育児の専門家「子育てには4つのスタイルがある!そして、ベストはこれだ!」
「ベストな子育て法はどれだろう?」を考えた研究(R)がおもしろいので、内容を見ておきましょう。
これは、中国の青年633人を調べたもので、いろんなテストを使って、みんながどんな風に育てられてきたかをチェック。これを参加者の「親子関係の良さ」「葛藤の強さ」などと比べたところ、子育てのスタイルが4つにわけられることが明らかになったと言うんですよ。
- 権威主義的
- 放任的
- 無関与的
- 公正的
いずれの育児スタイルも子どもへの接し方が異なり、それぞれが長所と短所を持っているんだそうな。
でもって、これら4つの育児スタイルは、以下のようになります。
1.権威主義的な子育て
親が厳格なルールを設定して、子どもには絶対に守るように指導するタイプ。子どもが「なんでこれを守らなきゃいけないの?」と質問しても、「親が決めたことだから」としか答えず、子どもとはほぼ交渉せず、ひたすら服従することを要求する。家庭でトラブルが起きた時も、子どもには問題を解決させず、子どもの意見をほとんど無視し、ルールを強制することも多め。
また、しつけの代わりに罰を使うパターンも多いため、子どもは正しい選択をする方法を学ぶことができず、ただ子どもが自分の間違いを反省すればいいと思っている。
このタイプの親の元で育った子どもは、ルールに従うのが得意になるが、一方では、気に入らない相手に対して過度に敵対的になったり、攻撃的になったりすることも。罰を避けるために、嘘が上手になる子どもも多い。
2.放任な子育て
こちらは権威主義的な親とは正反対で、子どもに守るべきルールを与えず、ほぼ何も要求しない。「子どもには好きなことをさせればいい」「親が手を出さないほうが子どもはよく学べる」と考えており、「子供は子供らしく」がモットーであることが多い。
というと良さそうな気もするが、子どもにルールを守ることを教えないし、間違った選択や悪い行動を止めようともしないため、子どもたちは自己コントロールの低下、自尊心の悪化、悲しみの感情などに苦しむことが多い。
それと同時に、放任に育てられた子どもは、お菓子を好きなだけ食べたり、定期的な運動をしなかったり、睡眠時間がデタラメだったりするため、肥満などの健康問題に悩むリスクも高い。
3.無関与な子育て
名前の通り、親が子どもの生活にほとんど関与しないパターン。子供に自由を与てなんの邪魔もしないだけでなく、コミュニケーションもほとんど取らず、子供との時間を過ごさず、自分の子供がどこにいるのか、誰と一緒にいるのかすらわからない。そもそも子育てにあまり興味がないタイプと言える。
子どもは自分で育つものだと考えており、子どもの基本的なニーズを満たすために労力を割くのも苦手。当然、このタイプに育てられた子どもは学校での問題行動が多く、幸福度も低い傾向がある。
4.公正な子育て
子育てのバランスが取れているタイプ。合理的な子育てをモットーとし、親がルールを決めたときや、なんらかの決定をしたときも、それらの理由をちゃんと説明する。
子供たちに高い成果を求めるが、その基準について子どもたちの意見も考慮するため、このようなアプローチで育った子どもは幸福度が高く、人生にも成功する可能性が高い。また、自分で適切な判断を下すのもうまく、人生のリスクを評価する能力も高い(R)。さらには、
- より共感的で、親切で、温かいキャラの人が多い。
- 同調圧力に強い。
- 責任感が強くなり、自分を律することができる。
- 他人のルールを尊重する。
- 仲間との社会的問題が少なく、教師ともうまくいく。
- 両親との関係も良好である。
- 誰が責任者かを心配したり不安になったりしない。
って傾向もある。最も健全で効果的な育児スタイルとして、米国小児科学会(AAP)をはじめ、ほとんどの専門家が推奨するアプローチと言える。
まとめ
ってことで、子育ての定番アプローチを見てみましたが、いまお子さんがいる方は、とりあえず「自分は公正な子育てができているか?」と自問してみると良いかもしれません。いまいち判断ができない時は、「自分の子供がレストランで急に大暴れしたらどうするだろう?」などと、具体的なシチュエーションを想像してみるといいでしょう。
ここで、「自分は子供をしかりつけて、もうレストランには行かせない」と考えたなら権威主義のカテゴリーに入るかもしれないし、「子どもの叫び声をただ無視する」と答えたら無関与な親かもしれないし、「子どもをただ慰めることに専念したりするかも」と答えたら放任タイプかもだし、「子供の行動がなぜいけないのかを説明する」と答えたら権威的な親なのかも?と判断できるんじゃないでしょうか。
まぁ。実際のところ、正しい子育てなんて決まってるわけではないので、「公正に育てねば!」といきり立つ必要もないですけど、アプローチのひとつとして、頭に入れておくといいでしょうね。