腹まわりの脂肪だけ減らない理由:「部分やせ」はどこまで可能か?#2
「『部分やせ』はどこまで可能か?」シリーズの2回めです。ざっくりと前回のおさらいをすると、
- どんなに集中的に特定のパーツ(腹とかお尻とか)を鍛えても、全身の脂肪は(ほぼ)均等に減る
- そのため、どうあがいても特定の部分だけをやせさせるのは無理!
- おとなしく全身の脂肪を落としていきましょう!
って結論でした。おそらく、心あるトレーナーであれば、みんなこういう指導をしてくれるはず。
が、ここで重要なのは、「全身の脂肪は(ほぼ)均等に減る」の部分であります。確かに、特定の体脂肪だけ速く減るなんてことはないんですが、いっぽうで他の部位よりも「減りにくい体脂肪」があるのも間違いないんですよね。
たとえば、女性だったら太ももやお尻とか、男性だったら腹まわりとか。ダイエットをしていても、なぜかうまく体脂肪が減っていかないエリアなら存在するわけです。いわゆる「ガンコな脂肪」ってやつですな。
ガンコな脂肪が存在する2つの理由
その原因にはいろいろありますが、スポーツ栄養学の権威であるライル・マクドナルド博士によりますと、おもな理由は以下の3つ。
1.ガンコ脂肪は血のめぐりが悪い
ガンコな脂肪ってのは、だいたい他のエリアにくらべて血流が悪かったりします。血のめぐりが良くないと、せっかく分解した脂肪酸を血管に送りこむことができず、エネルギーとして燃やせなくなっちゃうんですな。
つまり、がんばってカロリー制限をしたとしても、分解された脂肪は、もっと血流がいいエリア(内臓脂肪とか)から優先して使われていきがち。その結果、いまいち血のめぐりが悪い太ももやお尻は、後回しにされるわけであります。
2.ガンコ脂肪はそもそも燃えにくい
まず前提として、ヒトの脂肪細胞には、アドレナリンってホルモンに反応するセンサーがついております。このセンサーがアドレナリンに反応すると、脂肪が分解されて細胞の外に吐き出されるんですね。
アドレナリンに反応するセンサーは、おもにアルファ受容体とベータ受容体の2つ。
- アルファ:脂肪が燃えるのを止める
- ベータ:脂肪を燃やしてくれる
って働きをしております。
で、ガンコな脂肪には、おもにアルファ受容体がビッシリ。逆にベータ受容体はまばらに散らばってるだけだったりします。そりゃあ、脂肪の減り方に差がつくのも当然と言えましょう。
ガンコな脂肪を燃やすには?
つまり、何が言いたいのかといいますと、
- 特定の脂肪をスピーディに燃やす「部分やせ」はムリ!
- しかし、もともと燃えにくい「ガンコな脂肪」を燃えやすくするのは可能!
ってことです。ある意味「部分やせ」に近いとも言えますが、厳密には違うわけですね。
ここまでの話をいったんまとめると、
- 特定の筋肉だけを鍛えて、狙った部分の脂肪だけを減らすのは不可能。いくら筋肉を鍛えても、そのそばにある脂肪にはほぼ影響が出ない。
- 筋トレをすると熱が生まれて体脂肪は燃えやすくなるが、その影響はごく小さなものでしかない。つまり、筋トレで部分やせを行うのはムリ。
- ただし、他よりも燃えにくい「ガンコな脂肪」なら存在する。ガンコな脂肪は、おもに腹まわり、太もも、脂肪などに多い。
といったところです。これらの要素がいろいろからみあって、「部分やせは不可能!いや、可能!」みたいな論争になっているのかなーと思われます。
では、ガンコな脂肪を燃やすにはどうすればいいかといえば、上にあげた2つの原因を解決すればいいわけです。要するに、
- もっと血のめぐりをよくする
- アドレナリンを増やす
の2つが実現できればいいわけですね。
といったところで、長くなったのでまた次回。具体的に「ガンコな脂肪を燃やす方法」を見ていきたいと思います。