沖縄のイモでテストステロンは上がるのか?問題
過去に「テストステロンが低いと大変なことに!」みたいなことを書きました。男性も女性もテストステロンが低いと元気が損なわれちゃうんで、高めに維持しておくに越したことはないんですよね。
で、サプリの世界でもテストステロンは人気で、毎度おなじみiHerbさんでも、大量のテストステロンブースターが提供されてるわけです。これさえ飲めば男性ホルモンがドバドバ出て元気に!みたいなノリの製品ですな。
ただ、一般的にこの手の製品には効果がないのも有名な話。たいていは「もしかしたらテストステロン値が低いなら意味がるかもだけど、ほとんど無駄だよねー」って結論なんですよね。
といったところで新たな研究(R)は、「トゲドコロでテストステロンが上がるのでは?」って疑問を調べてくれておりました。これはヤムイモの一種で、日本だと「クーガ芋」って名前で沖縄とかでよく生産されております。私は食べたことがないんですけど、栄養価が高くて、山芋なみにネバネバが強いそうな。いかにも健康に良さそうっすね。
この研究は大きく2つで構成されてまして、
- 実験1:15人のアスリートと15人の一般人を集めて、みんなのDHEA、テストステロン、DHTなどの血中レベルをチェックする
- 実験2: 15人のアスリートに、トゲドコロを1日2000mgまたはプラセボのいずれかを摂取するように指示。実験期間中はみんな週3の筋トレを行い、8週間でどれぐらいの違いが出るかを調べる
みたいになってます。2000mgのトゲドコロには、有効成分であるジオスゲニンが~20 mgほど入っていて、こいつがテストステロンを上げてくれるのでは?と考えられるんですな。
サプリメントは1日1回カプセル状で渡され、夕食後30分以内に摂取するように指示されたとのこと。さらに筋トレについては、全身を鍛えるメニューをそれぞれ1RMの70%の負荷で10レップ×4セットずつ行ったらしい。
でもって、最後にみんなの体型やテストステロンレベルを調べたら、結果はこんな感じになりました。
- アスリートと非アスリートを比較すると、アスリートは普段のテストステロンが低かった。
- トゲドコロを飲んだグループは、血清 DHEA (p = 0.044) と DHT (p = 0.035)が プラセボより有意に増えた。遊離テストステロンの増加も見られたが、この違いは統計的には有意ではなかった(p = 0.095)
- トゲドコロを飲んだグループは、腕の筋肉がプラセボよりも増えた(+0.36±0.05 vs +0.10±0.14kg、p = 0.049)。と同時に、デッドリフトの1RMの有意に向上した(+12.86±4.61 vs +0.00±3.27 kg; p = 0.037)
というわけで、全体的に見れば「もしかしたら効果があるかも?」ぐらいの感じではありますが、テストステロンについては効果がなさそうだし、デッドリフトについては「たんにプラセボ群の反応が悪いだけでは?」って気もしますんで、個人的にはサプリを買うまでには至らないっすね。
まー、全体的に考えれば、やっぱ健康な人のテストステロンを増やすような妙策はなくて、
- 亜鉛、マグネシウム、またはビタミン D などが足りてない人はテストステロンが低くなりがちなので、そこらへんをサプリで補うのはあり!
- ストレスや栄養不足以外でテストステロンが低い場合は医者に行こう!
ぐらいのことしか言えなそうっすねー。