老化と癌のリスクを激しく高める「DNA損傷」にはどうすりゃいいの?問題
DNAのダメージが積もるとヤバい
「DNA損傷についてどう考えてますかー?」みたいなご質問をチラホラいただいたので、ちょっと考えてみましょう。
DNA損傷は、その名のとおりDNAがダメージを受けること。DNAも有機化合物なんで、当然、普通の細胞と同じように傷つくわけですね。おもな原因としては、
- フリーラジカル
- 紫外線
- 化学物質
- タバコ
などなど。たいていの人は1日にひとつの細胞につき10〜50万回ぐらいの損傷が起きてて、そのたびに修復作業が行われてたりします。
が、修復が追いつかなくなると、
- 細胞の老化
- 癌化
って状態になってもう大変。というわけで、アンチエイジングの世界では「DNA損傷」も大きなテーマのひとつになってたりします。
とりあえず炎症対策はマスト
ただし、これはかなり大きな話なんで、「これさえやっとけばOK!」みたいな対策はなし。とりあえず現時点では、「老化の最大ポイント『炎症』を極限まで抑えるためのガイドライン」を地道に守っていくのが大前提になりましょう。
というのも近年の研究(1)によれば、どうやら体内に起きた炎症のせいで、DNAを修復する遺伝子のスイッチがオフになっちゃうらしいんですな。炎症が多い人は発がん率が高いって話は昔からありましたけど、怖いもんですねぇ。
DNA損傷に効くサプリとは?
そんなわけで基本的には「パレオダイエット」や「地中海式ダイエット」に従うのがベストだと思うわけですが、ここんとは「DNA損傷に効きそうな食品&サプリ」もいくつか出てきてますんで、そのへんも紹介しときます。
▼DNA損傷対策のベスト「ブルーベリー」
現時点で、もっともDNA損傷に効いてくれそうなのが、パレオダイエット最強フルーツとしておなじみのブルーベリーであります。
いまんとこ一番データ数が多い食品でして、
- 10名の男性に300gのブルーベリー(アントシアニン348mg相当)を食べてもらったら、24時間でDNA損傷の量が減っていた(2013年,2)
- 168名の男女に1日1000mlのブルーベリージュースを飲んでもらったら、4週間でDNA損傷が20%も減っていた(アントシアニンの量は不明)(2007年,4)
- 18名の男性に1日25gのブルーベリーパウダーを飲んでもらったら(アントシアニン375mg相当)、6週間でDNA損傷が45.8%から37.2%に減っていた(2013年,5)
といったあたりが代表的。いずれもDNA損傷が10〜20%ぐらい減っていて、日常的にちゃんと使えるレベルかと思います。あとはもうちょいサンプル数が多い研究が増えてくれればなぁ…といったところ。
ちなみにブルーベリーエキス系のサプリも売ってますが、個人的には普通に食品として摂るほうをオススメします。最近はセブンイレブンとかイオンでも普通に冷凍ブルーベリーが手に入るし。
オリーブにも希望はあるが…
▼やや希望がありそうな「オリーブオイル&エキス」
ブルーベリーほどではないものの、もしかしたらいいかも…って雰囲気なのが「オリーブ葉エキス」であります。オリーブにふくまれるフェノール類が、DNA損傷にもいいんじゃない?と思われてるんですな。
といっても研究例が少ないのがオリーブ葉エキスの難点でして、
- 12名の男性が1日25mlのオリーブオイルを4日飲んだところ、8-oxo-dG(DNA酸化のバイオマーカー) が49.2〜51.67%ほど下がった(2004年,6)
という1件があるのみ。これが事実ならブルーベリーを超えた能力ってことになるんですが、なにせ研究例が少ないのであんまオススメはできず。それでも試したい!という方は、オリーブオイルを飲むよりはオリーブ葉エキスのほうが楽かと思います。
サプリ使用における注意点
そんなわけでDNA損傷のお話でした。 酸化ダメージが問題なんだから「抗酸化サプリを飲めばいいんじゃないの?」と思いがちですけど、実際はさにあらず、
- ビタミンEサプリはDNA損傷に効かないどころか悪化させる可能性もある(7)
- ビタミンCは1日1000mgを飲み続けてもDNA損傷に変化はなかった(8)
- 1日3gのオメガ3を飲んでもDNA損傷は変わらなかった(9)
みたいな結果が出てますんでご注意ください。あとはエゾウコギやクレアチンなんかもよく言われますが、いずれも統計的に有意なだけで、実際に役立つレベルの効果はない感じですねー。
結局、いまのところは「ブルーベリー最強!」ってのが最終結論。よしんばDNA損傷に効果がないとしても、他にもいろんなメリットがありますんで、毎日食べておいて損はないはず。