「体を冷やす食べ物」と「体を温める食べ物」にこだわるのは健康にいいのか問題
体を冷やす食べ物についてご質問をいただきました。
我が家は冷え性の家族が多く、食べ物やお茶を選ぶときに「体を冷やす」「体を温める」と言うことを(妻が)重視しています。例えば緑茶がいいと言われても「緑茶は体を冷やすから、紅茶の方がいい」と言うように。 食べ物によって体を冷やしたり温めたり、ということが科学的に実証されているのかどうか、そういった論文は出ているのでしょうか?
とのこと。「緑茶が体を冷やす」みたいな考え方ってまったく知らなかったんですが、ちょっと調べてみたら東洋医学をベースにしたアイデアみたいっすね。食品は「陰性食品と陽性食品にわけられる、とかなんとかかんとか(1)。
でもって、結論から言っちゃえば東洋医学をベースにした「体を冷やす」「体を温める」ってのは、特に気にしても無意味かと思われます。科学的な根拠がないのはもちろんですが、そもそも「体を冷やす食品」とか「体を温める食品」とかって、そこまで研究の世界でも熱いトピックじゃないですからねぇ。
そんなわけで、「緑茶は体を冷やす」みたいな話は信じなくて結構ですが、いちおう体温を上げたり下げたりする食べ物の基本ラインはおおまかにわかってはいます。具体的にはワシントン州立大学の栄養学者であるバリー・スワンソン博士などがくわしくて、いろいろとまとめてくれております(2)。
ざっくり紹介しますと、
1 複合糖質ほど体温は上がる
複合糖質ってのは、デンプンをベースにした多糖類で、米とか全粒粉などが代表例。単糖類(お菓子とかですな)にくらべたら吸収がゆっくりなんで、そのプロセスのあいだに体をあっためる効果があるんですな。
2 脂肪とタンパク質が多い方が体は温まる
脂肪は消化にかかる時間がゆっくりなんで、そのぶんだけ身体がエネルギーを使い、結果として体温は上がる。同じように、たんぱく質も消化にエネルギーが必要なんで、熱産生の時間が長くなり、やっぱり体は温まる。その意味でいえば、やっぱ肉はいいんでしょうなぁ。
3 水分が多いものは体を冷やす
すごく当たり前の話ですが、水分を取れば取るほど人間の体は冷えていくもの。なので、葉物野菜なんかはほとんどが水分でできてる上に消化もしやすいので、体が冷えた感じになりがち。
4 辛いものも体を冷やす
辛いものを食べると一瞬だけ熱くなったような気になりますが、その後で汗をかくので、最終的には体が冷えがち。暑い国ほど辛いものを食べるのは、これが理由だからですな。
5 アルコールは体を温めた気になれる
アルコールは血管を拡張するものは、血のめぐりがよくなるせいで皮膚に熱を生む。そのおかげで、特に顔の毛細血管などが赤くなり、暖かくなったような感覚になる。
って感じです。つまりまとめると、
- 消化がはやいものは体を冷やす、消化が遅いものは体を温める
- 水分が多いものは体を冷やす、水分が少ないものは体を温める
ぐらいの感じですねー。食品の陰性や陽性にこだわるよりもすっきりしてていいんじゃないでしょうか。そう考えると、鶏胸肉なんかは体を温める食材としていいのかもしれませんなぁ。