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抗酸化物質で逆に癌になる?ってホント?

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抗酸化物質で癌になる?

抗酸化と癌に関するご質問をいただきました。

 

自分もパレオさんの記事に影響されて、ブルーベリを毎日食べるようになりました。

ところでブルーベリーで気になる記事を見つけてしまいました。 それは「抗酸化作用はがん予防に逆効果」という記事です。論文が記載されたURLはありませんが、このような結果がでていたことに驚いています。

ブルーベリーの抗酸化の良さは知っていたつもりですが、 真逆のような「癌になる」といった説もあるみたいです。

パレオさんにはこの研究結果はどう見ますか? 自分は抗酸化を期待してブルーベリーを食べたいけど、癌も怖いなーと思って、食べ続けるか悩んでます。

 

とのこと。当ブログではブルーベリーを推奨してるんですが、その抗酸化作用で逆に「癌になるのではないか?」といったご心配ですね。

 

 

この記事のネタ元は2015年のネイチャー論文(1)で、皮膚癌のマウスに抗酸化物質をあたえたら、癌の転移スピードが上がったというもの。確かにビビっちゃいますねー。

 

 

もっとも、これは目新しい話ではなくて、例えば2014年の実験(2)でも、NACやビタミンEといった抗酸化物質を投与したマウスは肺癌の細胞が大きくなったとか。ヒトを対象にした研究(3)でも、よくタバコを吸う人にβカロチンを飲んでもらったら、逆に死亡率が8%あがったとか。

 



 

 

 

ブルーベリーは危険なのか?

こういった現象が起きるのは、もともと活性酸素には癌細胞をやっつける働きがあるからであります。その作用が、抗酸化物質のせいで打ち消されちゃうんですよね。

 

 

が、だからといってブルーベリーを止めるって話にはならないかと思います。これらの実験は、あくまで癌を発症したマウスやヒトを対象にした実験なんで、健康な成人が心配するようなことじゃないかと。

 

 

その点では、2016年に精度が高い論文(4)が出てますんで、ひとつご紹介を。これは「ブルーベリーにふくまれる抗酸化物質(アントシアニン)って本当に効くの?」って問題を調べたもので、過去に出た10件のデータをまとめた系統的レビューになっております。つまり、科学的な信頼性はかなり高め。

 

 

かなりドカ食いしても問題は出ない

その結果をざっくりまとめると、

 

  • アントシアニンはLDLコレステロールを下げる!
  • ただし心疾患リスクを下げるとは断言できない
  • 1日640mgまでのアントシアニンなら何の悪影響もない

 

みたいな感じ。健康な成人が摂取する限り、アントシアニンはちゃんとカラダに良い影響があるみたいです。

 

 

ブルーベリーにふくまれるアントシアニンの量は、だいたい100g中に150mgぐらいですから、よほど1日にドカ食いしない限りは問題ないはず。もちろんサプリを飲み過ぎた場合は別ですが。

 

 

まとめ

そんなわけで、以上の話をまとめると、

 

  • 癌や腫瘍ができた人は、抗酸化物質の使用は医師に要相談
  • フルーツや野菜から抗酸化物質を摂取している限りは何の問題もない

 

みたいな感じです。とにかく、天然の食品から摂取する限り、特に癌への影響は心配しなくてもよいかと思います。ただし、サプリを使う場合は、ついついリミットを超えて使いがちなので、ちゃんと使用上の注意を守ってご利用ください。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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