寝室が明るいと「豆電球レベルの明るさ」でも心が病むかもしれないぞ!という観察研究の話
「寝る前の光は良くないよ!」ってのは常識になりつつありますが、今度は「寝室がちょっとでも明るいとメンタルにやばい!」ってデータ(1)が出ててビビりました。
これは奈良県立医科大の研究で、863人の高齢者が対象。平城京スタディっていう有名な健康調査を使っております。「冬は寒い部屋で暮らすほどウエストが細くなる」って研究で使われたのと同じデータセットですね。
研究チームは全員の寝室のライトをふた晩ほど計測しまして、寝る前にどれぐらいの光を浴びているのかをチェックしたんですな。その上で、みんなに睡眠日記をつけてもらい、さらに2年にわたってメンタルがどのように変化したかを追跡調査しております。これはためになりますなぁ。
で、2年後、全体のうち73人にうつの症状が起きてまして、そこから寝室の明るさとの相関を割り出したところ、
- 5ルクス以上の部屋で寝続けるとメンタルを病む!
だったそうな。5ルクスってのはかなり暗いレベルで、豆電球でも9ルクスぐらい。5ルクス以下を達成するには、ほぼなんの照明もつけないぐらいのイメージですかね。
確かに古代人は月明かりの下で寝てたはずなんで、おそらく人間はどんなに明るくても夜間は1ルクス以上の環境には適応できてないはず。そう考えると、5ルクスでもヤバいってのは納得感があるなぁ。
もちろん、この研究は原因と結果を調べてはいないので、寝室の明かりがどこまでメンタルの悪化に関わっているのかは不明ではあります。ただし、ブルーライトが睡眠を乱すのは確実だし、睡眠の悪化がメンタルに良くないものまた確実なんで、そりゃあつながってるだろうなぁ、とは思うわけです。
研究チームいわく、
夜に寝室の暗さを維持するのは、うつの予防としては新しいが実現性の高い手法だろう。
とのこと。さらに、この研究は高齢者がメインでしたが、当然ながら若者も気をつけてね!とおっしゃっておられます。
70代の高齢者が光を受け取る機能は、10代のおよそ5分の1だ。
だそうで、若者の方が夜間照明でメンタルが病みやすいかもしれないんだ、と。まぁ寝室の照明をいきなり取っ替えるのも大変なんで、とりあえずはオレンジのメガネでしのいでいくのがいいですかねぇ。