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コーヒーと緑茶はどちらかを飲めばいいのか?それとも両方飲んだほうが健康効果が爆上がりするのか?問題



  

こないだ、パレオチャンネルのほうで「コーヒーとお茶はどっちのほうが健康にいいすか?どっちを飲むほうがいいすか?」みたいな質問を受けまして「これといった比較研究がないから、どっちがどうとか決めるのは難しいなー」と答えたんですよ(個人的には緑茶の消費量のほうが多いですが)。

 

 

が、近ごろ出た研究(R)で、「コーヒーとお茶のどっちが脳に良いかを調べてみたよー」って内容になってていい感じでした。コーヒーお茶にはどちらもすばらしいメリットがあるんですけど、ここでは脳卒中や認知症など、おもに脳にかかわるメリットについて調べてくれたわけですね。

 

 

これは365,682人の男女を対象にした前向きコホート研究で、

 

  • コーヒーおよび/またはお茶をよく飲む人(50~74歳)を、中央値で11.4年にわたって追跡。コーヒーおよびお茶の摂取量は、ベースライン時に自己申告された
  • みんながどれぐらい脳卒中および認知症にかかったかを調べる

 

みたいになります。そのうえで、年齢、性別、喫煙状況、運動量などを調整したら、結果はこんな感じになりました。

 

  • 調査の期間中に確認された脳卒中は10,053例(対象者の2.8%)、認知症は5,079例(1.4%)

 

  • 脳卒中のリスク

    • コーヒーを1日0.5〜4杯以上飲む人は、脳卒中のリスクが8%から12%ぐらい低下した
    • お茶を1日2〜4杯以上飲む人は、脳卒中のリスクが16%ぐらい低下した

 

  •  虚血性脳卒中のリスク

    • コーヒーを1日0.5〜3杯飲む人は、 虚血性脳卒中のリスクが12%から13%ぐらい低下した
    • お茶を1日2〜4杯以上飲む人は、 虚血性脳卒中のリスクが12%から13%ぐらい低下した

 

  • 認知症のリスク

    • コーヒーを1日2〜3杯飲む人は、 認知症のリスクが7%ぐらい低下した
    • お茶を1日4杯以上飲む人は、 認知症のリスクが11%ぐらい低下した

   

  • 血管性痴呆症のリスク

    • コーヒーを1日4杯以上飲む人は、血管性痴呆症のリスクが22%ぐらい低下した
    • お茶を1日2〜4杯以上飲む人は、 血管性痴呆症のリスクが25%から26%ぐらい低下した

 

 

ということで、やはりお茶とコーヒーはどちらも脳卒中リスクを下げるし、脳機能が下がるのも防いでくれるんじゃなかろうか、と。全体的にここまで良い数値が出てるなら飲むべきでしょうな。

 

 

でもって、さらに特筆すべき事項としましては、

 

  • コーヒーだけ、またはお茶だけを飲む場合と比較して、両方を飲む場合は、脳卒中(-11%)、虚血性脳卒中(-11%)、認知症(-8%)、血管性認知症(-18%)のリスクがさらに低くなる

 

  • コーヒーにせよお茶にせよ、どちらも1日4杯以上を飲んだとしても、脳にあたえるメリットが増えるわけではない

 

ってのがあります。冒頭のご質問との絡みで言えば、「コーヒーとお茶は両方とも飲んだほうがメリットは大きくなるみたいだぞ!」って結論になりそうですね。

 

 

もっとも、この研究にはいくつかの限界がありまして、

 

  • コーヒーおよびお茶の摂取量は自己申告によるものなので、1日にどれぐらい飲めばいいのかについては不確実なところが多い。というか、このタイプの研究では、だいたい自己申告の摂取量にはズレがある

 

  • コーヒーとお茶の摂取量は、研究のスタート時にだけチェックしていて、その後の人生で摂取量が変わったかどうかは考慮されていない

 

  • あくまでも観察研究でしかないので、ここで確認された結果は、睡眠習慣や遺伝的素因など、調整されていない要素の影響を受けている可能性はめちゃくちゃある

 

みたいになります。特に「自己申告」の問題は、このタイプの研究では”あるある”のひとつで、そこそこ結果に影響することが知られてたりします。なので、「1日に何杯飲めばいいのか」ってとこについては、まだまだ議論が残るところだとお考えください。

 

 

とはいえ、以上の限界をふまえてもコーヒーやお茶が脳に良いのは間違いなく、その原因としましては、

 

  • コーヒーにふくまれる、クロロゲン酸、トリゴネリン、ジテルペン類(特にカフェストルとカフエオール)、メラノイジンなどの効果がデカい!
  • お茶にふくまれるカテキン類(特にEGCG)の効果がデカい!

 

って感じになりましょう。いずれの成分も、みんな大好き一酸化窒素の生成に役立ち、そのおかげで脳卒中や認知症のリスクが下がるんだと考えられております。

 

 

また、コーヒーとお茶の両方を対象とした数少ない研究(R)では、どちらか片方を飲むよりも両方を飲んだほうが全死亡リスクが減るって結論ですので、ぜひともダブルで摂取していきたいところですね。私はいま緑茶の消費がメインですけど、今後は朝にコーヒーを一杯飲んで、その後の昼過ぎまでは緑茶を飲むようにするかー、とか思いました。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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