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外向的な人は本当に仕事ができるのか?問題をデータでチェックしてみよう!


   

「自分は内向型だから営業は無理!」「リーダーになるには外向型じゃないとダメ!」みたいな話は、誰もが一度は聞いたことがあるんじゃないでしょうか。外向型の性格を持ってる人は“陽キャだから有利”で、内向型は“静かだけど聞き上手”みたいな話は、もはや日常語レベルで使われてるんじゃないかと。

 

しかし、ここで出てくる疑問が、本当に「性格」でそこまで結果に差が出るのか?って問題であります。そもそも性格特性だけで仕事の成果や評価がどこまで予測できるのか?ってことですな。

 

 

そこで参考になるのが、トロント大学などのチームが行ったメタ分析であります(R)。ここで研究チームは「性格と仕事の成果には関係があるのか?」って問題を調べてまして、だいたい以下のような調査を行ったんですな。

 

  • 過去に行われた外向性と職務パフォーマンスの関連の研究をたくさん集めて、数十万人分のデータをまとめる。
  • 上記のデータをもとに、外向性が高い人は本当に仕事ができるのか?仕事ができるなら、いったいどのジャンルの仕事で成果が出やすいのか?をチェックする。

 

ということで、全体としては、外向性と仕事の成果には関係があるのか?をチェックする内容になっていて、それなりに信頼できる結論を出してくれてるんじゃないでしょうか。

 

では、結果がどうだったのかを見てみましょう。ここで得られた結論から、大事なところをまとめてみると、こんな感じになります。

 

  • 全体としては「外向性が高い人は仕事ができる」ことを示しているが、その効果はめっちゃ小さい:外向性と仕事の成果には確かに関係があったんだけど、その相関は「r ≒ .10〜.20 程度」なので、日常的な言葉に訳すと、「仕事の成果については、性格よりももっと影響の大きい要因が山ほどあるよねー」って感じになりましょう。

 

  • 最も強かったのは「リーダーシップ出現」:外向性との関連がまあまあ強かったのは、「リーダーとして選ばれやすい」「グループ内で目立ちやすい」って要因で、つまり「前に出るポジション」に就きやすいっぽい。声が大きくて発言が多い人はリーダーに見えやすいんで、これは納得ですな。ただし、リーダーに“なる”ことと、リーダーとして“有能か”は別なんで、これも外向性が有利とは言えないっすね。

 

  • 面接では外向性がやや有利:外向性には面接パフォーマンスとの相関も確認されてまして、こちらは外向性が高い人のほうが話す量が多かったり、自己表現がスムーズだったりってところが大きいんでしょう。ただし、ここでも効果は小程度なので、やはり「外向型が有利!」と言えるほどじゃなさそう。

 

ということで、こうして見てみますと、別に外向性が高いからといって仕事で有利になれるわけじゃないんだなーってのがよくわかるわけです。「r = .10」って数字を見ちゃうと、「やっぱ性格だけでは、具体的な行動や成果はあまり予測できないんだろうなぁ」って印象が強いですね。

 

では、なんで性格を見ても具体的な行動や成果が予測できないのか?と言いますと、その理由は割とシンプルじゃないでしょうか。

 

 

性格で成果が当てられない理由1.成果は「スキル」によって決まるから

リスニング、プレゼン、交渉、ネットワーキングみたいに、仕事で必要になる能力ってのは、これらはすべて技術であります。いかに外向性が高かろうが、話の構成がめちゃくちゃで要点が伝わらなかったら、評価は上がらないですからね。同じように、社交的なだけでは「説得力のあるプレゼン」はできないし、黙っているだけでは「聞き上手」には見えないですし。

 

その点で、実際の評価を左右するのは、

 

  • 情報をすぐに要約できるか

  • 感情を適切に言語化できるか

  • 論理的に話を構成できるか

 

といった具体的な能力でして、これらは性格によるものではなく、トレーニングでしか身につかないスキルなんですよね。

 

 

性格で成果が当てられない理由2. スキルは訓練で伸びるから

一般に、私たちの性格ってのは、比較的安定した特性だと考えられております。その一方でスキルの有無は練習量に比例してまして、トレーニングを繰り返すほど伸びていくものなんですよね。

 

この意味で、ほんの少しとはいえ外向型に有利な結果が出ているのは、

 

  • 人と接する回数が多い → 練習量が多い → スキルが育ちやすい

 

という流れが働いているからなのかもしれません。要するに、有利なのは「性格」そのものではなく「経験の蓄積」だってことでして、これは別に内向型の人だからといっても変わらないっすね。

 

 

性格で成果が当てられない理由3.統計的に“調整”すると差が消える

リーダーの出現率を調べた研究を見てみた場合、単純な比較だと外向型が有利なんだけど、コミュニケーション能力を考慮すると、その差は消えたとのこと。これもまた、仕事の成果の差を生み出していたのは、外向性ではなくコミュニケーションスキルだったってことを示唆してると思われるわけです。

 

 

ということで、全体的には「結局のところ、仕事の成果を決めるのは性格よりも、自分が身につけたスキルだよなー」って気がするわけで、「自分は内向的だから……」みたいに思ってた人には良いニュースじゃないでしょうか。

 

なので、この問題につきましては、「性格は傾向!スキルは資産!」だと考えたうえで、「自分の苦手な行動に役立つスキルはなにか?」と考えてみるのが良いでしょう。たとえば、面接が苦手なら、「ここで必要なのは表現スキル?論理構成?緊張対処?」みたいに考えてみて、そこから具体的なトレーニングメニューを設計してみたほうが、よほどコントロール可能になって良いのではないかと。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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