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プレッシャーに弱い人が「やる気」をバリバリ出すためにはどうすればいいのか?を、モチベーション研究の大御所が教えてくれてます

 
 

「やる気が出ない日々をどう乗り切るか?」ってのは、わりと多くの人に共通する悩みじゃないでしょうか? 朝起きて仕事に出かけて、帰ってきたら家事をやって寝る……みたいな毎日をひたすら繰り返していると、ふと「なんか、ずっと同じような生活を繰り返してて、生きるモチベーションが下がってきたな」みたいな気分になることは誰にでもあるでしょう。

 

この問題を解決するために、ビジネス書などではいろんな対策が提案されているわけですが、近ごろリチャード・M・ライアン先生が面白い論文(R)を出してくれていましたので、内容をチェックしておきましょう。

 

この名前でピンときた方も多いでしょうが、ライアン先生はモチベーション研究の重鎮でして、80年代に提唱されて現在も大きな影響力を持つ「自己決定理論(Self-Determination Theory:SDT)」の生みの親のひとりであります。めっちゃ大御所ですね。

 

SDTがどのような理論かをざっくりおさらいすると、

 

  • 人は「自分で選んでやってる」と感じられるほど、やる気が出る

  • 逆に「やらされ感」が強いほど、燃え尽きやすくなる

 

という考え方です。たとえば、上司に「これやっといて」と命じられた仕事よりも、「自分で選んで引き受けた仕事」のほうがモチベーションが上がるのは当然でして、直感的にもわかりやすい理論じゃないでしょうか。

 

もちろん、現実の世界で完全に自由な人生を達成するのは無理な話で、上司からきつい締め切りを振られたり、家族サービスをしなければならなかったり、ご近所付き合いをする必要が出てきたりと、自由に振る舞えないような場面はいくらでもあるでしょう。しかし、ここでSDTが強調しているのは、

 

  • 例え不自由な状況であっても、その制約の中で、どれだけ「自分の意思」を感じられるかが重要なのだ!

 

ってポイントであります。たとえば、家族サービスをしなければならないような場面でも、「これは自分が選んでやっていることだ」と思うことができれば、全く何もしないよりは確実にモチベーションが湧くでしょう。こんな感じで、制約がある中でも「自分がやってる感」を確保するのが、SDTの要点であります。

 

でもって、この文献の中でライアン先生は、自身の提唱した自己決定理論をあらためて整理しつつ、ここに「PSI理論」ってのを組み合わせることで、さらに私たちのモチベーションアップに役立つ知見を得られるのではないかと提唱しておられます。SDTはすでに確立した理論ですが、これを別の視点から見てみることで、さらに使い勝手の良いものにしていこうという試みですな。

 

さて、「PSI理論」では、人の傾向をざっくり2タイプに分けます。

 

  • アクション志向:何らかのプレッシャーがかかると、「さて、この問題を解決するにはどうすればいい?」と前向きに考え始め、逆に積極的に動けるようになるタイプ。なので、忙しいほうが調子が良かったりする。

  • ステート志向:何らかのプレッシャーがかかると、「このままでいいのか…」といった思考を何度も繰り返し、それによって動けなくなってしまうタイプ。いわゆる、プレッシャーに弱い人ですな。

 

おそらく皆さんも、自分がどちらのタイプに当てはまるかをすぐに判断できたことでしょう。私はプレッシャー弱いので、確実にステート志向であります。

 

で、STD理論と関係してくるのは「ステート志向」で、ライアン先生は、「ステート志向の人は、自分でコントロールできてる感覚が弱まると、一気に調子を崩しやすい」と指摘しておられます。なんでも、ステート志向の人が「やることが多いのに選択肢がない!」とか「目の前の作業に意味を感じられない!」と思ってしまうと、「何をやっても空っぽだ!虚無感だ!」みたいな感覚におちいりやすいんだそうな。これはめっちゃわかるなぁ。

 

なので、普段からプレッシャーに弱い人ほど、日々の生活のなかで「自分で選んでいる感覚」を取り戻さねばならないわけですが、そう言われても「プレッシャーがかかる状況ではなかなか難しいよなぁ…」と思う人がほとんどでしょう。私もそうです。

 

そこで、ステート志向の人のためにライアン先生がお勧めするのが、毎度おなじみマインドフルネス的なアプローチであります。といっても「瞑想をしまくればOK」みたいな話ではなくて、ライアン先生が強調するのは以下の2つのポイントです。

 

  • 評価やプレッシャーから注意を外す

  • いまやってる“行動そのもの”に意識を向ける

 

要するに、なんらかのプレッシャーを感じたら、評価や結果のことを考えるのではなく、ひたすらいまやっている行動そのものに集中せよってことですな。たとえば、上司から仕事の締め切りを命じられてプレッシャーを感じたら、「締め切りの緊張」とか「上司にどう思われるか」ってとこからは意識を外し、「キーボードを打つ指の動き」や「目の前の作業を一つずつ片づけていく感覚」といった部分に注意を向けると、「これは自分の作業だ!」って感覚が生まれ、そのおかげでモチベーションも上がっていくってことですな。

 

ということで話をまとめると、

 

  • 人は「自分で選んでいる」と感じるほど元気になる

  • しかし、性格によって、プレッシャーへの弱さは違う

  • プレッシャーに弱い人ほど、注意を自分の側に戻すのが効く

 

みたいになります。めっちゃ簡単に言えば、「プレッシャーに弱い人は、いかに嫌な活動を『自分の行動』としてやるかが大事だよ!」って話でして、この視点を持つだけで、日常の消耗はだいぶマシになるんじゃないでしょうか。私も心がけます。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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