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サプリ使ってる日本人の約2割は飲みすぎだぞ!というデータの話

 

サプリメントが便利なのは言うまでもなく、ビタミン、ミネラル、プロテインなど、現代人の食生活で不足しがちな栄養素を補う形で使えば、なかなか有効なアイテムだと思うわけです。私も海外旅行で栄養が偏りがちな時などは、大いにサプリを使っているクチであります。

 

が、ここで問題になるのが、「サプリの過剰摂取」問題であります。あらゆる栄養素には「ちょうどいい摂取量」がありまして、足りなすぎてもダメだし、多すぎてもダメなケースがほとんどなんですよね。水だって飲まなければ死にますが、短時間に大量に飲めば水中毒になるわけで、栄養素も同じように「適量」が大事なんですな。


では、現代人はサプリをちゃんと使えているのかってことで、東邦大学の先生方が興味深いデータ(R)を出しておりました。


この研究は、普段からサプリを使っている日本人2,002人を対象に、「みんな実際にどれぐらいサプリで栄養を摂っているのか?」を調べたものです。単なるアンケートではなく、購買履歴データを使って主要なサプリ25製品を特定。そこから、みんなが「どれぐらいの量を、どれぐらいの頻度で飲んでいるか?」を調べてまして、かなり現実に近い利用実態をチェックしているのがめっちゃいいですね。


でもって、この分析の結果、何がわかったかというと、

 

  • サプリメント利用者の18.5%が、メーカーの示す摂取目安量を超えて飲んでいた!

 

って感じだったそうです。2,002人中371人ですから、ざっくり言えば5人に1人弱が「ラベルに書いてある量より多く飲んでいた」わけで、これはなかなかの割合っすね。

 

さらに、研究チームは、過剰摂取者のなかでも、「耐容上限量」が設定されている栄養素を含む製品を使っていた人も分析しております。耐容上限量ってのは、「習慣的にこれ以上摂り続けると、健康リスクが高まるかも!」と考えられる量のことです。なので、メーカーの目安量を超えているだけならそこまで危険とは限らないんだけど、耐容上限量を超えちゃったら「ちょっとヤバいかも……」みたいな話になってくるんですな。


で、この研究によると、耐容上限量が定められた栄養素を含む製品を使っていた1,705人のうち、目安量を超えていた人が297人。その297人のうち、62%が1種類以上の栄養素で耐容上限量を超えていたんだそうな。これはちょっと怖いっすね。まぁ、だからといって「サプリの飲みすぎで健康被害が出るぞ!」って話ではないんですけども、少なくとも「結構な人がサプリを摂りすぎている」ってのは事実でしょうな。

 

では、どんな人がサプリを飲みすぎやすかったのかってことで、研究チームは、過剰摂取をしやすかった人の特徴を以下のように挙げておられます。

 

  • 年齢は50〜64歳で、中高年層のほうが飲みすぎていた。50代以降になると、体調の変化や健康不安が増えやすくなるので、「少しでも健康に良さそうなものを多めに摂っておきたい!」と思いやすいのかも。

 

  • 仕事をしている人も、サプリを過剰摂取しやすかった。仕事をしている人ほど忙しく、食事が乱れたり、疲労感を感じたりしやすいため、「サプリで帳尻を合わせよう!」とするのかもしれない。

 

  • 水溶性ビタミンを飲む人も、過剰摂取が多かった。これはおそらく、「水溶性ビタミンなら、多く摂っても尿で出るから大丈夫!」と思っているからかもしれない。たしかに、水溶性ビタミンは脂溶性ビタミンよりも体内にたまりにくいものの、栄養素によっては、多量摂取で不調につながる可能性があるので注意したい。

 

  • サプリを6カ月以上続けて使っている場合も過剰摂取が多かった。これは、毎日続けるうちに、過剰摂取への警戒心が薄れるからだと思われる。

 

ということで、どれも納得の結果じゃないでしょうか。とりあえず「最近疲れやすい」「老化が不安」「将来の病気が怖い」みたいな、あいまいな不安をもとにサプリを飲んでいる人は、ちょっと注意したほうがいいかもですね。

 

ちなみに、今回のデータでは、単純に「サプリで耐容上限量を超えた人数」が多い順に見ると、

 

  1. 葉酸:76人
  2. ナイアシン:73人
  3. 亜鉛:46人
  4. ビタミンB6:39人
  5. ビタミンA:37人
  6. マグネシウム:26人
  7. ビタミンD:15人
  8. カルシウム:9人

 

みたいな感じです。ただし、これは「サプリ由来の摂取量」が耐容上限量を超えた人数であって、食事からの摂取量まで含めた総摂取量ではない点にはご注意ください。

 

最後に、今回の研究を踏まえると、サプリを使うときは、以下のルールを守るのがいいんでしょうな。

 

  1. 目安量を超えない:当たり前ですが、メーカーの摂取目安量を超えないのが大事。「効いてる気がしないから増やす」は、基本的にやめたほうが吉。

  2. 複数サプリの成分重複を見る:マルチビタミンを飲んでいる人が、さらにビタミンB群、ビタミンC、亜鉛、鉄などを足すと、簡単に重複しますんで。特に注意したいのは、脂溶性ビタミン、ミネラル、単剤系サプリっすね。

  3. 長期使用しているサプリほど見直す:6カ月以上続けているサプリは、一度棚卸ししたほうがいいかも。最初は必要だったとしても、いまも必要とは限らないんで、定期的に見直してくださいませ。

  4. 「不安だから飲む」を疑う:サプリを増やしたくなったときは、「これは不足を補うために飲んでいるのか、それとも不安をなだめるために飲んでいるのか?」と自問するのも大事。もし答えが後者なら、サプリを増やすより、睡眠、食事、運動、ストレス源の整理をしたほうがいいかも。

  5. 迷ったら検査や専門家を使う:鉄、ビタミンD、B12、葉酸、亜鉛などは、人によって不足リスクが異なりますんで、本当に必要かどうか迷う場合は、自己判断で増やすより、血液検査や医師・管理栄養士への相談を使うべし。特に、持病がある人、薬を飲んでいる人、妊娠中の人、高齢者は、サプリを自己判断で増やすのは避けたほうが無難でしょう。

 

ってことで今回は、サプリ利用者の約2割がメーカーの目安量を超えており、その中には耐容上限量を超える人も少なくないって話でした。健康オタクほど「何を足すか?」ばかり考えがちなんだけど、サプリは飲みすぎのほうが怖いんで、「足りないものを足す」より先に「本当に足りているのか?」を確認するクセをつけたいところであります。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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