ミニマリズムはどこまでメンタルにいいの?の系統的レビューとか
「ミニマリズムはどこまでメンタルにいいの?」ってのを調べたデータ(R)が出てたので、軽く中身をチェックしておきましょう。
これはノーステキサス大学のジョシュア・フック先生などが行った研究で、まずチームは以下のようなことを言っておられます。
「お金で幸せは買えない」という格言の正しさを裏づける研究が、長年にわたって蓄積されてきた。
そこで、西洋文化でよく見られる大量消費型のライフスタイルに代わるものとして、自発的なシンプルさ(ミニマリズムとも呼ばれる)を求めるライフスタイルが現れてきた。
これのライフスタイルには、個人が自分の価値を優先させることに集中できるように、生活における消費と過剰を減らすことに焦点を当てた生活も含まれている。
とのこと。確かに、「お金がたくさんあっても幸福度は上がらない!」って話は昔からありまして、近年でも「年収が1,000万円を超えると幸福度はほぼ上がらない」って結果が報告されてたりします。まー、やはり人間の幸福は金じゃないようでして、そのカウンターとしてミニマリズムが出てきたんだ、と。
ってことで、ミニマリズムと幸福の関係をよりよく理解するために、研究チームは、過去のデータから23の文献を探す系統的レビューを実施。これらの研究をもとに、「ミニマリズム」や「シンプルなライフスタイル」が、メンタルヘルスの向上とどれぐらい相関するかを検証してくれております。
その結果、どんなことがわかったかと言いますと、
- 定量的に行われた研究のうち、80%以上が、シンプルなライフスタイルと幸福感の間に関係があると報告していた。
- たとえば、ロチェスター大学のカーク・ブラウン先生による2005年の研究では、シンプルなライフスタイルを好む200人を、それ以外の200人と比べたところ、シンプル派の方がポジティブな感情や幸福感の量が多かった。
- インタビュー形式で行われた研究では、85%以上が、シンプルなライフスタイルと幸福感の間に関係があると報告していた。
- ミニマリズムと幸福の関係は、低所得者や高齢者ほど強い可能性がある。2012年の研究では、低所得の参加者はシンプルさが人生の満足度を高めることに関連するが、高所得の参加者はそうでもないと報告されている。
という感じだったそうで、やはりシンプルなライフスタイルは幸福につながりやすいんだろうなーって印象ですね。現在の収入や年齢によって、ミニマリズムの効果が変わるかもしれないってのは、おもしろいもんですな。
研究チームいわく、
全体として、大半の研究が、シンプルな暮らしと幸福の間に正の関係が発見された。今回の研究の発見は、シンプルさの種類と幸福の測定方法に関係なくほぼ一貫しており、また、量的および質的研究デザインの両方において一貫していた。
とのことで、シンプルなライフスタイルと幸福の関係は、それなりに信頼できそうな感じがしております。
では、なんでミニマリズムと幸福の間に関係があるのかってことですが、研究チームは、だいたい以下のような想定をしておられます。
- ミニマリストだと物に振り回されにくいので、消費欲をよりよくコントロールできるからではないか。
- ミニマリズムは、人間の基本欲求とされる「有能さ」「関係性」「自律性」の3つを満たす可能性があるからではないか。
ってことなので、おそらく単に「物を減らすのが良い!」って話ではなく、「自分にとって本当に必要なものを見極めて、自分の意志で選択する」って行為が重要なのかもですな。簡単に言えば、シンプルに生きようとすると「自然と人生のコントロール感が増していくのではないか?」ってことですね。
研究チームいわく、
この研究は、より多くを求めようとする社会の一般的な傾向を異を唱えるものだ。幸せになるためには、もっとお金が必要で、もっと物欲を満たす必要があるというのは、私たちが信じやすい大きな嘘だ。このような考え方は、通常はうまくいかない。
それよりも、幸福感を高めるための他の手段として、よりシンプルに生きることを試してみるべきだろう。
ということなので、やっぱシンプルなライフスタイルは心がけたいもんだなーとか思いました。