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人生の成功に欠かせないセルフコントロール能力にデメリットはあるのか?問題

 

人生の成功にはセルフコントロール能力が大事だ!って話をくどいほど書いてまして、実際、目の前の欲望に強い人ほど収入が高くてメンタルも健全健康的だというデータもあるわけです。最近だと海外の学校なんかは「子供たちのセルフコントロールを鍛えよう!」みたいな提言も出てて、いよいよ重要性が高まってきた感じ。

 

 

と、ここで気になるのが「セルフコントロールにデメリットはないの?」ってとこです。なにごとも過ぎたるは及ばざるがごとしなんで、現在では万能能力のように言われているセルフコントロールも、多過ぎたら悪い面があるんじゃないか?という。

 

 

そんなことを思ってたら、「セルフコントロール能力が高すぎるとどうなる?」という問題を調べた研究(R)が出ておりました。「WILLPOWER 意志力の科学」のバウマイスター博士と「やり抜く力 GRIT(グリット)」のダックワース博士というスター研究者が手がけた、ちょっと豪華な一作であります。

 

 

まず論文の問題設定から紹介すると、

 

 

セルフコントロール能力が高すぎると、しばしば必要以上に自分の感情・思考・行動も制御してしまいがちだ。その結果、人生が厳格になりすぎておもしろみが失われ、主観的な幸福感も減ってしまうのではないか。

 

 

 

 みたいになってます。セルフコントロール能力は目先の欲望を抑えるパワーなので、あまりにやり過ぎるとシンプルに人生の喜びが失われちゃうんじゃないの?ってことですね。

 

 

ここでは全部で6個の実験が行われてまして、だいたい5,000人以上の男女が対象。例えば最初の実験では10〜14歳の子供の衝動性を調べ(担当教師に採点させたらしい)、その上で全員に「自分のことをどれぐらい幸せだと思う?」と尋ねてみたそうな。

 

 

さらに、残りの実験では55歳までの成人男女に同じような実験をしていて、

 

  • 全員に詳細な日記をつけてもらい、1日のあいだにどんなタイミングでセルフコントロール能力を発揮したかを記録してもらう(いわゆる「一日再構成法」)
  • 全員にコンピューター上で退屈なタスクをやってもらい、人生の満足度やポジティブな気分との相関を調べる

 

みたいになってます。これらデータを組み合わせれば、セルフコントロール能力が高すぎるとヤバいのか?を判断できるわけっすね。

 

 

さて、その結果について研究チームいわく、

 

セルフコントロール能力は幸福度や人生の満足度を高める方向に働く。そのデメリットは存在するのかもしれないが、今回の研究では確認されなかった。おそらく、目の前の欲望を抑えたほうが将来の見返りが大きいため、もしデメリットが存在したとしても、メリットが大幅に上回るのだろう。

 

とのこと。結局、セルフコントロールはいくらあっても問題はなく、能力が高ければ高いほど人生の幸福感は高まっていくみたい。こりゃあかなり良い話じゃないでしょうか。

 

 

まぁ、もちろんこの研究にも注意点はあって、なにせ縦断研究をしてないので「同じ参加者の10年後はどうなってるの?」みたいなとこまではよくわからんです。長期的に見たら「やはりセルフコントロールが高すぎるとヤバ買った!」みたいな結果が出る可能性は否定できないでしょうねぇ。

 

 

とはいえ、やはりセルフコントロールは鍛えておいて損のない能力ですんで、ぜひ心がけといていただければと思う次第です。どうぞよしなに。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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