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今週末の小ネタ:人生の失敗を減らす方法、身体が魅力的な人は10年後に健康、漢方薬でアレルギー性鼻炎は治る?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

マインドフルネスが人生の失敗を減らすかも

毎度おなじみ「マインドフルネス」について、新たなメリットを示したデータ(R)が出ておりました。まず、この研究の結論をざっくりまとめると、

 

  • 瞑想をすると「情報回避」が減る!

 

みたいになります。情報回避は脳のバイアスの一種で、「自分にとって都合が悪い情報を避けようとすること」みたいになります。

 

  • どう見ても顧客が満足していないのに、データのチェックを避けて会社を破滅に導いた社長

  • 自分が病気だと知りたくないために健康診断に行かず、後に癌が発覚した人

 

といったあたりが典型例で、たいていの人は、心配や後悔を引き起こそうな情報を積極的に避けようとする心理を持っているんですよ。

 

これが大きな判断ミスにつながるのは言わずもがなで、「人生に失敗した!」という人には、このバイアスにとらわれてしまったケースが多め。個人の意思決定において、最もよく知られたバイアスのひとつですね。

 

で、この研究は、261人の参加者を対象にしたもので、全体を2つのグループに分けたうえで、一方にはマインドフルネストレーニングを受けてもらい、もう一方にはリラックス系の音楽を聞いてもらったそうな。マインドフルネスのトレーニングは2週間で、1日15分間の瞑想を行ったとのこと。トレーニングはインストラクターが指導していて、

 

  1. 今この瞬間に意識を向ける
  2. 脳内に浮かぶ思考をただ観察しつつ呼吸する
  3. 身体全体に意識を広げるためのボディスキャンをする

 

みたいになります。一般のマインドフルネス瞑想とボディスキャン瞑想を組み合わせた感じですね。

 

すると、マインドフルネスのトレーニングを受けた人たちは、ネガティブな情報でも受け取ろうとするモチベーションが高まったそうで、情報回避のバイアスが低下したらしい。マインドフルネスを実践するには、ネガティブな情報も受け入れなきゃいけないので、情報回避が弱まるのはよくわかりますね。

 

研究チームいわく、

 

個人、社会、経済にとって、情報回避のコストは相当なものになりやすい(感染症に罹患しているかどうかなど、自分の健康状態について知りたがらない個人、点数をチェックしたがらない学生、株のパフォーマンスを見ようとしない投資家など)。

 

そこで今回のデータは、マインドフルに多くの時間を費やす人は、ネガティブでも有用な情報をよりよく見られることを示している。この効果は、マインドフルネスによる感情コントロールが効いている可能性がある。

 

とのこと。要はマインドフルネス瞑想で感情のコントロールがうまくなり、そのおかげでネガティブな感情に悩まさずに、嫌な情報も取り入れられるってことですね。1日15分で効果が出るなら、これはすばらしいですねー。

 

 

 

身体が魅力的な人は10年後に健康

身体が魅力的な人は10年後の健康レベルが高かった!ってデータ(R)が出ておりました。

 

こちらはオスロ大学などの調査で、アメリカで行われた青少年の健康データを分析したものです。このデータにふくまれているのは、

 

  1. 身体的な魅力(第三者が5点満点で評価)

  2. 免疫、代謝、心血管系の健康レベル(血液検査と健康診断で評価)

 

みたいになります。両者のデータをまとめて、どんな関係があるのかをチェックしたんですな。

 

分析にあたっては、みんなの職業、収入、性格特性、知能などを調整しまして、結果的にこんな感じになりました。

 

  • 平均以上の魅力があると評価された人は、平均的な見た目だと評価された人に比べて、10年後の健康状態が良好だった。

 

というわけで、身体が魅力な人ほど心血管系リスクが低かったらしい。

 

なんでこういう結果が出たかは謎ですけど、昔から「健康的な人ほど魅力的に見える」って報告は多かったので、個人的には「進化論的な理由があるのかなー」と思っております。逆に言えば、「健康になればなるほど身体的な魅力が上がるかも」って仮説がまた確からしくなったわけで、あらためて「やっぱモテに健康は欠かせんな……」とか。

 

 

 

漢方薬でアレルギー性鼻炎は治るか?

小青竜湯って漢方薬がありますな。マオウやシャクヤクなどが配合されており、アレルギー性鼻炎に効くとされております。

 

 

ただし、日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会が作っている鼻アレルギー診療ガイドライン(R)では、漢方薬の評価はいまいちでして、

 

  • 抗ヒスタミン薬

  • ステロイドの点鼻薬
  • 抗ロイコトリエン薬

 

などとは同じような扱いを受けていなかったりします。いまのところ、小青竜湯の効果を調べたデータは少なく、いまいち判断しづらいんですよ。

 

というわけで、広州中医薬大学の先生方がメタ分析(R)を行い、小青竜湯がどれぐらい鼻水、鼻づまり、くしゃみに効くかどうかについて、掘り下げた調査をしてくれておりました。過去の小青竜湯研究から24のRCTをピックアップし、全体の効果をまとめたんだそうな。

 

で、結果だけまとめると、こんな感じです。

 

  • 鼻水と鼻づまりについては、小青竜湯がちょっとだけ役に立つかも。
  • 鼻のかゆみとくしゃみには、小青竜湯は効果がないかも。
  • 小青竜湯の安全性は高い。

 

こうして見ると、小青竜湯ってのは、鼻づまりがつらい人は使ってもいいんだけど、目と鼻がかゆい!って症状がメインのときは、また別の薬を中心に使うほうがよさそうですね。

 

ただ、この結果はあくまで短期的なもので、長いあいだ使ったらどうなるかは謎であります。また、通年性のアレルギーについても、満足なデータがあるわけではないので、そこも不明点が多いところは押さえておいてくださいませ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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