「肉とチーズはタバコと同じぐらい体に悪い!」は本当か
昨日あたりに、「肉とチーズはタバコと同じぐらい体に悪い!」って記事がそこらじゅうに出まして。
ニュースは煽りすぎじゃないすか?
元になったのは「赤身肉の摂取量と死亡率」って論文。どんな内容かといいますと、
中年の頃に肉や、牛乳、チーズ、などの動物性タンパク質の摂取量が多いと、摂取量が少ない人に比べてガンで死ぬリスクが4倍に増加
します。
このリスク増加率は喫煙による増加率と同程度
です。 さらに、動物性タンパク質の摂取量が多い中年では、ガン以外での死亡率や糖尿病による死亡率も増加していました。
中年においては、中タンパク食であっても健康に悪影響がありました。 中タンパク食のグループでも、ガンで死亡するリスクが低タンパク食のグループの3倍だったのです。
タンパク質の摂取量を少し減らして中タンパク食から低タンパク食に移行するだけで、早死にのリスクが21%減少
していました。
参考
:
ということで、さっそく元の論文を読んでみたわけですが、いきなりこんな記述が。
コックス比例ハザードモデルにより、高タンパクと中タンパク食は、間違いなく糖尿病による死亡率を高めることがわかった。しかし、
心臓疾患やガンといったその他のすべての死亡因による死亡率との関連性はなかった。
んんん? なんか、報道とはトーンが違うんですが…。
では、なんで「タンパク質はタバコと同じ!」ってニュースになったかというと、特定の年齢層のデータに注目したからっぽい。
50〜65歳の対象者においては、高タンパク食とガン死亡率との間に顕著な関連が見られた。この年齢層では、高タンパク食の対象者は、低タンパク食にくらべて相対的な死亡率が74%高く、ガンの死亡率が4倍高かった。
50〜65歳の間では、高タンパクとガンには相関があった、と。
ただ、この数字は、死亡率が相対的な数字になってるのが難点。この研究では、高タンパク食の対象者が低タンパク食の対象者にくらべて倍ぐらい多い(1146人vs.437人)ので、相対の数字を出されても「実際のところはよくわかりません」としか。「宝くじを4枚買ったから当選率が4倍になったぞ!」って騒いでるだけの可能性もありますしね。
なので、タバコの死亡率と今回のデータを同等に見るのは単純に間違い。高タンパクとガンの関連性については、生データが出てくるまで判断を保留するしかないなぁ。
個人的な雑感
そんなわけで、タバコとの比較がおかしいのは間違いないにせよ、タンパク質とガンの関連については、論文を見た限りでは「よくわかりません」としか言いようがない感じ。なにせ数字の出し方があいまいなんで、賛成も反論もできないんだよなぁ。スッキリしない結論ですみません(笑)。
まぁ、この論文で不安になった人は、昔ながらの「体重1キロにつきタンパク質1グラム」の黄金ルールを守っていれば問題ないと思います。そもそも、筋肉をつけたいとき以外は、過剰にタンパク質をとっても意味はないですからね(減量には役立つけど)。
あと余談ですが、この論文では「動物性タンパクはガンを起こすけど、植物性タンパクは問題なし!」と言うわりに、「動物性タンパクと植物性タンパクの違いは見つからなかった」とも書いてあるのが謎。これだと、タンパク質によるIGF1の刺激がガンを引き起こすって話が成立しないような…。