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オートミールを筋トレ用に使うのはアリ?ナシ?

Oats

  

オートミールに関するご質問をいただきました。

 

私は今、減量期に入っておりまして、糖質源にじゃがいもを食べています。 しかし、先日、ジムの先輩からオートミールを勧められ、糖質源を変えてみようと思うのですが、オートミールの健康効果について教えて頂けないでしょうか?

 

とのこと。確かにボディビルの世界でも、オートミールを常用している人は多いですねー。

 



オートミールの栄養価は確かに良い

筋トレ界でオートミールが愛されてるのは、シンプルに栄養のバランスがいい感じだから。具体的にはオーツ麦100gあたりで、

 

  • 390kcal
  • タンパク質16.9g
  • 糖質66g
  • 食物繊維11g(そのうち水溶性が半分)
  • マグネシウム177mg
  • 亜鉛4mg
  • 鉄分4.7mg
  • カルシウム47mg

 

といったところでして、タンパク質と糖質のバランスがよく、さらに筋肉の発達に欠かせないミネラルも豊富なんですよね。このあたりは非常に好印象ではないかと。

 

 

信頼性が高いレビューでもオートミールは好成績

さらに、オートミールの健康効果を調べたデータを見ると、こちらも良い成績を出しております。例えば2014年にアバディーン大学が行った 系統的レビュー(1)では、オーツ麦に関する64件のRCTをまとめたところ、

 

  • LDLコレステロールが減る!(最大23%)
  • 総コレステロール値も下がる!(最大19%)
  • 体内の脂質の酸化が減る!……かも

 

って感じで、血管や心臓まわりのパラメータに良い影響が出るのは間違いなさげ。オーツ麦にはベータグルカンって水溶性食物繊維が豊富でして、こいつが働き者みたいなんですな。

 

 

ってことで、安くて栄養価が高くて値段も安いオートミールは、わりと良いチョイスではないかと思う次第です。

 

 

オートミールの問題点とは?

が、もちろんオーツ麦も穀類なんで、小麦と似たような問題点を抱えております。ざっくりと以前に書いた話をまとめると、

 

  • アベニンっていうリーキーガットに良くない成分が入っている(ただしグルテンよりは悪影響はかなり少ない)
  • フィチン酸が多いため、せっかく豊富なミネラルが上手く吸収されにくい

 

って感じです。実際、お腹の具合が悪い人がオーツ麦を食べた場合は体内の炎症レベルが上がったって報告が2010年に出てまして(2)、アレルギー持ちやリーキーガット気味な方は避けたほうが良さそうに思います。

 

 

また、オートミールの場合はフィチン酸も大きな問題になってきます。通常、フィチン酸って水にひたせば減ることが多いんですけど、オーツ麦に関しては当てはまらないんですよ。

 

 

この問題については2002年の論文(3)がくわしくて、ざっくり要点だけ言いますと、

 

  • オーツ麦には、フィチン酸を減らすために必要なフィターゼが少ない
  • フィターゼは熱に弱く55〜65度でも壊れてしまう

 

って感じです。もともとオーツ麦は水につけてもフィチン酸が減りにくいうえに、オートミールを作るときの加熱によって、さらに処理が難しくなっちゃうわけですな。

 

 

つまり、市販のオートミールにはかなりのフィチン酸が残ってる可能性が大。ミネラルの吸収についてはかなり厳しいと考えたほうがよさそうでして、パレオダイエット的にはあんまオススメできないかと思います。

 

 

まとめ 

ってことで以上の話をまとめると、

 

  • オートミールを筋トレ用に使うのはアリ。ただしミネラルは別に補う必要があるのと、お腹が弱い人には向かない
  • ガチなパレオダイエットを実践するなら積極的に摂らなくてもよし。たまに食べるぐらいなら問題はなし

 

みたいな話です。私はアレルギー持ちなので、あえて積極的にオートミールを取り入れておりません。

 

 

ちなみに、上記の問題を減らす方法もあるにはありまして、

 

  1. 100グラムぐらいのオーツ麦を水にひたす
  2. 小さじ5〜8杯ぐらいのヨーグルトを混ぜる
  3. 小さじ2〜3杯のそば粉を混ぜる(そば粉にはフィターゼが多い)
  4. そのまま24時間放置して水をすすぐ

 

って手順を取ればフィチン酸はかなり減るはず。ただし激しく手間なんで、さすがに普段使いにはしづらいっすね…。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。