土下座や涙は謝罪の効果を高めてくれるのか?という研究
https://yuchrszk.blogspot.com/2019/10/blog-post_23.html?m=0
具体的には、たとえばひとつ目の実験は、「福島の原発事故」をテーマにしてまして、196人のアメリカ人と229人の日本人を対象にしたもの。全員に対して、以下の2パターンの画像を見せたんだそうな。
- 東電のお偉いさんが土下座をしながら謝罪している様子
- 東電のお偉いさんが立ったまま謝罪している様子
違うのは「土下座をしているかどうか?」だけで、東電のお偉いさんが語った謝罪の内容はまったく同じものを読んでもらったとのこと。
そのうえで全員に「謝罪に対する印象はどうでしたか?」と尋ねたところ、
- 土下座の様子を見た参加者は、ほとんどが「この人は心から公開しているのだな……」という感想を持った
- ただし、土下座をしようがしまいが、多くの人は「だからと言って企業の責任が許されるわけではない」と判断した
- 土下座に対する反応に、アメリカ人と日本人で大きな違いはなかった
だったそうで、土下座により個人の印象はよくなったものの、企業に対する印象までが改善したわけじゃなかったみたい。アメリカ人でも土下座が通じるってのはおもしろいっすね。
さらにもうひとつの実験では韓国で起きたフェリー事故をあつかってまして、こちらは207人のアメリカ人と190人の韓国人を対象にしております。被験者たちにどんな画像を見せたかと言いますと、
- 政府のお偉いさんが泣きながら謝罪している様子
- 政府のお偉いさんが普通に謝罪している様子
という2パターンだったそうな。すると、この実験でもよく似た結果が出まして、
- 涙の謝罪を見たグループは「この人はより深い後悔を感じているのだろうな……」と評価した
- しかし、「いくら泣いても政府の責任が軽くなるわけではない」と判断した(特に韓国人は涙の謝罪に影響を受けにくい傾向があった)
って感じだったそうな。土下座も涙もギャラリーに与える効果は同じみたいですね。
この研究ではさらに4件のケースを取り上げていて、
- 差別的なツイートで炎上した水泳選手の事例
- 詐欺に手を染めて謝罪した科学者の事例
- ブログで差別発言をした政治家の事例
などで同じデザインの実験をしたんですが、いずれも結果はほぼ同じです。とにかく謝罪のときは泣いて謝るか土下座をしたほうが、
- ギャラリーが謝罪に納得する確率が上がった
- 「この人は二度と同じ過ちを犯さないだろう」と判断される確率が上がった
- とはいえ、「だからといって許すわけではない」とも判断された
という傾向が確認されたんだそうな。土下座と涙で確実に印象は良くなるものの、それで許しの気持ちがアップするわけじゃないんだ、と。なんかおもしろいですな。
研究チームいわく、
後悔の気持ちを体で表現することに副作用はないようだ。
とのこと。というわけで今回の研究を見る限り、
- 謝罪のときはとりあえず泣くか土下座をしといて損はなさそう
- が、それで許される確率があがることは期待しないほうがよさそう
ってのが全体的な結論になるのではないかと思うわけです。どうぞよしなに。