健康に良いベストな睡眠時間は「国」によって違うかもしれない件
「健康のためには毎日8時間寝ましょう!」みたいなアドバイスはよく聞くところですが、かつては「8時間睡眠のウソ。」なんて本もあったとおり、近年の睡眠研究を見ていると「適切な睡眠時間って割とバラバラだよねー」って結論のほうが多かったりします。
でもって、最近発表された大規模研究(R)によれば、
- 最適な睡眠時間は、住んでいる国や文化によって変わる!
みたいな結論になってて、さらに驚かされたりしました。
この研究は、カナダのブリティッシュコロンビア大学とビクトリア大学の共同プロジェクトで、世界の20カ国から約5,000人の協力を得たうえで、
- 普段どれくらい寝ているか?
- 主観的な健康状態はどうか?(精神と身体どっちも)
- 睡眠の質と満足度は?
といったデータを収集し、「国や文化によって、どれくらい睡眠のニーズが違うのか?」を調べたんですよ。すると、国別の平均睡眠時間には驚くほど差があることがわかりまして、具体的には、
- 日本:平均6時間18分
- カナダ:7時間27分
- フランス:7時間52分
って感じで、国によって1時間以上の差があるのは当たり前だったわけです。
まあ「日本人は働きすぎだからそりゃ寝ないでしょ」って気もしますし、ここまでは想定内な感じもあるわけですが、この研究の本題はここから。続いて研究チームは、「平均睡眠時間が短い国の人ほど健康状態が悪いのか?」って検証もしてるんですよ。直感的には、「よく寝ている国のほうが健康そうな」とか思いたくなるわけですけど、実は結果は逆でして、
- 睡眠時間が短い国の人も、長い国の人と同じくらい健康だった
という傾向があったというから不思議なもんです。睡眠不足が健康に悪影響を与えるのは、すでに山ほどの研究で確認されてますからね。
そして、個人的に一番興味深かったのは、
- 「自国の平均睡眠時間」に近い人ほど、より良い健康状態を報告していた
という点っすね。たとえば、日本では「6時間ちょい」が一般的なので、6時間前後寝ている人ほど健康だと感じていた、ってことですな。「何時間寝たか」よりも「文化的な基準に合っているかどうか」のほうが重要なのかもって話でして、これまた不思議なもんですなぁ。
このあたりの解釈について、研究者たちは以下のコメントを残しておられます。
「睡眠の理想的な長さは、文化的文脈によって決まる可能性がある」
「自分の文化で“普通”とされる睡眠に近づくほど、心身の調子が整いやすい」
つまり、私たちが思っている以上に、「どれくらい寝るべきか?」って判断は、社会的な空気や文化的な刷り込みに影響されているのではないか、と。
たとえば、日本では「6〜7時間睡眠が普通」とされているため、8時間寝ると「寝すぎた」「怠けた」と感じる人が多め。一方で、ヨーロッパでは「8時間は当たり前」という空気があるので、それより少ないと「寝不足」と感じるわけです。言われてみりゃそんな気もしますが、実際の健康レベルにまで影響するものなんですなぁ。
というと、「じゃあ8時間も寝ちゃダメなのか?」と思われるかもしれませんが、もちろんそんなことはございません。大切なのは、“自分にとって自然な睡眠パターン”を見つけることであります。なかには8時間寝たほうが体調が良い人もいれば、6時間半ぐらいでスッキリする人もいますからね。現在、多くの国では「7時間以上寝ましょう」って基準を推奨していますが、これは西洋中心の基準に基づいている可能性が大きいので、日本みたいに「短い睡眠が文化的に許容されている」社会では、別の基準が必要かもですな。
ということで、今回の研究から得た教訓をまとめると、
- 睡眠時間の“最適値”は、国や文化によって異なる
- 「8時間寝なきゃ不健康」という考えは、必ずしも正しくない
- 自分の文化の平均に近い睡眠を取っている人のほうが健康だった(が、だからといって日本人は6時間睡眠でOKとはならないですが)
って感じです。まあ全体としてみれば「適切な睡眠時間はバラバラ」としか言いようが無いので、「今日は7時間寝られたけど、足りてないのでは……」などと不安になるよりも、「これが自分にとって自然で、気分がいい」と思える睡眠時間を探すほうに気を配ったほうが建設的かもしれないっすね。
最後にセルフチェックの目安をざっくり書いておくと、
- 週末に自然に目が覚める時間を観察する:目覚ましを使わずに起きられる日(休日など)に、何時間寝ていたかを記録してみる。これが自分の「本来の睡眠ニーズ」のヒントになる。
- 起きたときの「体の感じ」を重視する:睡眠時間よりも、起きたときのスッキリ感・だるさ・集中力の持続時間などに注目。「◯時間寝たら調子いいな」と感じる時間帯があれば、それを目安にしてください。
- 1週間ごとに15分単位で睡眠時間を調整してみる:毎週15分ずつ寝る時間を前後にズラして、「なんとなく調子がいい時間帯」を探す。少しずつ調整すると、意外と自分の“ゴールデンタイム”が見えてきますんで。
- 日中の眠気・カフェイン量・集中力に注目:午後に眠気が強くなったり、カフェインなしではパフォーマンスが落ちる日が多ければ、睡眠が足りてないサインかもしれない。
- 1日じゃなく“1週間単位”で見てみる:日によって睡眠時間が多少ズレるのは普通なので、「週の平均」で判断するのがオススメ。例えば、平日は6.5時間、土日に少し寝だめして帳尻を合わせてる人も多い。
って感じです。これでぜひ最適な睡眠時間をチェックしてみてくださいませー。