マイナーな筋トレサプリ「ベタイン」で体脂肪は本当に減るのか?というメタ分析の話
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筋トレ用のサプリとして個人的にはクレアチンを愛用してるわけですが、近ごろ気になってるのが「ベタイン」って成分だったりします。プロテインやクレアチンに比べると、かなりマイナーな存在ですね。
ベタインはいろんな食品にふくまれる成分で、たとえばホウレン草、ビーツ、魚介類なんかに豊富。畜産の世界では家畜の体脂肪を減らして筋肉を増やすために使われていて、「それならヒトのボディメイクにも役立つんじゃないの?」と昔から考えられてきたんですよ。
が、動物に適用できるものが人間に使えるかどうかはわからないのが世の常。「筋トレ用にベタインを使うべきか問題」については、個人的にもいまいち判断がつきかねる状態だったんですよね。
といったところで新しく発表されたデータ(R)は、現時点でのベタインの効能についてまとめてくれていて非常に良い感じでした。
この論文の問題意識は「ベタインで体脂肪は減らせるの?」というもので、筋肉増加よりは脂肪の減少に的を絞った内容になってます。具体的には2002〜2008年に出版された研究からベタインに関する6件のデータを抜き出したメタ分析でして、いちおうその内訳を書いておくと、
- トータルの被験者は195人
- 研究期間は10日から24週間
- ベタインの用量は1日2.0g〜9.9g
- 6件のうち筋トレと組み合わせてるのは2件のみ
みたいになってます。もちろんすべてRCTが行われたものだけを抽出していて、なかなか役に立ちそうでいいんじゃないでしょうか。
さて、その結果がどうだったかと言いますと、まずは意味がなさそうだったポイントから。
- ベタインを飲んでも体重には影響がなさげ(−0.29kg; 95%CI: −1.48, 0.89kg)
- BMIにも影響がなさげ(−0.10kg/m2; 95% CI: −5.1, 0.31kg/m2)
- ウエストサイズにも影響がなさげ(0.68cm; 95% CI: −1.72, 3.09cm)
といったあたりはベタインを飲んでも意味がなさげだったそうです。
では、逆にベタインで意味がありそうなポイントはどうだったかと言いますと、
- ベタインで総脂肪量は減るっぽい(−2.25kg; 95% CI: −3.96, −0.54kg)
- 体脂肪率も減るっぽい(−2.44%;95% CI: −4.20, −0.68%)
- ベタインは筋トレと組み合わせたほうが効果は高まるっぽい
だったそうです。ご覧のとおり、BMIやウエストといった非直接的な指標にくらべて、体脂肪のような直接的な指標には意味のある結果が得られてまして、個人的には、
- あれ?ベタインって意外と使えるんじゃないの?
って感想を持ちましたね。まぁまだまだメタ分析としてはサンプル数が少ないんで、今後の研究では覆りそうな気もしますけど、まず試すだけの価値はありそうな感じ。
ベタインが脂肪に効くメカニズムについては諸説あるんですが、この研究では、
- ベタインがいろんな経路(PPAR-αとかSREBP-1cとか)に働きかけて、脂肪の分解を促進するから?
- 脂肪細胞が中性脂肪を取り込むのをベタインがブロックしてくれるから?
- ベタインのおかげで成長ホルモンが増えて、筋肉の量が増えるから?
といったあたりが指摘されておりました。なかなかおもしろいもんですねー。
というわけで、反射的にベタインのサプリを買おうかと思ったりしましたが、よく考えたら、1日2.5gぐらいなら割と簡単に食事から摂取できそうな気がしてきました。たとえば、100gあたりのベタイン含有量を見てみると、
- ホウレン草=600-645mg
- ビーツ=114-297mg
といった具合ですからねぇ。いちおう以下にベタインサプリのリンクも紹介しときますが、個人的には、とりあえず筋トレの日にホウレン草の摂取量を増やしてみようかと。
バルクスポーツ ベタイン パウダー