「心拍変動」を鍛えれば自然とダイエットになるんじゃないの?説
そもそも心拍変動ってなに?
ここ数年「心拍変動を鍛えるといいことがあるよ!」ってデータが多いもんで、私もトレーニングマシンを買ってみたり、ストレスチェック用のガジェットを試したりと、いろいろとやってたりするわけです。
心拍変動ってのは、心臓がドクンと動くタイミングの幅のことです。心臓が1回ドクンと動いたら、次にまたドクンと動くまでの時間をみてるんですね。
で、この間隔は自律神経のバランスなんかを反映してまして、ストレスが少ない人ほど変動の幅が大きいんですよ。「OURA Ring」なんかも、寝てる間に心拍変動が上昇したら「ストレスから回復している!」と判断してたりします。
なんでこういう変化が起きるかは難しい話なんですけど、ざっくり「体のリズムに遊びがある」(=心拍変動が高い)ほどストレスに対応しやすいんだなー、ぐらいのイメージで捉えていただければ幸いです。
心拍変動トレーニングでダイエットできる?
ってところで、新しく出た論文(1)は「心拍変動トレーニングはダイエットにも役立つかも!」と思わせる内容でいい感じでした。まず研究の目的を抜き出すと、
セルフコントロール能力が高い人ほど、心身も健康的な傾向があることはよく知られている。しかし、なぜそのような現象が起きるかは、まだよくわかっていない。
これと同じような現象が、心拍変動でも報告されている(=心拍変動が高い人ほどメンタルと体が健康的)。(中略)そこで、この実験では、心拍変動が高い者ほど誘惑に強いかどうかをチェックした。
とのこと。心拍変動が高い人は目の前の誘惑に強いから、結果として心も体も良い状態なんじゃないか、と。
心拍変動が高いと健康的な食事を選びやすい
これはチューリッヒ大学の実験で、49人の健康な男性を対象にしたもの。まずは全員の心拍変動をECGで計ったあと、「実験のあとにどっちを食べたいですか?」と尋ねて、以下のような画像から好きなほうを選んでもらったんですね。
ご覧のとおり、いずれの画像も「ブロッコリー VS. マフィン」といった感じで、健康的な食品と不健康なお菓子の組み合わせになっております。選択の時間は3秒で、どれも反射的に答えてもらう仕組み。
で、結果を申し上げますと、
- 心拍変動が高い人ほどお菓子の誘惑に強く、健康的な食品を選ぶ!(r = 0.36)
- 神経レベルで見ると、心拍変動が高い人は「味覚」に関する脳の活性が低かった
って感じ。どうやら、心拍変動が高い人はセルフコントロール能力が高くなり、結果として食欲を抑えやすくなるらしい。
過去の実験によれば、心拍変動が高い人は、心血管とメンタルが健康的な確率が高いことがわかっている。これにより、脳の実行機能を使うタスクのパフォーマンスが上がり、生体の回復レベルもアップし、環境の変化に強くなるのだろう。
とのことで、心拍変動の高さは、環境の変化に強い柔軟な心と体の指標になるわけですな。
まとめ
もちろん、これはあくまで「関連性がある」って話なんで、必ずしも「心拍変動を鍛えればお菓子の誘惑に勝てる!」って結論にはならんのでご注意ください。といっても、2007年の実験(2)なんかだと、心拍変動を鍛えた子供はセルフコントロール能力が上がったって結果が出てますんで、かなりトレーニング法としてはアリではないかと思う次第です。
ちなみに、この2007年の実験では、子供たちにチョコの代わりにニンジンを食べさせるって方法を使ってるのもおもしろいところ。このあたりは、「小さなガマン」をくり返すとセルフコントロール能力がつくよーっていう近年の知見ともつながる話ですな。