【質問】グルテンのダメージをやわらげる!というサプリは買う意味がありますか?
こんなご質問をいただきました。
副腎疲労の記事を見て気になったのですが、グルテンの影響を抑制するサプリメントについてはどうですか?
TikTokでGluten cutterという商品を見ました。
ということで、グルテン対策のサプリには意味があるのかという疑問ですね。 確かに、最近は「グルテンのダメージによる痛みや腹部膨満感をやわらげる!」と主張するサプリがいくつか出てまして、グルテンカッターの他にも、グルテンイーズ、グルテンダイジェストなどが有名ですね。
で、この問題について、まず結論から言っておきますと、
- 買わなくてヨシ!
みたいになります。いまのところ、グルテン対策サプリの効果を指示するデータはないので、買う必要はないんじゃないかと。
その理由は大きく2つありまして、まずひとつめが、
- 健康な人はグルテンは問題ないから
というものです。これについては過去にいくつかエントリを書いてまして、
といったあたりを読んでいただければ幸いです。ざっくり言えば、グルテンに対して過敏な反応が起きるような人でなければ、いかにパンを食おうがなんら問題は出ないって話ですね。
となれば、当然ながら、健康な人がグルテン対策サプリを飲む意味もないはず。健康維持の目的でグルテン対策サプリを飲むのは、ぜひおやめ頂ければ幸いです。
それでは、続きまして、「グルテンで問題が出てしまう人はどうなんだ?」ってところを見てみましょう。上述のとおり、たいていの人はグルテンで問題が出ないんですけど、一部には、未消化のグルテンによって腸の表面が傷ついて、炎症反応が出てしまう人がいるんですよ。
- セリアック病または小麦アレルギー:グルテンで免疫反応が起きてしまう自己免疫疾患。このタイプの人はグルテンフリーの食事が必要。
- 非セリアックグルテン感受性(NCGS):なんだかよくわからないけど、グルテンの副作用を受けてしまうタイプ。グルテンを摂取すると、胃痛、腹部膨満感、便秘、下痢などの症状が現れる。原因はいまいち不明。
- 過敏性腸症候群(IBS):まだ定見は内が、IBSの人もグルテンを避けることでメリットを得られる可能性がある。
などが代表的な事例でして、このような症状にお悩みの方は、グルテンを除去した食事が有用でしょう。
が、だからといって、このタイプの方々にグルテン対策サプリが効くのかと言えば、それはまた別の話。いくつかの研究で、すでにグルテン対策サプリには効果がないって結果が出てるんですよ。いくつか例を挙げてみると、
- 2015年の研究(R)では、市販されている5種類のグルテン対策サプリをチェック。その結果、これらの商品には、グルテンを消化しやすい形に分解する働きがないことがわかった。というか、この研究でチェックされた商品に含まれる消化酵素の大半が、グルテンではなくでんぷんを分解するタイプだった。
また、グルテンを分解できる酵素が入っていたとしても、その効果は発揮できなかった。この酵素はpH6から8で最も活性化するが、胃のpHは6よりずっと低い(つまり酸性が強い)ため、サプリに含まれる酵素は、胃の中で活性化しなかった。
- 2021年に発表された別の研究(R)では、9種類のグルテン対策サプリを評価した結果、上の試験と同じような結論になった。ただし、この研究では、1つだけ「意味があるかも」と判断された商品があり、それは「カリカイン」と呼ばれる酵素を含み、同時に腸溶性コーティング(胃ではなく小腸で溶ける)がされているものだった。
といった感じになります。もしかしたら、カリカインだけはグルテンを小さく分解して、グルテンに対する体の反応を抑えられるかもしれないんですが、これもまだ確定と言える段階ではないのでご注意ください。現時点では、グルテンの問題に効くと証明された市販のサプリはないと考えておくほうが無難でしょう。
また、いまセリアック病、小麦アレルギー、NCGSの問題にお悩みの方は、まずかかりつけの医師に相談しつつグルテンフリーの食事療法をご一考ください。グルテン対策サプリを試すのは金ドブになる可能性が高いので、くれぐれもご注意をー。