あなたの記憶力と集中力がガツンと高まる「ひとりごと学習法」とは?
音読が記憶力アップに効く!ってのは有名ですが、今回は「声に出すと頭も良くなるし集中力も上がるぜ!」ってデータ(1)のお話です。
自分の考えを声に出しながら作業をする
これは英バンガー大学の実験で、28人に「エッセイを書いてください」みたいな指示をしたんですな。その際に全体を2つのグループに分けまして、
- 黙読しながら作業する
- 自分の考えを声に出しながら作業する
って感じでテストをしたところ、声に出しながら作業をしたほうが格段に成績が良く、ついでに集中力も高かったんだそうな。ブツブツ言いながら作業をしてる人は不気味ですが、どうやら脳を効率よく働かせる作用があるっぽいんですな。
これは、前回の「記憶力」に関するデータでも紹介したとおり、「自己参照効果」が働くからだと研究チームは考えてたりします。たんに頭の中で考えるよりも、自分の声を自分の耳で聞いたほうが客観的になれるんで、散らかった思考や記憶をまとめやすいんだそうな。なんかわかりますな。
ちなみに、この傾向は過去の実験でもいろいろ確認されていて、2008年にも「5歳の子供に問題を解かせたら、声に出したほうが成績がよかった!」なんて報告が出てたり(2)、2011年の論文(3)では「声に出して探し物をしたほうが発見率が上がった!」なんてデータもあったりとか。おもしろいですねぇ。
「ひとりごと学習」を使いこなす3つのパターン
ってことで、音読系の論文をいろいろ見てみたところ、実際の学習に使おうと思ったら以下のようになりそう。
1.実況パターン
学習中の思考をリアルタイムで自分に実況していくパターン。ひとりごと学習の王道ですな。
たとえば私の場合だったら、論文を読みつつ「Caco-2細胞では亜鉛が上皮細胞の密着性を高めてくれて……。あれ?炎症性のサイトカインはどうなるんだっけ?」みたいに声に出して、自分の思考のプロセスを自分の耳で確認していく感じになりますかね。
確かに、これをやってると、自然に「メタ認知的読書術」に近い作業をやることになるんで、いかにも効きそうな気がいたします。
2.質問パターン
目の前のテキストや問題を、あえて声に出して質問していくパターン。これも「メタ認知的読書術」などを参考に、「文章のテーマを本当に理解できたか?」「わからない用語はないか?」「段落の結論に同意できるか?」「そもそもこれはどういう意味だったか?」みたいな質問をガンガンに口にしてみればOKであります。
まぁいろいろ考えるのがめんどくさいときは、ひたすら「これはなんでだ?」と問い続けてみるだけでもよし。「睡眠不足が良くないのはなんでだ?」ぐらいの根本的な質問を自分に投げてみるのも、かなり効果的だったりします。
3.要約パターン
いま自分が学習してる内容を、その場でまとめながら声に出すパターン。「上皮細胞の結着に良い影響が出るってことは、つまり腸内のバリア機能がアップするってことだな!」みたいな感じっすね。
ポイントとしては、「つまり」や「要するに」みたいな枕詞を使って、いま読んでるテキストを強引に要約していくとい感じ。それがスピーディにできない場合は、いったんテキストを追うのを止めて「これを友人に説明するとしたらどうなるだろう?」とか考えてみるのが良いかと思われます。
ちなみに、人に説明するつもりで音読すると記憶への定着がブーストしますんで、この要約パターンもかなり良い方法でしょうな。
まとめ
ってことで、「自分の思考を声に出すといろいろいいよ!」ってお話でした。周囲に人がいるときは難しいでしょうが、ひとりで勉強中には試してみるのが吉。私も今後は、試しにブツブツ言いながら論文を読んでみようかと思います(不気味)。