8000人の男女を調べてわかった「人生の成功」に必須な5つのライフスキル
8000人を11年追いかけてわかった必須のライフスキル
「人生の成功に必要な5つのスキルはこれだ!」って研究(1)がおもしろかったんでメモ。
これはロンドン大学の研究で、52才以上の男女8,119人を対象にしたもの。イギリスの大規模なアンケート調査を使い、全員がどんな暮らしてしてきたかを11年にわたって分析したんですね。
人生の成功に必要な5つのスキルが浮かび上がった
そのうえで「健康で金持ちでメンタルが健全な高齢者の特徴」をより分けていったら、人生の成功に必要な5つのスキルが浮かび上がってきたんですな。これらのスキルを持つ人たちは、
- 健康レベルが高い
- 鬱病の発症率が低い
- 孤独に悩む率が低い
- 慢性病の発症率が低い
- 経済的に安定している
- 肥満が少ない
- 歩行スピードが速い
って傾向がハッキリ出たんだそうな。もちろん、教育レベルや認知機能、生まれた環境といった「後から変えられない」要素は省かれております。
恵まれた環境に生まれたり、高い知性を持っているにも関わらず、人生に失敗してしまう人がいる。その原因は、必要なスキルが足りないからだ。
いっぽうで人生に成功している人たちは、どれだけ恵まれない環境に生まれようが、自己を制して目標を達成するスキルに長けている。
とのこと。
5つのライフスキル
それでは、具体的に「人生に必要なスキル」がなにかと言いますと、
1.粘り強さ
ひとつのことをやり抜く意思力のことで、ほぼグリットと同じような意味です。
「粘り強さ」は健康にも幸福感にも欠かせない。健康や幸福度を高めるには、とてつもない日々の努力が必要になるからだ。粘り強さは、日々の暮らしを送る手助けをしてくれる。
というと「それって生まれつきじゃないの?」と思っちゃいそうですが、近年では「粘り強さも学習可能なスキルだ!」って考え方が普通だったりします(2) 。具体的には、
あたりが参考になるかと思われます。
2.コントロール感
身のまわりの出来事や環境をコントロールできるという感覚のこと。
成長するにつれて、多くの人は「自分がどれだけ世界をコントロールできるか」を学ぶ。コントロールの範囲が広まるにつれてマスタリー(自分の能力に対する満足感)が高まり、人生が予測できるようになっていくのだ。
この予測可能性により、私たちは落ち着きを得られるし、粘り強さと行動力も身につくようになる。
未来への安心感が行動力に結びつくんだって話ですね。未来が不安定だったら、なにも行動しないでリスクを減らしたほうがいいですもんねぇ。
ただし、「自分はすべてをコントロールできる」といったようなニセの信念を持ってはいけない。大事なのは、難しい環境や状況に対して、自分が何らかの影響を与えられると信じることだ。
とのことで、全能感を持てって話ではなくて、あくまで自分の行動で未来がどう変わるかを正確に予想できるかどうかがポイント。
3.楽観性
「未来はバラ色だ!」と信じ込む能力ではなく、難しい環境や状況にも良い面を見つけられるかどうかを意味しております。
実際、「楽観的な人は9%長生きする」なんてデータもあったりして、その効果はかなり証明されつつある感じ。ほかにも、楽観的な人は粘り強い傾向が高いので、大学のドロップアウト率が低いなんてデータもあったりとか。その意味では、ほかのライフスキルと絡みあった要素なわけですね。
というと、やはり「それは生まれつきの性格でしょう!」と言いたくなるかもですが、不安症や心配性は後からでも変えられることがわかってたりします。
4.誠実性
当ブログでも、「人生の成功に必要な要素」として何度も登場しているのが「誠実性」。仕事をきっちりとこなし、細部に気を配り、責任感がある状態を指しております。
誠実性の重要さは何度も実証されていて、IQなんかよりもよっぽどインパクトが大。こちらもトレーニングで高められるポイントでして、
あたりが参考になるかと思います。
5.感情の安定
感情が上がりすぎず下がりすぎず、だいたい一定のレベルを保ち続けられる能力。
「感情の安定」は、ライフスキルの調節装置のような役割を果たす。感情が安定していれば、未来に対して楽観的になりすぎず、過度なこだわりが消え、自分を犠牲にする気持ちが薄れ、コントロールのやり過ぎも防げる。
感情の安定には、私たちの行動をほどほどのレベルに導いてくれるのだ。
ってことで、レジリエンスにも近い話ですが、ポジティブな体験に対してもムダにテンションが上りすぎないのが大事。上記の4つのライフスキルの基盤になる要素なわけですね。
まとめ
ってことで、人生に欠かせないライフスキルでした。全体的に「いまさら身につくの?」みたいな印象も強いラインナップですけど、あくまで研究者は「このライフスキルは訓練で鍛えられる!」と主張しておられます。
この研究では、「特性」のかわりに「スキル」という言葉を使った。これらの要素が、あくまで後からでも変えられることを強調するためだ。いくつかのライフスキルには遺伝の要素も強いが、決して手出しができないわけではない。
とのこと。「感情の安定」にスキルが必要なのはわかりますが、「楽観性や粘り強さもスキルの問題だ!」と言ってくれるのは心強くていいですねぇ。