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今週末の小ネタ:フェヌグリークの効果、ネガティブな表情のデメリット、ナルシストの出世率

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

 

フェヌグリークでコレステロールは改善する?のメタ分析

フェヌグリークで、血中の脂質が改善するかどうかを掘り下げたデータ(R)が出ておりました。フェヌグリークってのはアーユルヴェーダよく使われる植物で、過去には「テストステロンが増えるというけど、どうも怪しい」って話を紹介したことがありました。

 

 

で、新たなデータは15の試験をまとめたメタ分析で、フェヌグリークの摂取によって、

 

  • 総コレステロールは変わるか?(n=15)
  • LDLコレステロールは?(n=13)
  • HDLコレステロールは?(n=13)
  • 中性脂肪に変化はあるか?(n=14)

 

ってのを調べた内容になってます。PRISMAに準拠しておらず、事前登録もされてないんで、ちょっとメタ分析としての信頼度は下がりますが、ある程度の参考にはなりましょう。

 

 

分析の結果はこんな感じです。

 

  • 対照試験では、フェヌグリークは総コレステロール、LDL-C、HDL-Cを改善したが、中性脂肪は改善しなかった

  • 非対照試験では、フェヌグリークはHDL-Cを改善したが、その他の要素は改善しなかった

 

ということで、全体的に小規模な試験が多いのでなんとも言えないものの、ひょっとしたらある程度の効果はあるかなーってとこですね。個人的には、この結果をもとに「血中脂質の問題のためにフェヌグリークを買おう!」とは推奨しないかなぁ。

 

 

 

ネガティブな顔をしていると貧しい人間だと思われる問題

シケた顔をしてると社会的な地位が低く思われる?」みたいなデータ(R)が出ておりました。これは合計675人を対象に4つの実験を行った内容で、

 

  1. いろんな表情の顔写真を参加者に見せる

  2. それぞれの顔ごとに、「社会的なレベルはどれぐらいか?」を予想してもらう(「金持ちそう」とか「良い仕事についてそう」とか)

 

みたいになってます。すると、表情と社会レベルの予想には関係がありまして、

 

  • 怒っている、嫌悪している、恐れている、悲しんでいるなどのネガティブな表情をしている場合は、無表情と比べて、「この人は貧しそうだ」や「良い仕事にはついてない」と思われやすかった

 

  • 逆に幸せそうな表情をしているときには、「この人は豊かそうだ」と思われる確率が高くなった

 

って結果だったらしい。研究チームいわく、

 

この結果は、感情表現が社会階級の認識をシフトさせることを示している。ここで重要なのは表情がポジティブかネガティブかどうかだけであり、これは社会階級の低い人はネガティブで、高い人はポジティブという大まかなステレオタイプに頼っているものと思われる。

 

とのこと。つまり、世の中には「金持ちやいい仕事についてる人は幸せだろう」って思い込みが多いので、自然とポジティブな表情を社会的な地位の高さと結びつけるんだって話です。イギリスの実験なんで日本でも同じかどうかは謎ですが、本邦でも同じようなもんかもですな。

 

 

 

ナルシストほどCEOになりやすい説

ナルシストは社会で成功しがち」って話は昔からあるわけです。特に近年はナルシシズム研究が増えてて、

 

  • 自分を重要だと思っている
  • 権力への欲求が強い
  • 自分の欲望のために人を操ることも多い

 

といった特徴を持つ人ほど社長になりやすかったりするんですよ。

 

 

で、新たなデータ(R)も「職場におけるナルシスト」を調べたもので、172人のイタリア人CEOに協力をお願いして、

 

  • ナルシシズムのレベルを測るテストをしてもらう
  • みんなの学歴、前職、CEOに任命されるまでの役職などのキャリアをチェックする

 

って感じで各自のキャリアとナルシスト度を比べております。

 

 

まずは分析の結論から言いますと、こんな感じです。

 

  • ナルシシズム度の標準偏差が1つ増加すると、CEOになる可能性が29%高くなる
  • ナルシシズム度の標準偏差が2つ増加(トップクラスのナルシスト)でも、やっぱりCEOになる確率は高い
  • ナルシシズムとCEOに昇進する確率の高さは、会社の種類とは関係がなかった

 

ってことで、従来のデータどおり「やはりナルシストは昇進しやすい!」って傾向があるっぽいですね。まぁナルシストって「俺はスターだ!」みたいに振る舞うので、他人から「あの人はリーダーにふさわしい!」と思われやすいんですよね。

 

 

研究チームいわく、

 

今回の結果はやや懸念をもたらす。企業の主要なポジションにナルシストが現れやすいことを示唆するからだ。

 

ナルシシズムはダークな特性として知られ、ナルシシズムのレベルが高い者は、金融犯罪や租税回避など、企業にとってマイナスな行動を取ることがわかっている。

 

ってことで、ナルシストなCEOのヤバさが述べられておりました。確かに自己愛強めなCEOって多そうですもんね…。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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