今週の小ネタ:「1日おき断食」は「8時間ダイエット」より痩せるのか問題ザクロに若返りの効果があるんじゃないか説、約90万人のデータで見えてきた「食事とうつ」の相関

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
「1日おき断食」は「8時間ダイエット」より痩せるのか問題
「1日おき断食」と「8時間ダイエット」はどっちが効果的なの?ってのを調べた研究(R)が良い感じでした。
これはスイスのチューリッヒ大学などによるもので、
- 「8時間ダイエット」(たとえば、12時〜20時だけ食べる)
- 「1日おき断食」(1日おきに断食する)
という2パターンの断食の効果を比べてくれております。参加者は太りぎみの成人75名で、全体を以下の3グループに分けてます。
- 1日おき断食グループ(ADF):1日ごとに断食を行う。食べる日は好きに食べてOK。
- 時間制限食グループ(TRE):毎日12時〜20時の間だけ食べて、16時間は断食。
- コントロールグループ:特に食事制限なし。ふだん通りの生活。
この状態で4週間ほど生活してもらい、体脂肪量、体重、内臓脂肪、コレステロール、生活の質などを測定したんだそうな。
その結果がどうだったのかと言いますと、以下のようになりました。
- 体脂肪の減少量
- ADF(1日おき断食):−1,060 cm³
- TRE(8時間ダイエット):−364 cm³
- ADFのほうが696 cm³多く減少してる
- 体重の減少
- ADF:−2.62kg
- TRE:−0.75kg
- ADFのほうが約1.9kg多く減少してる
- その他の効果
- ADFでは、内臓脂肪も有意に減少
- 生活の質も改善
- non-HDLコレステロールの低下も確認
ということで、全体としてみれば「1日おき断食」のほうが良い結果ながら、「基礎代謝(安静時エネルギー消費量)」が低下しているのが痛しかゆしってとこですね。1日おき断食のほうが体が省エネモードに入ってしまい、何もしていないときの消費カロリーが落ちてしまうってことですな。
なので、この研究を見るかぎり、短期間で体脂肪を落としたい人には「1日おき断食」が有効のようでして、特に、
- 内臓脂肪が気になる
- 糖代謝や血中脂質に不安がある
- 一気に体を絞りたい
といったケースでは1つの選択肢になり得るんでしょうな。もちろん、研究期間がたった4週間だし、参加者が75人とやや少なめなので、長期的な影響やリバウンド率までは判断できませんが。
個人的には、「1日おき断食」は期間限定でやったほうがいいんだろうなーと思ってまして、たとえば、
- 2〜4週間だけ集中して取り組む
- 減量が落ち着いたら、「8時間ダイエット」などゆるめのファスティングに移行する
といった形で使い分けるのがいいんじゃないかと思うわけです。「最近なかなか体重が落ちないなー」という方や、「年始に太りそう……」という方は、軽く試してみる価値はあるかもしれません。
ザクロに若返りの効果があるんじゃないか説
「ザクロって若返りフードなんじゃない?」と思わせる研究(R)が出ておりました。
こちらは、55〜70歳の健康な高齢者72名を対象にしたRCTで、参加者を2つのグループに分けてます。
- ザクロ抽出物グループ:毎日740mgのザクロエキスを摂取
- プラセボグループ:見た目は同じだが、実際には何の成分も入っていない偽薬を摂取
実験の期間は12週間で、IGF-1(インスリン様成長因子)やテロメアの長さ(老化の指標とされるDNAの端っこの部分)の変化をチェックしたんだそうな。
で、3か月後に測定してみたところ、こんな感じの結果が出ました。
- IGF-1のレベルは、ザクログループで小さいながらも有意な増加が見られた
- 一方、テロメアの長さには両グループで差が見られなかった(=ザクロでテロメアは伸びなかった)
ざっくり言えば、「ザクロで成長因子がちょっと増えるかも?」みたいな結論ですね。
ここで少し補足しておくと、IGF-1ってのは「インスリン様成長因子」のことで、体の修復や成長に大きく関わるホルモンであります。年齢とともにどんどん減少していくのが特徴で、こいつが減ってしまうと、筋肉や骨が衰えてしまうと考えられるんですな。なので、「IGF-1が増えた」って結果は、なかなかありがたいわけです。
まあ、そこまでパキっとしたデザインの実験でもないので、「ザクロを飲むべし!」と言えるようなレベルじゃないんですが、ザクロにはポリフェノールが豊富で、抗酸化・抗炎症作用があるのは確かなんで、「なんとなく体に良さそうだから」という理由で日常的に取り入れるのもアリでしょうね。
約90万人のデータで見えてきた「食事とうつ」の相関
このブログでは「食事とメンタル」の関係をめちゃくちゃ扱ってるわけですが、新しい文献(R)では、43件の観察研究(総参加者数90万人以上)をまとめてメタ分析を行い、「炎症しやすい食事とうつ病の関係」についてナイスな指摘をしてくれておりました。
この研究では、「食事炎症指数(Dietary Inflammatory Index = DII)」という有名な指標を使ってまして、これがどんなものなのかをざっくり言うと、
- DIIが高い=炎症を起こしやすい食事(加工肉、砂糖、トランス脂肪酸、精製穀物などが多い)
- DIIが低い=炎症を抑える食事(野菜、果物、オメガ3、食物繊維などが多い)
みたいな感じで、日々の食事が体に炎症をもたらすかどうかを数値化してるんですな。
で、今回のメタ分析は、11件のコホート研究と32件の横断研究をガッツリとまとめた上で、こんな結論を出してくれております。
- もっとも炎症を起こしやすい食事をしていた人は、抑うつのリスクが53%高かった
DIIの数値が高くなるほど、うつリスクも直線的に上昇する傾向が見られた(非線形だけど、傾向としては明確)
ということで、「炎症っぽい食事をしていると、メンタルにも炎症が広がる可能性がある」って傾向が明確に現れたわけです。
まあ、この炎症とメンタルの完全に解明されてるわけではないですが、この研究では、両者が関係するメカニズムを以下のように指摘しておられます。
- 炎症が神経伝達物質に影響を与える説:慢性的な炎症は脳の神経伝達物質のバランスを乱す。特に、「インターロイキン6」や「TNF-α」などの炎症マーカーが増えると、脳内の神経活動がうまく働かなくなり、気分の落ち込みや不安が強まりやすくなる。
- 腸内環境がメンタルに影響を与える説:腸内のバランスが崩れると、炎症物質が全身に回って脳にも影響を与える、いわゆる「腸脳相関」の考え方。食物繊維や発酵食品を取ると気分が安定しやすいのも、このルートで説明できる可能性がある。
もちろん、この研究は観察研究なので因果関係は証明できないし、研究間のばらつきも高いので、あくまで「関連がある」レベルの話なんですけども、やはり「ちょっとずつ炎症を抑える食事に変えたほうがいいよねー」って結論にはなりましょう。抑うつのリスクが53%変わるってのは、なかなか大きな数字ですからねぇ。

