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定番の恋愛アドバイス「モテたきゃ手に入りそうで入らないふりをせよ!」はどこまで正しいのか?



「モテたかったら手に入りそうで入らないふりをせよ!」みたいな恋愛アドバイスがよくあるじゃないですか。試しに、ゼクシィさんからそのまま引用(R)しますと。

 

恋愛における駆け引きでは、「手に入りそうで入らない距離」を演出しましょう。男性心理を刺激し、「この女性を射止めたい!」と思わせるのに必要なポイントです。

 

みたいなやつです。これは男性向けの恋愛本でもよく見かける話で、「気になる相手がいたら、あえて気のないそぶりをしようぜ!」みたいなアドバイスですね。

 

 

では、このアドバイスは正しいのかってことで、プリンストン大学などから、「手に入りそうで入らない戦略には意味があるのか?」を調べたデータ(R)が出ておりました。まず、ここでチームが、この戦略をどう定義しているのかと言いますと、

 

「手に入りそうで入らない戦略」とは、いつ愛情を返すか、あるいは「イエス」と言うかに関する不確実性を作り出し、それによって「もしかしたら手に入るかも?」という情報を相手に伝えることを意味する。

 

みたいになります。要するに、「本当はヒマなのに忙しくて連絡が取りにくいように振舞う」や「本当は相手を気に入ってるのに『俺は美女が好みなんだよねー』と言ってみる」みたいな行動を取って、「自分はそう簡単に落ちる人間じゃないんですよ!」って態度をアピールするわけです。なんかめんどい人ですね。

 

 

分析にあたり、チームは「手に入りそうで入らない戦略」について調べた過去の研究から18件をピックアップ。「恋愛に不確実性を持ち込む行為」や「あえてデートをしない行為」によって、相手との関係がどう変わるのかをレビューしたんですよ。特に、「手に入りそうで入らない戦略」を使うことで、「こちらの魅力は高まるのか?」と「恋愛するモチベーションは高まるのか?」という2つのポイントを調べております。

 

 

では、レビューの結論をざっと見てみましょうー。

 

  • 手に入りそうで入らない態度を取ると、実際に魅力的で望ましい存在だと思われる可能性は十分にある。過去の実験では、「手に入りそうで入らない戦略」を取った相手に対して、割と多くの人たちが、もっと時間とお金を投資したい!と思うようになった。

 

  • しかし、その一方で、割と多くの人が、「自分に対する好意を積極的に伝えてくれる人を好む!」「恋愛がしたいとはっきり伝えてくれる人を好む!」などの傾向も確認されている。このような人の間では、「手に入りそうで入らない戦略」は不快に感じられてしまう。

 

ということで、「手に入りそうで入らない戦略」の効果は人によるのではないか?という、ちょっとモニョモニョする結論になってますね。

 

 

ただし、ここでは「手に入りそうで入らない戦略」の効果が出やすいパターンも特定されてまして、

 

  • だいたいの人は、他人にとっては手に入りにくいが自分にとっては手に入りやすい相手を好む

 

  • 「誰にとっても手に入りにくい相手」、または「誰にとっても手に入りやすい相手」は、あまり好まれない。

 

といった傾向も報告されておりました。つまり、意中の相手には手に入りやすいふりをしつつ、それ以外の人には「俺はそう簡単には落ちない人間だぜ!」ってのをアピールするのが、「手に入りそうで入らない戦略」の正しい使い方なのかもですな。あまりに「手に入らない」感じを出したら相手のモチベも下がるでしょうし、逆にあまりに「手に入らない」感じを出しすぎたら相手になめられそうですもんね。

 

 

研究チームいわく、

 

今回の研究では、「手に入りそうで入らないふり」をすることは、知覚される不確実性と困難性の最適レベルが達成された場合にのみ、ターゲットとなるパートナーにとって魅力的になることを示している。

 

とのこと。簡単に言えば、簡単に手に入りそうでもだめだし、手に入りづらそうでもだめだから、相手によってバランスを取らないと失敗するよーってことですな。うーん、難しい。

 

 

こうなると、結局は相手の反応を見つつ「手に入りそうで入らない戦略」を使うしかないわけですが、この研究では、いちおう「手に入りそうで入らないふり」が効きやすいタイプの区別もされておりました。

 

  • 愛着スタイルが回避型の人、または女性は、「手に入りそうで入らない戦略」を使うことを好む傾向があった。

 

  • 愛着スタイルが不安型の人、または男性は、「手に入りそうで入らない戦略」を使う相手を追いかける傾向があった。

 

  • 愛着スタイルが安定型の人は、「手に入りそうで入らない戦略」を使おうとしない。

 

愛着スタイルってのは、個人のコミュニケーションスタイルを3つに分類したもので、

 

  • 不安型=見捨てられることへの恐怖が、常に安心感を求めるタイプ。相手に過度に依存する傾向がある。

  • 回避型=親密さを恐れ、自立を望むタイプ。相手から距離を取ろうとする。

  • 安定型=コミュニケーションが安定しており、誰ともうまく付き合えるタイプ。

 

みたいになります。つまり、回避型の人は、相手の関心や相性を見極めるために、「手に入りそうで入らない戦略」を使う傾向があり、不安型の人は依存心が強いがゆえに「手に入りそうで入らない戦略」を使う相手を追い求めるわけですな。

 

 

こうして見ると、

 

  • 基本的には、「手に入りそうで入らない戦略」の効果は人それぞれなので、意中の人には素直に好意を伝えつつ、他人にはそこまで簡単になびかないことをアピールするのが無難かも。

 

  • 「手に入りそうで入らない戦略」を使う場合は、女性が男性に使うか、不安型の人に使うと効果が出やすいかも。

 

みたいなことが言えますかねー。どうぞよしなに。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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