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着るだけでトレーニングになる?「ウェイトベスト」は買うべきか問題

Weighted vests

 

ウェイトベストに関するご質問をいただきました。

 

ウォーキングや筋トレがいいとのことで、私も始めたのです が、なかなか満足 
に時間が取れず、ウォーキング時に5Kgのチョッキと2Kgの重 りを足につけてウォー キングを筋トレがてら行っておりますが、これは科学的には意味が あるのでしょう 
か?

 

とのこと。ご質問にある運動器具ってのは、↓みたいなやつです。

「ドラゴンボール」とか昔のカンフー映画の修行シーンでたまに見かけたやつですね。妙に中二病気分がかきたてられるナイスなアイテムだと申せましょう。

 

 

まぁ普通に考えれば、いつもの動作のすべてに余計な負荷がかかるわけですからねぇ。シンプルな器具なだけに、効果も見込めるだろうとは思うわけです。

数少ない調査では良い結果が出ている

が、いまんとこウェアラブル系のウェイトについてはリサーチ例が少ないので、「間違いなく買い!」とは言えないのが辛いところではあります。数少ない検証例としては2014年のアテネ大学実験(1)がありまして、24人の学生を集めて、

 

  1. 体重の8%の重量のベスト
  2. 体重の15%の重量のベスト
  3. 体重の20%の重量のベスト

 

の3パターンでランニングの練習をしてもらったんですな。そうしたところ、8%のベストでランニングのパフォーマンスが4%ぐらいアップし、20%のベストでは10%近く上がったんだそうな。これはなかなかですね。

 

 

また、もうひとつ2015年のアッカーランド大学研究(2)では、「ウェイトベストはウォーミングアップに良い!」って結果も出てたりします。こちらは11人のランナーを対象にしたテストで、

 

  1. 体重の20%の重量のベストを着てもらう
  2. そのまま10分の軽いジョギング
  3. 10分の休憩
  4. パフォーマンステスト

 

って感じで運動能力の変化をチェックしたところ、ベストを着た参加者はピークスピードが向上したというんですな(最大酸素摂取量もちょっと増えたみたい)。

 

 

いずれも規模の小さな研究ではありますが、ウェイトベストを使った実験はどれも好成績が出てまして、まずは「効果がある」と言っていい気がいたします。

 

 

ただし関節への負荷がちょっと心配

が、自分で買うかと言われれば悩んじゃうとこでして、というのも「関節に良くないかも?」って気がするからですね。

 

 

なにせ普段とは違う重量を胴体や手足につけるんで、フォームも変わるだろうし、間接に余計な負荷もかかるでしょうからねぇ。そのせいでヒザや腰に痛みが出ちゃうケースもあるのではないか、と。

 

 

まぁこれはあくまで予想ですが、ハーバード医科大(2)でも似たような心配をしておられます。同大学のテリー・ダウニー博士いわく、

 

足首にウェイトをつけると関節が引っ張られ、腱や筋のケガにつながる。

 

とのこと。重りをつけたまま有酸素運動をすると、いらぬ負荷が関節に悪影響ではないのか?って考え方ですね。個人的にも「そりゃそうだろうなぁ」と思うわけです。

 

 

同じように、ウェイトベストも背骨にプレッシャーをかけるので、もしヘルニアなどの問題がある場合はNGとのこと。これも納得っすね。

 

 

ってことで、手軽に負荷を高められるって点ではウェイトベストやアンクルは良いアイテムではないかと思います。ただし、関節への負担が心配なので、アンクルやリストを使う場合は、くれぐれも激しい運動はお控えください(ベストならまだOK)。

 

 

また、もしウェイトベストなどを使いたい場合は、体重の10%ぐらいからスタートしつつ、様子をみながら重量を増やしていただければとー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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