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伝統ハーブ“アシュワガンダ”で不安と不眠が改善?というメタ分析を解説するぞ!

 

 

昨日「アシュワガンダでスタミナが上がるかも?」って話を書いたところ、今度は新たに「アシュワガンダで不安と不眠が改善するかも?」ってメタ分析(R)が出ておりました。

 

アシュワガンダは、アーユルヴェーダで昔から使われてきたハーブで、市場では主にストレス対策用のサプリとして売られていることが多め。数十年におよぶ研究の歴史がありまして、ハーブ系サプリとしては、割と良いデータが多い部類だと思われるわけです。

 

で、このメタ分析は、不安症または不眠症と診断された男女254名(37~42歳)を対象にしていて、過去のアシュワガンダ研究から5つのデータをピックアップしてまとめてくれてます。そのうち4つの研究はインドで行われていて、残り1つの研究はイランで行われたそうな。

 

全体としてどんな実験が行われたのかと言いますと、

 

  • ほとんどの研究で、1日500~1,000mgのアシュワガンダサプリが使われた(1件だけアシュワガンダの顆粒を1日12gも投与した豪快な研究が含まれている)。
  • 実験の期間は6~10週間のあいだ。
  • 参加者の不安レベルはハミルトン不安評価尺度(R)を用いて測定。

 

みたいになります。まー、全体としてはサンプル数が少ない研究だし、特に睡眠パラメータについては、2つの研究しか分析に含まれていないので、結果の信頼性は低くなってる印象ではあります。とはいえ、アシュワガンダの効果をある程度まで推定する役には立ちましょう。

 

で、分析の結果はこんな感じになりました。

 

  • プラセボと比べて、アシュワガンダは不安を軽減する働きがあった(割と臨床的に意味があるレベルで改善してる)。

 

  • また、プラセボと比べて、アシュワガンダは寝床に入ってから眠りに入るまでの時間を改善し(-7.5分)、トータルの睡眠時間を増加させ(+28分)、睡眠効率と睡眠の質を改善させる働きもあった(ただし、睡眠の質の改善は、臨床的に意味のあるレベルとは言えなかった)。

 

ってことで、簡単に言えば、アシュワガンダは不安にはよく効く可能性があり、不眠にはちょっとだけ改善の可能性があるよーって感じですね。

 

個人的には、この結果には割と納得で、もともとアシュワガンダってのは鎮静作用の大きさで有名になったハーブですからね。マウスを使った研究(R)では、アシュワガンダに含まれるトリエチレングリコールがGABA受容体に働いて、気持ちを落ち着けてくれるみたいなんですよ。そう考えると、あくまで鎮静の効果がメインなので、睡眠については「改善したらいいなぁ……」ぐらいの効果なのかもしんないですな。

 

ただし、アシュワガンダと睡眠の関係については、2021年にもメタ分析(R)が発表されてまして、ヒトを対象とした5つのRCTをまとめた結果、

 

  • アシュワガンダは、プラセボと比べて総睡眠時間をわずかに改善させた(最大約25分)。

 

  • また、参加者が評価した睡眠効率(ベッドに横になっている時間に対して実際に眠っていた時間の割合)と睡眠の質においても顕著な改善をもたらした。

 

といった報告をしております。こちらでは睡眠の質にも改善が見られてまして、アシュワガンダの効果をどう見るかを難しくしております。おそらく、不眠の原因は個人差が大きすぎるので、「神経を鎮めれば解決だ!」と簡単にはいかないんでしょうな。

 

というわけで、これらのデータを見る限り、不安と不眠に悩む人がアシュワガンダを試すのはありかなーいう気がしております。もちろん、アシュワガンダを治療の第一の選択肢にしちゃダメですが、かかりつけの医師と相談の上で、サポートとして使うなら効果を発揮してくれるかもですな。

 

ただし、アシュワガンダのようなハーブ系のサプリについては、各人に適した量を見極めるのがめっちゃ大事なので、まずはサプリを限られた期間(2週間ぐらい)だけ使用し、その後で体調をチェックしてみるのがおすすめです。それで不眠が悪化したり、吐き気や下痢のような副作用が出ちゃったら、すみやかに使用を止めましょう。

 

また、基本的にアシュワガンダは安全なハーブではあるものの、過去の研究(R)では、市販のサプリから基準値を超える重金属が検出されてますんで、こちらも注意してください。ハーブ系のサプリってのは、どうしても重金属が混ざりやすい傾向がありますんで。

 

アシュワガンダの最新メリットとか推奨品とか」でも説明したとおり、KSM-66ってブランドであれば、重金属の問題もチェックしてくれているので安心なはず。アシュワガンダのサプリを買ってみたい時は、このブランドを使った製品を選ぶのがおすすめであります。

 

最後に、アシュワガンダはナス科に属する植物なので、生まれつき体が受け付けない人も一定数存在しております。そのため、例えばナス、ピーマン、トマトなどを食べたあとで調子が悪くなったり、胃のむかつきや吐き気のような症状が出ちゃう人は、アシュワガンダでも同じような問題が起きる可能性が大。その場合は、サプリメントの摂取は避けてくださいませ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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