このブログを検索




常に高いパフォーマンスを保つための「エネルギー監査法」をやってみようじゃないか

 


 

グレッチャン・シュプライツァー先生の研究(R)を読んでたら、

 

  • 「エネルギー監査法」で目標を達成しやすくなるぞ!

 

って提案がなされてまして、これがシンプルで使いやすい方法だったのでメモっておきます。

 

「エネルギー監査法」ってのは、「人間ってのは電池みたいなもんだから、エネルギー残量に気を配っておくと良いよ!」って考え方から生まれた方法のひとつ。シュプライツァー先生の主張をざっくりまとめると、

 

  • 人間のエネルギーは電池のようなもので、時間とともに消耗し、定期的な充電が必要となる(人間のエネルギーは、「私たちが持っている活力やモチベーション量」ぐらいの意味。

 

  • 人間の電池を最も消耗させるのは長時間の労働だが、仕事量の増加、仕事上のプレッシャー、オンライン上のやり取りなどによるところも大きい。回復を伴わない慢性的なストレスは、電池の残量を枯渇させ、パフォーマンスの低下をもたらす。

 

  • 資源保全(COR)理論によると、人間は個人的リソース(活力とかモチベーションとか)と社会的リソース(感情的なサポートなど)の両方を、できるだえ保持するようにがんばる。

    職場のCORについて調べた研究では、上司や同僚からのサポート、他者との信頼関係や結びつき、業績のフィードバックなどのリソースにより従業員のエネルギーが高まるのに対し、仕事量などの職務要求はエネルギーを枯渇させやすい。

 

  • 休日を利用して、リラクゼーションなどのエネルギー補給活動を行い、エネルギーを充電している従業員は、仕事関連のストレスから回復しやすいという研究もある。

 

ということで、自分のことを「電池」だと考えることで、より自分のエネルギー変動に敏感になり、定期的にエネルギーを充電する戦略も立てやすくなり、引いてはパフォーマンスの安定に役立つんだよー、というのがシュプライツァー先生の主張であります。なかなか使い勝手のよいメタファーじゃないでしょうか。

 

で、この考え方をいかに現実の暮らしで実践すべきかってことで、シュプライツァー先生が編み出したのが「エネルギー監査法」であります。このツールは、

 

  1. 1日を通して、自分の充電残量がどれぐらい変化しているのかを自覚する

  2. エネルギーの残量が少なくなったときに、適切なタイミングでエネルギーを補給できるようにする

 

って目標のために設計されたもので、こいつを導入した学生は、実際に自分のエネルギー管理が上手くなり、学業の成績も上がったんだそうな。まぁ大規模な追試で効果が確認されてるわけじゃないんですけど、試すだけならタダなんで、よろしいんじゃないかと。

 

では、「エネルギー監査法」を実践してみましょう。このエクササイズは、自分の1日のエネルギーレベルを記録&プロットしていく形で進めます。

 

 

ステップ1:電池の残量を記録する

このステップでは、1日を通して自分のエネルギーレベルを記録します。朝7時から夜10時まで、1時間 ごとのエネルギーレベルと、その時にやっていた活動を記録してください。エネルギーレベルを採点するときは、以下を目安にしてください。

 

  • 1-2=非常に低い
  • 3-4=低い
  • 5-6=普通
  • 7-8=高い
  • 9-10=非常に高い

 



ステップ2:毎日のエネルギー・レベルをプロットする

下のグラフで、各時点で自分が感じたエネルギーの点数にドットを置き、1時間ごとのエネルギー・レベルをプロットしてください。そして、点と点を結んで、一日のエネルギーがどのように浮き沈みするかを見てください。

 

 



ステップ3:エネルギーのパターンを評価する

ステップ1と2で作った表を見ながら、今度は以下のことを考えてみましょう。

 

  1. 日中、エネルギーが安定して高かったのはいつか?
  2. 日中、エネルギーがなかったのはいつか?
  3. 自分のエネルギーが高いときに、どのような活動をしていることが多いか?どのようなパターンが観察できるか?
  4. 自分のエネルギーが低いときに、どのような活動をしていることが多いか?どのようなパターンが観察できるか?

 

 

ステップ4:充電法のチェック

ここまでの作業をもとに、1日のうちでエネルギーが低下する時間帯をのことを振り返りつつ、エネルギーを再充電するために何か違うことができないか?を考えてみましょう。たとえば、「午後5時ごろの夕刻にエネルギーが低下するから、この時間帯に、ちょっとした運動(もも上げとかダッシュとか)をしたらいいのでは?」みたいな感じです。

 

シュプライツァー先生の考え方によりますと、人間がエネルギーを充電する際は、4つの要素を満たす必要がありまして、

 

  • 肉体的な充電=運動などで身体を動かすことで増すタイプのエネルギー。

  • 頭脳的な充電=新しいことを学んだり、得た知識や情報をアウトプットすることで増すタイプのエネルギー。
  • 感情的な充電=興奮できることをしたり、他人と遊ぶことによって増すタイプのエネルギー。
  • 精神的な充電=人生や哲学的な問題を深く考えることで増すタイプのエネルギー。

 

って感じになります。充電する方法を考える際は、できるだけ上記の4つのバランスを取ってみると良いでしょう。ではまたー。


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

INSTAGRAM