コーヒーを飲むなら「朝だけ」が最強説
「コーヒーは朝だけ飲むと寿命が延びるかも!でも一日中飲み続けると、その効果はなくなるかも!」と思わせるデータ(R)が出ておりました。飲むタイミングによってコーヒーのメリットが変わるかも?って話ですな。
これは42,188人を対象にしたコホート研究で、まずは研究の内容をざっくり見ておくと、
- 対象者:42,188人
- 食品頻度質問票か、半年間隔で2回行った7日間食事記録で、みんなのコーヒーの飲み方を調べる
- みんなの心血管疾患(CVD)による死亡リスク、全死亡リスク、がんによる死亡リスクも調べる
みたいなデザインで、コーヒーの飲み方によって死亡リスクが変わるのかを調べたんですよ。すると、結果は以下のようになりました。
- 朝だけコーヒーを飲んだ人は……
- 1日1杯でCVD死亡リスクが35%低下
- 1日1〜2杯で全死亡リスク16%低下、CVD死亡リスク30%低下
- 1日2〜3杯で全死亡リスク29%低下、CVD死亡リスク48%低下
- 1日3杯以上で全死亡リスク21%低下、CVD死亡リスク39%低下
- ただし、一日中コーヒーを飲んでいる人には、特に死亡リスクの低下効果は見られなかった
- また、がん死亡リスクには、特に関係がなかった
ということで、かなりハッキリした差が出てますね。コーヒーが体に良いのは昔から言われてましたけど、実は「飲むタイミング」も効果を左右しているのではないか、と。
では、なんで今回の研究では「朝のコーヒー」の効果が高いって結果が出たのかと言いますと、だいたい以下のような理由が考えられるんじゃないでしょうか。
- 睡眠の質を守れるから:コーヒーに含まれるカフェインは睡眠を邪魔するので、午後以降にカフェインを摂ると、睡眠の質が悪化したり、睡眠時間が短くなったり、夜間の覚醒が増えたりしがち。睡眠不足は心血管疾患リスクの大きな要因のひとつなので、「朝にだけコーヒーを摂る→睡眠の質に影響しない→心臓に優しい」ってことなのかも。
- 朝の炎症を抑える可能性:朝起きたばかりの体は、自然と炎症マーカーが高めになっていることが知られている。これに対して、コーヒーに含まれるクロロゲン酸やトリゴネリンといった抗炎症成分が働き、心血管系の健康にプラスに働いているのかも。
この考え方がどれだけ正しいかは謎ですけど、可能性としては割とありそうな気がしますんで、コーヒーは朝だけに限るのが良いのかもしれませんな。
となると、次は「1日に飲むコーヒーの量はどれぐらいが良いの?」って疑問がわいてきますが、これについては過去のメタ分析を参照するのが良さそうでります。
- 2012〜2021年の大規模コホート研究とメタ分析(R)では、コーヒーは全死亡リスクや心血管疾患死亡リスクを下げると一貫して報告されており、1日2〜4杯あたりがもっともリスク低下が大きい傾向があった。
- また、2019年のメタ分析(R)では、以下のような傾向が確認されている。
- 1日1.5〜6杯までの摂取で全死亡・CVD死亡リスクが低下
- 1日3.5杯で全死亡リスクが最低に
- 2.5杯/日でCVD死亡リスクが最低に
ということで、これらも合わせて考えると、コーヒーは1日1〜3杯ぐらいが無難なラインですかね(もちろん、カフェイン耐性にもよりますが)。
ちなみに、ここまで読んで「自分はカフェインが苦手だからなぁ……」と思った方もおりましょうが、幸いにも今回の研究では「カフェインなし(デカフェ)でも効果あり!」と報告されてたりします。
カフェインレスでもちゃんと死亡リスクを下げる効果が見られてますんで、コーヒーの効果ってのはカフェインによるものよりも、抗酸化物質や抗炎症物質の効果のほうが大きいんでしょうな。なので、カフェインに敏感な人でも、朝にデカフェコーヒーを1〜3杯飲むだけでも、十分なメリットが得られそうっすね。
さらに余談ですが、コーヒーを飲む際にはひとつだけ注意点がありまして、フレンチプレスやトルコ式コーヒーみたいなフィルターなしで作ったコーヒーは、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を上げる可能性があるので、そこは頭に入れておきましょう。紙フィルターを通さないと、コーヒーに含まれるカフェストールやカーウェオールといった脂質が、そのまま体に入っちゃうんですよ。
そんなわけで、ここまでの話をまとめると、
- コーヒーは1日1〜3杯/日ぐらいがベスト
- 飲むのは朝だけにしたほうがよさげ
- デカフェでも十分に効果はありそう
- できればフィルターを通したコーヒーを飲むのがベター
みたいになりますね。まあ私は最近ちょっとカフェイン中毒気味なので、昼以降もコーヒーを飲んでたりするんですが、これを見ると朝だけに限定しようかなーって気にさせられますなぁ。