「情熱を探せ!」はモチベーションの低下をもたらす間違った考え方だぞ!というイエールNUS研究
「情熱を持って仕事をしよう!」みたいなアドバイスをよく聞きますな。
ちょっと説教くさいのが嫌な感じですが、このアドバイスが正しいことはそれなりに立証されてまして、情熱がある人ほど仕事の生産性や成果が高い傾向が出てたります。そりゃあモチベーションがあったほうがいいですもんね。
ただ、新しい論文は「情熱の考え方によって影響が大きく変わるよ!」って結論(1)になってておもしろいんですな。
これはイェールNUS大学の論文で、5つの実験で構成されております。被験者はおもに学生さんがメイン。
まず、実験1〜3がどんなデザインだったかというと、
- だいたい100人前後の参加者を集めて、どんな教科に興味を持ってるかを尋ねる
- 参加者を「オタク文化好き」「科学好き」「アート好き」などにわける
- それぞれの参加者に、自分の興味とはまったく異なる文章を読んでもらう(文学好きにゴリゴリの科学書をあたえたり、とか)
って感じです。さらに、ここで全員の「情熱の考え方」を2パターンに分類したのが、この研究のおもしろいところであります。具体的には、
- フィックスド・パッション=情熱とは「自分のなかに眠っているものを探し出すものだ!」みたいな考え方
- グロウス・パッション=情熱とは「なにかをやってるうちに生まれてくるものだ!」みたいな考え方
みたいになってるんですな。たとえば、ビジネス書にありがちな「自分の内なる情熱を見つけろ!」や「好きなことを探せ!」みたいなアドバイスはフィックスド・パッションで、いっぽう「やってみたら楽しいかもよ」みたいなのはグロウス・パッションですな。
その結果はどの実験でも同じで、
- グロウス・パッションの人は興味がない文章でも興味を持つ可能性が高い!
だったそうな。当然、グロウスなほうが柔軟性が高いんで、自分の興味とは違う内容にもモチベーションがわきやすいわけっすね。
さらに。残りの実験はこんな感じです。
- 参加者にブラックホールのビデオを見せる
- その後、全員にブラックホールの理論を解説した難しい論文を読んでもらう
すると、ここでも結果は似てまして、
- アート系の人でも、グロウス・パッションを持ってれば難しい論文も読み通せた
- 科学系に興味がある人でも、フィックスド・パッションだと論文を読みこなせなかった
といったふうにわかれたんですね。つまり、いかに自分では「情熱がある!」と思ってることでも、考え方が固定された状態だとモチベーションは下がっちゃうわけですな。当ブログではおなじみの「しなやかマインドセット」に近いものがありますねぇ。
研究者いわく、
「情熱」とは、すでに私たちの内に存在し、ただ発見されるのを待っているのだろうか? それとも、「情熱」は努力と忍耐で養うことができるのだろうか? 答えは後者だ。
もし「情熱は見つけるものではなく養うものである」という事実を知れば、教師や雇用者などは大いなる恩恵を受けられるだろう。
とのこと。要するに、「自分の情熱を見つけろ!」ってのはただの受け身の行動なんけど、「やってみて情熱を育てる」は現実的な考え方なんだ、と。なるほどねぇ。
ってことで、もちろん情熱があるのは悪いことじゃないんですが、とはいえ「自分の中にある(はずの)情熱を探すべし!」みたいな考え方はNGっぽい。「とりあえず試してみて情熱が出てきたらめっけもん」ぐらいに考えておくほうがよさげです。