抗酸化物質が筋肉痛に効くかどうかを徹底的に調べたよ!というメタ分析
昔から「筋肉痛に抗酸化物質が効くんじゃない?」って考え方があるんですよ。
なぜなら、筋肉痛の原因は肉体がダメージを受けたせいで炎症と酸化ストレスが起きるのが原因だと考えられてまして。それならば、抗酸化や抗炎症の効果を持ったサプリや食品を取れば、痛みを防げるのではないか?って発想なんですな。
ってことで、新しく出た論文(1)では、「抗酸化物質が筋肉痛に効くかどうかを徹底的に調べたよ!」って内容になってておもしろいです。
これはシェフィールド・ハラム大学の研究で、過去に出た「筋肉痛の実験」を調べあげたメタ分析。わりと質が高い50件をまとまたうえで、抗酸化物質が筋肉痛に効くか?や副作用はないのか?をチェックしれたんですな。
参加者の数は1,089人で年齢は16〜55才。そのうち約7割が普段からよく運動をしてるひとを対象にしてたりします。
抗酸化物質の摂取源は野菜やフルーツ、抗酸化サプリ(NACとかチェリージュースとか)、ビタミンC&Eなど。実験期間は最大91日で、エクササイズの後に抗酸化物質を取ってどうなるかをみております。
それでどんな結果が出たかと言いますと、
- 抗酸化物質は筋肉痛を有意に減らす。その効果はトレーニング直後から72時間まで続き、96時間を過ぎたら意味がなくなる
ってことで、統計的にはちゃんとした違いが出たらしい。ただし、さらにデータを良く見てみると、
- 筋肉痛の減り方は10点満点で0.17〜0.52ぐらい!
なんて数字も出てたりします。うーん、この結果は切ない。というか、ほとんど現実的には意味がないレベルでしょうな。
ちなみに副次アウトカムでは、
- 抗酸化物質はエクササイズのパフォーマンスや筋肉の動きなどへの悪影響はなかった
- 抗酸化物質を飲んだら、トレーニング後96時間までは筋出力が上がってた(ただし6%以下)
って傾向がみられたみたい。筋出力のアップはそこそこうれしいですが、こちらもあんま現実的には意味がない感じですねぇ。
まぁそもそも以前から「抗酸化物質を飲むと筋肉が発達しにくくなる!」みたいなデータもありますし、エクササイズと組み合わせる意味はないのかも。というのも、エクササイズの後に起きる酸化ストレスは、筋肉に「成長しろ!」とシグナルを送る働きもしてるんで、こいつを消しすぎると、せっかくの筋トレのメリットが出にくくなっちゃうんですよね。とはいえ、このシグナルはエクササイズ後から数日は続くので、抗酸化サプリのデメリットを打ち消すのって難しいんですが。
そんなわけで、いろいろと難しいとこではありますが、とりあえず筋肉痛の防止を狙って抗酸化サプリを飲むのは無意味っぽいですよーってことでひとつ。