謎のストレス解消ガジェット「アポロニューロ」を600時間使ってわかったこと
2021年ごろに、「アポロニューロ(Apollo Neuro)」という変なガジェットを買ったんですよ。軽くおさらいすると、これは特定の周波数で振動するだけのデバイスで、1日に数時間身につけておくだけで、
- ストレス管理
- エネルギーレベルの向上
- 冷静さと集中力の維持
- より良い睡眠
- 病気や激しい運動からの早期回復
といった効果を得られると言われてるんですよ。いやー、実に怪しいですね。
ただし、あるパターンの振動が、副交感神経や交感神経の活動を変化させるって話は意外とバカにしたものでもなくて、apolloneuro.comのサイエンスセクション(R)には、それなりの研究データが並んでたりします。ざっくりと例を挙げておくと、
- ピッツバーグ大学が実施した二重盲検無作為化プラセボ対照クロスオーバー試験では、アポロによって、激しい運動をしたアスリートの回復が早まったそうな(R)。
- 同じくピッツバーグ大学38人の被験者に行った二重盲検ランダムプラセボ対照クロスオーバー試験では、アポロを使った被験者の集中力や認知パフォーマンス、心拍変動が改善した(R)。
- ミネソタ大学が40人の大学スポーツ選手を対象に実施した研究によると、アポロは40人全員の心拍変動を改善した(R)。
- アポロ社が行った予備研究(R)では、アポロを1日3時間ずつ週5回使ったユーザーは、深い睡眠、レム睡眠、安静時心拍数、心拍変動に有意な改善が見られたとのこと。
といった結果が出てたりします。いずれも「めっちゃ質が高い!」ってわけじゃないんですけど、この手のアイテムとしては、わりとデータは多めですね。少なくとも、プラセボ効果だけのガジェットではないんじゃないかと。
でもって、このアポロを購入して以来、1日だいたい1時間ずつ、合計で600時間ぐらい作動させてまして、
- 朝(ベッドから出た直後)は「エネルギー&ウェイクアップ」モードで神経に活を入れる
- 運動が終わったら「リビルド&リカバリー」モードで副交感神経を刺激する
- 午後は「クリア&フォーカシング」を行って集中力を上げる
- 夜は「リラックス&アンワインド」でリラックスしてから寝る
みたいな使い方をしてきたわけです。瞑想ガジェットと違って基本は身につけていれば良いだけなので、これだけ使い倒してもめんどうがないのが良いですね。
でもって、総計で600時間ぐらい使った感想としては、
- 体感としてはよくわからないが、数値を見ていると効果が出ているようだ!
って感じです。アポロを使うこと「睡眠が劇的に改善!」とか「まったく疲れない!」みたいなことはないんですが、ストレスの指標は改善してるんですよね。
具体的には、私はストレスの判断として心拍変動を使っております。これは神経系の活動を表す身体のパラメータでして、
- 心拍変動が低い=交感神経系(闘争・逃走反応を引き起こす神経系)が優位にあることを示している。体調が悪いときや激しい運動の後は、心拍変動が低くなるのが普通だが、こいつが常に低いと、怪我(R)、心血管疾患(R)、不安関連疾患(R)、うつ病(R)のリスクが劇的に高まる。
- 心拍変動が高い=逆に心拍変動が高いと、人体はより回復力があり、感情的・身体的ストレスから素早く立ち直ることができることを示している。
のような解釈になります。心と体のストレスを判断するには、かなり良い指標なんですよね。
ってことで、この1年9か月ぐらい、アポロを使いつつアップルウォッチなどで心拍変動を計測していたところ、上記の結論にいたったわけです。実感としてはまったくないんですけど、アポロを使ったあとは、あきらかに心拍変動が高くなるもんですから。
しかも、先日導入した「ポラールH10」+「EliteHRV」のおかげで、さらに精度が高い計測が可能になったのも大きなポイントです。これで定期的に心拍変動のスナップショットを取ると、やっぱりアポロを使ったあとは心拍変動が高くなるケースが多いんですよね。
まー、あくまで私だけの体験だし、アポロは349ドルもするので、マストバイなアイテムかと言われると困るところではあります。なんせストレス対策とか集中力アップ法ってのは、無料でできることがいっぱいありますからね。
とはいえ、やはりタッチセラピー系の技術はおもしろそうではありまして、類似のガジェットをいくつか試してみたい気になった次第です。