抗酸化サプリよりも簡単な筋トレのほうが人体の抗酸化システムは改善するかもよー、という
アンチエイジングのためには抗酸化物質が大事!ってのはよく聞く話ですが、拙著「不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる」で強調したのが、
- 内因性の抗酸化システムを調整しよう!
みたいな話です。抗酸化というと、ポリフェノールやらビタミンCとビタミンEなどのフリーラジカルを取り除く成分を思い浮かべるケースが多いですけど、実際には、生まれながら人体に備わった抗酸化システムを鍛えるほうが大事だったりするんですよ。外部から抗酸化物質を取り込むのも大事ですが、体内のシステムのほうが効果が大きいもんですから。
で、近ごろ出た研究(R)では、「体内の抗酸化システムを鍛えるための最高の方法は?」ってのをチェックしてくれてて参考になりました。
これが何を調べたものかと言いますと、
- ビタミンD vs. 筋トレ!体内の抗酸化システムに効くのはどっちだ!
って感じです。ご存じのとおり、ビタミンDは体内でいろんな役割を果たしている栄養素ですが、昔から体内の抗酸化システムの調整にも役立ってることが知られていたんですよ。それと同時に、近年では筋トレも重要な役割を果たしていることがわかってきまして、
- 筋トレで体内に炎症反応が起きる
- その炎症のに反応して体が抗酸化物質の産生を促進する
- その後の運動による酸化ストレスが軽減する!
みたいな流れになってます。「不老長寿メソッド」で取り上げたホルミシス効果が働き、人体の抗酸化パワーをブーストしてくれるわけですね。
ということで、今回の研究では、ビタミンD3のサプリと筋トレが酸化ストレスと抗酸化力に与える影響を比べてまして、だいたい以下のような実験を行っています。
- 最初からビタミンDレベルが低い若い男性40人を集める(研究開始時の25(OH)Dレベルの平均値は約21ng/mL)
- 被験者を4つに分けて、(1)ビタミンD3(50、000IUを2週間に1回)を飲みながら筋トレを行うグループ、(2)プラセボサプリを飲みながら筋トレを行うグループ、(3)筋トレを行わずにビタミンD3を補給するグループ、(4)プラセボサプリを飲み、筋トレは行わないグループのどれかに割り当てる
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8週間後に採血を行い、マロンジアルデヒド(酸化ストレスのマーカー)、スーパーオキシドディスムターゼ(体が生み出す抗酸化物質)、総酸化防止能力(TAC)、グルタチオンペルオキシダーゼ(もう一つの体が生み出す抗酸化物質)、クレアチンキナーゼ(筋肉の損傷のマーカー)、および血清ビタミンD濃度をチェックする
ここで採用された筋トレはエクササイズバンドを使うもので、ほとんどの主要な筋肉グループを対象に、10〜15回×3〜4セットを週3回、8週間にわたって実施したそうな。足、腕、胸、背中をまんべんなく鍛える、非常にベーシックな筋トレを行ったみたいですね。
でもって、8週間後の結果はこうなりましたー。
- 筋肉のダメージについては、どのグループでもあまり変化しなかった
- なにもしないグループとビタミンDを飲んだだけのグループと比べて、筋トレをしたグループのほうが酸化ストレスが減り、体が生み出す抗酸化物質の量が増え、総酸化防止能力も大きく改善した
- ビタミンDサプリ+筋トレを行ったグループと、筋トレだけのグループを比べた場合は、どちらが良いのかはよくわからない(ビタミンDサプリ+筋トレを行ったグループのほうがもしかしたら良いかもだけど、その判断に必要な統計的検定の結果が論文に報告されていない)
一部に判断が難しいポイントはありつつも、全体で見れば、ビタミンD3よりは筋トレのほうが体内の抗酸化システム改善には効きそうな感じがしますね。それも、この研究を見る限り、かなり簡単な筋トレをしただけでもOKみたいなので、これからは、
- 自前の抗酸化パワーを上げるためにも筋トレは必須だ!
ってポイントを推奨していきたい所存です。