アミノ酸で筋肉が増えてお肌もグンと若返る!って本当?
成長ホルモンに関するご質問をいただきました。
知り合いから成長ホルモン系?のサプリメントを勧められました。成長ホルモンが良くでると筋肉がついて肌も若返るというのです。成長ホルモンのサプリメントはどうなのでしょうか?本当に効果がありますでしょうか?
とのこと。成長ホルモンは、その名のとおり細胞の成長をうながす物質で、見た目の若さや活力、メンタルヘルスなんかにも大きな影響を持っております。一般的には「筋肉を育てるホルモン」として有名で、アスリートやボディビルダーのなかにも愛用者が多いとか。
成長ホルモンは体脂肪の減少や若返りに効く
その効果は昔から確認されていて、たとえば1990年の実験(1)では、21名の高齢者に週3回の成長ホルモン注射を行ったところ、半年で約2.3キロの脂肪が減り、肌も格段に若返ったんだとか。さすがホルモン注射は効果がハッキリしてますね。
もっとも、成長ホルモンは注射じゃないと効果が出ないのが難点であります。タンパク質でできてるんで、口から入れると胃で溶けちゃうんですね。さらに成長ホルモン注射は1年で300万円ぐらいかかるんで、とても現実的な方法じゃないんですな(美容のために打ってるセレブは多いそうですが)。
というわけで代わりによく使われるのが「成長ホルモンの分泌をうながす」と主張するサプリであります。Amazonで「HGH」と検索すれば、かなりの商品がリストアップされるはず。たいていは数種のアミノ酸で構成されてまして、グルタミン、リジン、アルギニン、オルニチンなどがメジャーな成分かと思います。
アミノ酸と成長ホルモンの実験は食い違いが大きい
が、残念ながらアミノ酸と成長ホルモンの実験では、いまのところ一貫した結果が出ておりません。まず有利なデータとしては、
- 9人の参加者に1日2gのグルタミンを飲んでもらったところ、その後90分にわたって成長ホルモンが増えた(1995年,2)
- 9人の参加者にアルギニンとリジンを飲んでもらったところ、血中の成長ホルモンが増えた(2010年,3)
などなど。逆に不利なデータとしては、
- 11人のウェイトリフターに1日6gのアミノ酸を飲んでもらったが、成長ホルモンの量は変わらなかった(1993年,4)
- 28人の男女に1日5gのアルギニンを飲んでもらったが、逆に成長ホルモンの分泌量は減ってしまった(1999年,5)
といった感じ。完全に真逆の結果になってますねぇ。
そもそも成長ホルモンで筋肉は増えなそう
そんなわけで、アミノ酸で成長ホルモンが増えるかはよくわかりませんけど、個人的には「HGH」系サプリはオススメしておりません。というのも、そもそも成長ホルモン注射でも筋肉は増えないってデータのほうが多いんですよ。
たとえば1993年の実験(6)では、健康な若い男性に2週間の成長ホルモン注射を行ったところ、血中のホルモンレベルは増えたにも関わらず筋肉のタンパク質合成量は変わらなかったとか(=筋肉は増えなかった)。
1992年の実験(7)でも似た結果が出てまして、16名の若者に筋トレと成長ホルモン注射を行ったものの、12週間が過ぎても筋肉の増加量に違いは出なかったそうな。研究者によれば、どうも成長ホルモンは筋肉以外(臓器とか)のタンパク質合成は増やしても、筋肉には何の影響もあたえないみたい。アスリートやボディビルダーが注射を打つのは、結合組織を強くしてケガを防ぐのが目的なんだとか。うーん、残念。
まぁ成長ホルモンが肌を若くするのは確実なんで、美容目当てでアミノ酸を飲むのはありなのかも。ただし、もしアミノ酸で成長ホルモンが増えるとしても、その効果はとても短いので目立った効果が出るかは疑問であります。それなら普通にプロテインパウダーを飲んだほうがお得なような気もします。
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