今週の小ネタ:人は「見た目」の差別にめっちゃ鈍感、ひきこもりはなぜ発生するのか、なぜ人はSNSにハマるのか

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
人は「見た目」の差別にめっちゃ鈍感
『人は「見た目」の差別にめっちゃ鈍感だ!』って研究(R)が出ておりました。簡単に言うと、「みんな美人とイケメンには甘いんだけど、それを自覚できていないぞ!」みたいな話っすね。
ここでどんな研究が行われたかというと、
- 参加者に、同じような仕事の能力を持った人たちの履歴書を見せる(ただし、性別・人種・見た目だけが違う)
- 参加者に、「ある企業がこの履歴書の人たちを面接し、採用するかどうかを決めました」と伝える
- その企業の採用がどれくらい不公平に見えるかを評価させる
みたいになります。これにより、私たちが「どの差別に敏感なのか?」を判断したわけっすね。
すると、結果はわりと明確な違いが出まして、
- 企業が男性だけを採用した場合 → みんな「不公平すぎる!」と怒った
- 企業が白人だけを採用した場合 → みんな「明らかに差別だ!」と怒りまくった
- 企業が美人・イケメンだけ採用した場合 → みんな「まあ…そこまでで不公平でもないか…」ぐらいの反応だった
って感じだったんですな。冷静に考えれば全て明確な差別のはずなんですが、どうやら「魅力的な人を優遇すること」は、私たちの中でそこまで問題視されていないようなんですな。
しかも、研究ではさらに「裁判」のシナリオでも同じことを検証してまして、裁判官が人種や見た目の違いで判決を変えた場合にどう感じるかを調べたんですよ。その結果、なにがわかったかと言いますと、
- 黒人ばかりが有罪になった場合 → みんな「不公平すぎる!」と怒った
- 顔がよくない人ばかりが有罪になった場合 → みんな「別に問題なくない?」ぐらいの反応だった
という感じだったらしいんですな。やはり私たちは、「見た目で人を裁く」というバイアスに対して、他の差別ほど強烈に感じないみたいっすね。
では、なぜこんなことが起きるのかってことで、研究チームはこう考えておられます。
人は「見た目バイアスを許している」のではなく、そもそもバイアスとして認識していない。
多くの人は、そもそも「見た目による偏り」に気づいてすらいないということですね。この研究では、それぞれの差別がどの程度認識されるかの割合も示されてまして、
- 性別バイアス → 65%が指摘
- 人種バイアス → 72%が指摘
- 見た目バイアス → わずか23%
という結果だったんだそうな。こうして考えると、やっぱ見た目がいい人ってのは、いろいろお得なんでしょうねぇ。
まぁこの手のバイアスは完全に消すのは難しいんですが、少なくとも見た目バイアスを意識するだけでも、ある程度の対策にはなるみたいなんで心がけておきたいところです。具体的には、
- 判断の前に「見た目で評価してないか?」と一度チェックする
- 採用や評価では、外見情報を意図的に減らす(写真なしなど)
- 第一印象で決めたくなったら、あえて判断を保留する
みたいな感じでして、このあたりをやるだけでも、バイアスの影響はそれなりに減ると言われてますからね。何かを判断するときには、「それ、顔で決めてない?」と一度自分にツッコミを入れてみるのも一興かもしれません。
ひきこもりはなぜ発生するのか
「ひきこもりはなぜ発生するのか?」を調べた研究(R)が出ておりました。かつては「ひきこもり」は日本だけの現象とか言われたもんですが、近年は世界で約8%の人に起きうる現象だ!とされてまして、もはやグローバルな問題になりつつあるんですよね。
で、この研究が「ひきこもり」をどう定義しているのかと言いますと、
- 6ヶ月以上、自宅や自室にこもる
- 学校や仕事、人間関係から距離を取る
- 自発的に社会との接点を断つ
みたいになります。これがなぜ世界で増えつつあるのかってのが、この研究の問題意識になってるんですな。
まず、世界でひきこもりが増えてる原因について、研究では以下のような「構造的な要因」を指摘しております。
- 経済の不安定化(就職の難しさ)
- 競争の激しい教育環境
- オンライン化による対面コミュニケーションの減少
要するに、「社会のプレッシャーが強くなったのと同時に、逃げられる場も増えた!」という状況ですな。さらに、特にリスクが高いのが18〜34歳の若年層でして、この時期ってのは、
- 学生から社会人になる
- 子どもから大人になる
- 役割やアイデンティティが変わる
といった「人生の大きな転換」が重なるタイミングなんですよ。なので、ここで期待通りにいかないと「自分はダメだ…」という認知(=自分や世界に対するネガティブな思い込み)が強まりやすくなり、この状態が続くと、人と会う気力がなくなったり、外に出るのが億劫になったり、さらに孤立して自己評価が下がったりという「負のループ」に突入しちゃうんですよ。
でもって、この問題をさらにややこしくしているのが「うつ」との関係で、
- うつで人と関わるエネルギーが減り、それによって人間関係が孤立し、それによってサポートが減ってさらにうつが悪化する
というループが発生しちゃう人が多いことが研究で明確に示されているんだそうな。いわば、「元気がないから孤立する → 孤立するからさらに元気がなくなる」という流れっすね。
実に難しい問題ですが、研究チームは「何がこのループを止めるのか?」ってのも調べてまして、
- レジリエンス(心理的回復力)がカギだ!
