ネガティブな人は癌になりやすい!はどこまで本当か
マイナス思考で癌になる?
「マイナス思考の人って癌になりやすいんじゃない?」 って考え方があるんですよ。マイナス思考のストレスが体に悪影響をおよぼして、結果として発がんリスクを高めるんじゃないの?みたいな。
この考え方が進むと、「ポジティブ思考で癌に勝つ!」とか「笑って癌を治そう!」みたいなヤバい領域に入っていくわけですが、実際はどうなのかはまだよくわかってなかったんですよね。メンタルと癌の関係を調べた研究は多かったものの、それぞれの結果がバラバラだったもんですから。
ってことで、近ごろ出た論文(1)は、「ネガティブな人は癌になるの?」って問題を調べてくれてておもしろいです。
ネガティブでも発がんリスクは上がらない
これは韓国の大学が行った調査で、過去の研究から質が高い9件のデータをまとめたメタ分析になっております。なので、科学的な信頼性はそこそこ高め。
それでどんな結論が出たかといえば、
- 気分が落ち込んでる人でも発がんリスクは上がらない!
って感じ。鬱病だと診断された人たちのデータを調べても、特に発がん率との関係はなかったそうな。
もちろん、このメタ分析はわりと注意が必要で、国ごとの鬱の診断基準や癌のスクリーニング法が違うのはいかんともしがたいところ。「大きく見ればネガティブ思考と癌には関係なさそうだなー」ぐらいの感じで受け止めとくとよさげです。
逆にネガティブなほうが癌にかかりにくいかも
ただ、そのあたりをさっぴいた上でも、今回のメタ分析はちょっとおもしろいんですよ。というのも、本論で取り扱ってるデータを見ると、研究の質が高いものほど「逆にネガティブな人のほうが癌にかかりにくい!」って結論が出てたりするんですね(2,3)。
その理由はよくわからんですが、ネガティブなほうが慎重な態度になって、体に気を使った暮らしをしやすいの……かも。このへんは今後の展開に期待であります。
いずれにせよ、ネガティブな人が癌になりやすいってことはなさそう。私のように根が暗い人間には、まことにありがたいことでありました。