「善玉菌のサプリで運動能力は上がるのか?」問題を調べたメタ分析を見てみよう!
「腸内環境が大事!」ってのはこのブログで死ぬほど取り上げている話題でして、実際近年もプロバイオティクス(腸に良い細菌)がメンタルから免疫、さらには寿命にまで影響する可能性が指摘されているわけです。
そこで近ごろ出たメタ分析(R)は、「じゃあプロバイオティクスは運動パフォーマンスにも効くの?」という疑問を掘ってて面白かったです。この研究は、中国のチームによるシステマティックレビュー+ベイズメタ解析でして、要するに「これまでの研究を全部まとめて、統計的にもう一度検証しましたよ」という内容になっております。
研究チームは、プロバイオティクスが運動に与える効果を調べた過去のデータから21件をピックアップし、685人分の調査をまとめて分析。対象になったのはアスリートや一般成人(高齢者も少し)で、全体としてランダム化比較試験が多く、わりと信頼度が高い内容になっております。
で、結論がどうだったかと言いますと、プロバイオティクスを摂った人たちは、
- 運動パフォーマンスが小〜中程度アップした(SMD 0.38)
- 特に効果が大きいのは、持久力(SMD 0.74)と有酸素能力(VO2max:SMD 2.21)だった。
って感じだったんですな。ここで言うVO2max(最大酸素摂取量)ってのは、「どれだけ効率よく酸素を使って運動できるか」を示す指標で、持久系スポーツでは超重要なパラメータであります。なので、ざっくり言えば、 プロバイオティクスは“スタミナ系”に効きやすいっぽいと言えましょう。
では、「なぜ腸内細菌でパフォーマンスが上がるのか?」ってところが気になるところですが、現時点ではプロバイオティクスのおかげで間接的にパフォーマンスが上がると考えるのが良さそうであります。今の時点で主に考えられているメカニズムはと言いますと、
- プロバイオティクスを飲むと、腸内環境が改善する→
- そのおかげで栄養吸収の効率が上がる→
- ついでに免疫機能が改善し、炎症の抑制と酸化ストレスの軽減メリットも得られる→
みたいな感じっすね。つまり、プロバイオティクスのおかげで身体のコンディションが整い、結果としてパフォーマンスが上がるという流れですな。
ちなみに、このへんはISSN(国際スポーツ栄養学会)も似たような見解を出していて、「プロバイオティクスは直に肉体を強くするというより、環境を整えるサポート役だよねー」といった位置づけにしております。なので、腸内環境が乱れていたり、体調が不安定だったりする人は、プロバイオティクスを飲んでみるのもアリかもしれません。
でもって、さらに今回のメタ分析でもうひとつ面白かったのが「どんな条件だとプロバイオティクスが効きやすいか?」ってとこもチェックしている点です。ポイントをまとめると、
- 菌株はラクトバチルス・プランタルムが有望で、効果サイズはSMD 0.82なので「そこそこ強い」という感じ。ラクトバチルス・プランタルムは、漬物やキムチ、ザワークラウトなどに入ってるやつですね。
- 飲む菌株は単一でも複数でもOK。単一菌株の場合の効果サイズはSMD 0.33で、複数菌株の効果サイズはSMD 0.45ぐらい。どっちでもいいけど、やや複数のほうが有利……ぐらいのイメージっすな。
- プロバイオティクスの量は中等量がベストで、少なすぎても多すぎてもダメ。結局は「ほどほど」が一番効く感じ。
みたいになります。ここらへんは、従来のプロバイオティクス研究よりも明確なガイドラインを示してくれてて、実用的でいいっすね。
まぁ、とはいえ現状の研究にはいくつか問題もありまして、
- サンプルサイズが小さい
- 研究期間が短い
- 用量や菌株がバラバラ
- 評価方法が統一されていない
ってあたりは、まだまだ改善の余地があるところなのでご注意あれ。要するに、「プロバイオティクスが良さそうって方向性は見えたけど、まだ実験の精度が荒い」って状態だってことです。
なので、今回の研究をもとに「現実的にどうプロバイオティクスを使うか?」を考えてみると、個人的には以下のような感じがいいんじゃないかなーと考えております。
- プロバイオティクスを試す価値がありそうな人
- 持久系スポーツをやっている(ラン、バイクなど)
- 胃腸トラブルがパフォーマンスに影響しやすい
- 風邪をひきやすい(免疫サポート狙い)
- プロバイオティクスの使い方の目安
- まずは4〜8週間は継続
- 中等量(製品の推奨量)を守る
- できれば複数菌株タイプ
私は腸内環境のためにプロバイオティクスを使ってますけど、定期的に有酸素運動もやってますんで、そのためにサプリを使ってみるのもいいのかもですなぁ。
ということで、今回のポイントをざっくり整理すると、
- プロバイオティクスは運動能力をわずかに改善するっぽい
- プロバイオティクスは特に持久力とVO2maxに効きやすい
- といっても「プロバイオティクスが直に心肺機能を上げる」ってわけじゃなくて、間接的に身体機能を改善してくれる
といった感じです。あくまでプロバイオティクスで劇的にパフォーマンスが上がるってことはないものの、コンディションを地味に整えてくれるかもしれないツールぐらいに捉えておくのが良さそうですな。気になる方は、トレーニング期にあわせて試してみると面白いかもしれません。