という結論にたどり着いております。こいつはストレスや困難から立ち直る力のことで、データによるとレジリエンスが高い人は孤立しにくい傾向があるんだそうな。レジリエンスの育て方についてはこのブログでもさんざん書いてますんで、こちらを参考にしてくださいませ。
ちなみに、このテーマについては、よく「本人のメンタルの問題でしょ?」みたいな見方がなされることが多いですが、今回の研究はそこにも釘を刺しております。というのも、「ひきこもり」には、経済不安、就職難、親と同居せざるを得ない環境といった社会的要因も、かなり大きく影響しているんで、個人の弱さではなく「環境×心理」の問題と考えたほうが正確なんですよ。いらぬスティグマを蔓延させないためには、ここも大事なとこっすね。
なぜ人はSNSにハマるのか
「なぜ人はSNSにハマるのか?」って問題を掘った研究(R)が面白かったんで、内容をチェックしときましょう。
研究チームは、18〜25歳の若者330人を集め、みんなの「社交不安」や「SNSの使い方」などを測定。3か月後にもう一度同じ調査して、行動の変化を調べ、「SNSに依存しがちな人の特徴」を検討したんですな。
ここで言う「社交不安」ってのは、ざっくり言うと、
- 他人にどう見られるかが怖い
- 会話で評価されるのが不安
- 人前での振る舞いに強い緊張を感じる
といった状態のことで、このタイプの人は「リアルがしんどいからネットに逃げる」って流れになりやすいのは容易に予想がつくとこっすね。
で、3か月の追跡で何がわかったかと言いますと、
- SNS依存を加速させる最大の要因は「社会的比較」だった!
ってポイントであります。社会的比較ってのは、「あの人、自分より成功してるな…」とか「あの人よりはマシか…」みたいに、他人と自分を比べるクセのことで、SNSってのはこの比較がめちゃくちゃ起きやすいんですよね。なにせSNSってのは、キラキラした投稿ばかり流れてくるし、フォロワー数やいいね数が見えるし、他人の人生の「良い部分」だけを見せられる設計になってるんで、これは仕方ないところです。
なんでも、今回の研究によると、社交不安が強い人ほどSNSで他人と自分を比較する頻度が増え、その結果、3か月後には依存傾向が強くなる傾向が見られたんだそうな。さらに言うと、参加者の約30%が「依存リスク高め」って結果だったそうで、なかなかすごい問題になってますね。
他人と比較するほどSNSに依存しちゃう理由は簡単で、
- 自分より成功している人を見ると、いまの自分が不安になり、もっと情報を探してしまう
- 自分より不幸な人を見ると、自分のなかに優越感が生まれ、それが快感になってさらに不幸な人を探してしまう
みたいな感じです。つまり、私たちはSNSのせいで不安になっても依存するし、気持ちよくなってても依存が進んじゃうわけですな。
この問題に立ち向かうには「比較を減らす」しかないので、比較したくなるアカウントはミュートして、キラキラ投稿が多い人とは距離を置くほうがいいんでしょうな。その上で、リアルな交流を増やすことを心がけないと、簡単にSNSのワナにハマっちゃいそうであります。気をつけよう……。


