水を飲むほど美肌になれる!はどこまで本当なのか?
モデルさんなんかは「1日に4リットルは水を飲みます!」みたいな方もいるわけです。その目的はデトックスやら代謝アップやらさまざまなんでしょうが、よく聞くのは「水を飲むと美肌になる」って考え方でしょう。美肌をたもつには水分が必須なんで、水を飲めば飲むほどいいんじゃないの?って考え方ですね。
そんな状況下、「お肌の保湿に関する過去の論文をリサーチしたよ!」ってレビュー論文(1)が出てまして、これがなかなか参考になります。
これはベルリン大学の研究チームによるもので、「水をいっぱい飲んだらお肌の水分は増えるか?」って問題を23件の論文をもとにまとめてくれたんですな。ただし、この23件を精査したらバイアスが強すぎて使えず、最終的に残ったデータは6つだけだった模様。こんな基本的なテーマでも、意外と研究例って少ないものなんですねぇ。
で、6つのうち5件はRCTで、参加者の年齢は24〜56歳のあいだ。なので、これぐらいの年齢の方には参考になるデータかと思われます。
それでは、すべてをひっくるめて大きな結論から申し上げますと、
- ほんの少しの差ではあるものの、1日に1〜2リットルの水を飲むと、確かに有意に上皮角質層 の水分量は上がる
って感じです。とりあえず表皮の水分量はアップするみたいっすね。
ただし、その他のポイントについては心もとない結果が出てまして、
- 肌の滑らかさや弾力性については、ほとんどの実験でなんの変化もなかった(一部の実験では「ミネラルウォーターで肌がなめらかに!」って報告もあるはある)
- 100mlの水を飲むと肌のペーハーレベルは下がる。さらに2リットル以上を飲むと、もっとペーハーが下がる
- そもそも、ヒトの肌の水分量は細胞内の脂質や角質細胞層の構造によるところも大きいので、果たして水を飲んだおかげで上皮角質層 の水分量が上がったかはよくわからない
みたいな感じになってたりします。ざっくり言えば、水を飲んで表皮の水分が増える可能性はあるんだけど、科学的な証拠としてはかなり弱いよーってぐらいのレベルっすね。
ただ、全体的なデータを見てますと、
- 1日に1〜2リットルの水を飲んでも別に美肌にはなれない!
って結論に落ち着きそうな感じではあります。なにせ「効果がある!」と報告してるデータを見ても、あまりにも差が小さすぎるんで、ほとんど意味があるとは思えないレベルなんですよねぇ。
といっても、もちろん脱水がよくないのも間違いないので、やはり以前にもお伝えした通り「水はノドの渇きにしたがって飲めば十分!」って結論に落ち着くんじゃないでしょうか。別に美肌を目指して必要以上の水を飲む理由はありませんよーってことでひとつ。