんなどの皮膚のトラブル
  • 喘息の悪化
  • 鼻水/鼻づまり
  • 血圧の変化
  • 吐き気
  • 下痢

 

このタイプがずっと酒を飲み続けると、たんに気持ち悪くなるだけでなく、体全体の炎症がブーストしまくかもしれないのでご注意ください(R)。無理に酒を飲もうとか思わず、酒抜きで楽しくやる方法を考えるほうが無難でしょう。

 

このポイントをふまえたうえで、「酒に強くなる方法」を一言でまとめるなら、

 

  • 少量ずつ酒の量を増やす

 

しかないでしょう。酒に強い人ってのは、たいていは「いつも飲んでるから体が慣れている」だけでして、それ以外の要素ってあんま関係ないんですよ(もちろん生まれつき分解酵素の分泌量がすごい場合もありますが)。

 

なので、アルコール不耐性でない限り、毎日少しずつ酒量を増やせばほぼ確実にアルコールには強くなるはず。実に簡単な話ですが、いくつかポイントもあるので、最後にそのへんをチェックして起きましょう。

 

  • ポイント1. とにかく定期的に飲む:定期的に大量のアルコールを飲んでいる人は、血中のアルコール量が増えても脳に耐性がつき、酩酊の兆候をほとんど示さなくなりやすい。しかし、この習慣が途切れると、通常は一気に耐性が減る。

    また、定期的にアルコールを飲むと、肝臓がアルコールを体外に排出する効率を高める。その結果、血液中のアルコールが減少し、酔いにくい体になっていく。

 

  • ポイント2.同じ環境で飲む:同じ環境で飲むと、脳に耐性がつきやすくなる。たとえば、いつも家飲みをしている人は、家で飲む限りは酩酊が起きづらいケースがよくある。しかし、いつも家飲みをしている人が半年ぶりにバーに行くと、脳が慣れ親しんだ環境シグナルを受け取れず、アルコールの影響を受けやすくなる。

 

  • ポイント3.同じ行動をする:アルコールを飲んだ状態で同じ作業や活動を繰り返すと、その行動のパフォーマンスは落ちにくくなる。たとえば、普段から酒を飲んで麻雀をしている人は、学習耐性が起きるため、その後も飲んで麻雀をしてもパフォーマンスは下がりにくい。しかし、普段はシラフで麻雀をしている人が、酒に酔うとパフォーマンスは低下しやすい。

 

 

  • ポイント4.とにかくゆっくり酒量を増やす:酒を増やすときは、とにかくゆっくりやってください。たとえば、「普段よりも0.5杯だけ多く飲む!」ぐらいのペースでジワジワと増やしていくのが基本です。

    普段まったく酒を飲まないという人は、まずは小さいグラスを0.5〜1杯だけ飲むところからスタートしましょう。いつもは1杯までなら飲めるという人は、1.5〜2杯ぐらいからはじめてください。

    まぁ、そうは言っても、個人的には1回の酒量は2杯までを限界にしたほうが良いと思ってますんで、それ以上の耐性をつけるのはおすすめしませんが。

 

 

  • ポイント5.筋トレをしまくる:基本、筋肉がある人ほどアルコールの耐性レベルが高い傾向があります。海外の高身長レスラーたちが、ガンガンに酒を飲んでも酔わないのは、これも理由のひとつなんでしょうな。

    というわけで、本気で酒に強くなりたいなら筋肉を増やすのもアリ。私たちの筋肉は1年で2kgぐらいしか増えないので、酒に強くなるレベルで体をデカくするには超時間がかかるでしょうが。

 

 

  • ポイント6.酒は食事と一緒に:これはよく言われることですが、やはり食事と酒をセットにするのは大事。胃に食べ物があるときには、アルコールの吸収が遅くなるので、アルコールの影響が表れにくくなりますんで。

    ただし、これは「食事と一緒に酒を飲めば健康だ!って話ではないので注意してください。食事はたんにアルコールの吸収を遅らせているだけで、いつもより大量の酒が飲めるようになるわけじゃないんで。

 

 

  • ポイント7.酒は水と一緒に:ちょっと前に、「『水さえたくさん飲めば二日酔いは防げる』ってのは間違いです」という話を書きました。水をいくら飲もうがアルコールの影響は変わらないんですよね。

    ただし、脱水状態のときにアルコールを飲むと、アルコールを希釈するための血液中の水分が少ないため、耐性が低下するのは間違いないところです。その意味では、脱水を防いで耐性を上げるために水を飲んでおくのは良いことでしょう。

 

 

  • ポイント8.体調万全で飲む:体調が悪いときは体がアルコールを処理する能力も落ちるので、耐性はより低くなります。なので、アルコールを増やす実験をする際は、ぜひとも体調が万全のときだけに限るようにしてくださいませ。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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