政治家になると他人への共感を失う「傲慢症候群」になるんじゃないの?というあくまで仮説のお話
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「権力者って偉そうな人が多いよなー」ってイメージがなんとなくあるわけです。これは実際の調査でも確認されてることで、「悪いヤツほど出世する」などでも「傲慢な人ほど上の地位についてることが多い」なんてデータがいやってほど紹介されております。
で、近ごろチェックした研究(R)では、「政治家はどれぐらい傲慢症候群にかかってるのか?」って問題を調べてくれてておもしろかったです。
「傲慢症候群」って初耳だったんですが、デューク大学などの定義によると、だいたい以下のような特徴を示すパーソナリティのことらしい。
- 「この世界は自分の力を使って自己顕示するなの場だ!」と考える
- 自己のイメージアップのために行動する
- 自分のイメージと体裁を過度に心配する
- スピーチをすると「自分はこの世界を救う人間だ!」みたいなテンションが見える
- 国や組織と自分の存在が一体化している
- とにかく自信過剰
- 明らかに他人を軽蔑している
- 現実を無視する
- 落ち着きがなく衝動的な行動をとる
- 意思決定の基本を無視して無能さを示す
全体的には、他人からの印象を気にするけど自信満々でリスクを恐れないタイプって感じですかね。まわりにいたらちょっと迷惑そうなキャラですが、確かに権力を手に入れたいと思ったら必要な要素かもしれんですね。
さて、この研究では 1776〜1974年のあいだにアメリカとイギリスのどちらかで政界のトップに着いた人たちをピックアップ。彼らの性格特性やメンタルの病歴をチェックしたうえで、「傲慢症候群と考えられる人はいないか?」ってのを調べたんだそうな。ユニークな研究ですなぁ。
そこでどんなことがわかったかと言いますと、
数値化するのは困難だが、政府首脳の多くは、完全な傲慢症候群とは言わないまでも傲慢な特徴を示していた。ここでは、米国の大統領と英国の首相のうち、傲慢な性格がもっとも顕著だった人たちを挙げる。
ってことで、政界のトップにはやはり傲慢な人が多かったそうな。ここで「かなりの傲慢さ」として名前が上がっているのは、
- ルーズベルト
- ウッドロー・ウィルソン
- ケネディ
- リンドン・ジョンソン
- ニクソン
- ジョージ・W・ブッシュ
- ハーバート・アスキス
- デイビッド・ロイド・ジョージ
- ネヴィル・チェンバレン
- ウィンストン・チャーチル
- アンソニー・エデン
- マーガレット・サッチャー
- トニー・ブレア
などでして、なかでもブッシュ、サッチャー、ブレアなどが「傲慢症候群」に認定されておりました。ニクソンやチャーチルなんかもそれっぽいですが、ニクソンはアル中でチャーチルは大うつ病なので、判断を避けたそうです。
ちなみに、こうなると「もとから傲慢だから権力者になれたの? それとも権力者になったから傲慢になったの?」ってのが気になりますけど、研究チームは両方向の可能性を指摘しておられます。というのも、政治家たちの行動や発言の履歴をみてると、権力の座についてから「傲慢症候群」の特徴がヒドくなった人が結構いるんだそうな。
ちなみに、2014年に行われた実験(R)でもおもしろい結果が出てて、
- 権力がある人、権力がない人、普通の人の脳を経頭蓋磁気刺激装置で調べる
- みんなの脳機能の違いをチェックする
って調査を行ったところ、
権力を持つ被験者は、権力を持たない被験者よりも低いレベルの共鳴を示した。これは、権力を持つ被験者が他の人々をミラーリングする能力の減少を示唆する。
みたいな結果だったんだそうな。要するに、権力を持ってる人は「共感力がなくなってるんじゃないの?」ってことでして、これもまた傲慢症候群とつながりそうっすね。まぁまだまだ全体的にゆるいデータなんですが、興味深いとこですなぁ。